武道大会
「メルは、武道大会に行ったことがある?」
「いいえ、ございません。」
「どんな感じなのかしら。楽しみね。」
「そうでございますね。」
訓練場へ着くと、馬車の列が出来ていた。
「すごい列ね。」
「思ったよりも見学者が多いのですね。」
「そうね。」
降りる順番を待っていると、外が何やら騒がしくなってきた。
「どうしたのかしら。」
サリーナは窓から見ようとしたが、見えない。
「ここからでは見えないわね。」
「見てまいりましょうか?」
メルが席から立ち上がろうとする。
「馬車を降りるの?」
「はい。」
「そこまでしなくて良いわよ。」
「…畏まりました。」
メルは、そっと座り直した。
時間が経って、サリーナ達の順番になり、御者によってドアが開かれた。
今日の御者は副執事長のハリーだ。
「お待たせいたしました。」
「貴方のせいではないでしょう?順番待ちは仕方ないわ。」
「…その事ですが、礼儀のなっていない方がいらっしゃるようですので、お気をつけください。」
ハリーは、小声でサリーナへ注意を促した。
さっきの騒ぎの事ね。
「分かったわ。」
「メル。私も馬車をおいたら、すぐに合流いたします。それまで、サリーナ様を頼みました。」
「承知しました。」
そう言うと、ハリーは馬車置き場へ向かった。
「メル。行きましょうか。ここにいては、次の方の邪魔になってしまう。」
「はい。」
私達は、訓練場に向かい、歩いていく。近づくにつれ、だんだん賑やかになってきた。
訓練場は、以前来たときと違い、階段状の台が左右に置かれ、その上の椅子に座ることができるようになっている。
すでに、全体の3分の2はうまっていた。
「座る場所は何処でもいいのかしら?」
「どうなのでしょう。」
ふたりで悩んでいると、馬車を置いてきたハリーがやってきた。
「早かったわね。」
「馬車置き場が広くて、助かりました。順番待ちせずに置くことができましたから。」
「そう。」
「どうなさったのですか?」
「座る場所を考えていたのよ。」
「一般公開ですから、何処でも自由ですよ。…まぁ、貴族の方は、最上段に座ることが多いようですが、決まってはいません。」
「ハリーは来たことがあるのね?」
「はい。何度か。」
「まぁ、心強い!では、おすすめの席を教えてくれる?」
「私は、最前列が好きです。やはり、迫力が違います。」
「うん、うん。それなら、ザック様を近くで見たいし、最前列にするわ。」
「サリーナ様ならそうおっしゃると思っておりました。」
「さあ、皆行きましょう。」
私は、メル、ハリー、ルーフ、アルと最前列の空いている席に座った。
大会が始まるのを待っていると、後ろの方から大きな声で話す男と女の声が聞こえた。
「ふん!待たせやがって。私を誰だと思っているんだ!」
「全くですわ!」
「私は伯爵だぞ!馬車を先に停めるくらいなんてこと無いだろうが!来て早々、腹が立つ!一番上に座るぞ!平民共に見下ろされてたまるか!」
貴族が最上段に座る理由…
そんな事だろうと思ったけど、すべてがそういう方ではないと思いたいわね。
…ま、私には関係ないか。
サリーナは、その伯爵とやらを見ることもなく、訓練場にアイザックを探していた。
「おい、そこの女!おい!」
可哀想に、誰か絡まれてるわ。
「おい!聞こえぬのか!1番前の女だ!」
一番前の女ね…。そんなのたくさんいるわよ。
「犬と鳥を連れたやつ!私が声をかけているんだ!返事をしろ!」
犬?鳥?
サリーナは、そこでやっと周りを見た。
すると、周りに動物はルーフとアルだけ。
「まさか…私の事だったの?」
サリーナは、メルとハリーに小声で確認すると、メルとハリーは苦々しい顔をしている。
「その様です。」
「どういたしますか?」
面倒くさい。
…無視でいいわね。
「…放っておいていいかしらね?」
「「承知いたしました。」」
サリーナは、視線を戻し訓練場に出てきている騎士達を見た。
「おい!私は伯爵だぞ!返事をしないとは何様だ!!」
男は、一際大きい声で叫んだ。
サリーナ達に周りからの視線が刺さる。
本当に迷惑…。
「もしかして、私の事でしょうか?」
サリーナが振り向くと、男は目を見開いた後、下卑た笑みを浮かべた。
この男、悪い評判しか聞かないゲッター伯爵。一緒にいる方は、奥様ではないわね…。
「こちらへ来い!」
あら?顔を見せたのに、私の事を分からないの?
服装も化粧も違うとはいえ、舞踏会での挨拶済みよ?
それに、ルーフとアルもいるのに。
「何故でしょうか?」
「こちらの方がよく見える。ほら、隣へ。」
「遠慮いたします。」
「は?伯爵の私が言っているのだぞ!?」
「もう始まりますので、今からの移動は、周りの方の迷惑になります。」
「私が言っているのだから来い!」
嫌だよ!誰が行くか!
「さ…お嬢様。」
メルが呼び方を変えた。
ナイス、メル!
私の事を分からないなら、面倒くさいからそのままの方がいい。
「席を変えますか?」
「そうね。このままでは他の方の迷惑になってしまうわ。皆さん、騒がしくしてごめんなさい。」
周りに謝り、私達はその場を去ろうと席を立った。
「はじめからそうすればいいんだ!早く来い!」
まだ何か叫んでいるが、気にしない。
サリーな達は、反対側の観覧席に行こうと歩き出す。
その時…
「どこに行くんだ!耳が聞こえんのか!!」
…「「「「「きゃあー♡」」」」」…
ゲッター伯爵の怒鳴り声と同時に女性達の悲鳴が聞こえた。
「リーナ!」
少し前からザック様の魔力が近づいてくるのは気づいていた。
「ザック様。」
「もう始まるが、どうした?」
「あちらへ移動しようと思いまして…。」
私は反対側を指さした。
「何故?」
「それは…」
話すべきか否か…。
私とザック様が親しげに話しているのを見て、ゲッター伯爵は困惑しているようだ。
「あ、アイザック殿下…何故?」
「何故とは?」
「あ、いえ…あの…そのおん、いや、その方は?」
「リーナか?私の婚約者だが?」
「は?」
「貴殿にも、以前の舞踏会で紹介したと記憶している。」
「は、はい。そうでしたな。」
ゲッター伯爵の顔から、血の気が引いている。
「何か問題でもあったのか?」
ゲッター伯爵は、モゴモゴとしている。更に汗が止まらないようだ。
そんなゲッター伯爵をよそに、メルが簡単に状況を説明する。
「こちらの方がサリーナ様へ#しつこく__・__#声をかけられ、他の方への影響も考えられたサリーナ様が移動なさることに…。」
一般的に侍女が貴族に対して、この言い方は良くはないけれど……その通りだし、いいか!
「ま、まさか…。そ、そうです。こ、こちらの場所のほうが見やすいだろうと思い、お声掛けしたまでです。」
「…うちのお嬢様を『女』呼びでしたがね。」
ゲッター伯爵の言葉の終わりに続いて、ハリーがボソッと言った。そのことが、ザック様にも聞こえており、ザック様の眉間はピクピクしている。
ハリー…、わざとね。
「ほぉ。我が愛しきリーナを『女』呼びねぇ…。」
「そ、そんな事しておりません!おい、そこの!嘘を言うな!」
「我が家の副執事が嘘を言っているとでも?」
アイザックの後ろからダリオンも顔を出した。
「リオン兄様。」
「ダ、ダリオン様!?」
あら?兄様の事は分かるのね。
「どうなのですか?ゲッター伯爵。」
「え、あ、いや、あの…」
「はっきりしませんね。…ま、いいでしょう。すでに、試合開始時間が過ぎています。父にも話し、後日きちんと謝罪を求めますよ。」
「そ、それはご勘弁ください!」
「見学なさるなら、お静かにお願いします。」
リオン兄様は、にっこり笑い、ゲッター伯爵を黙らせた。
「リーナ。ここでは落ち着かないだろう?別の席を用意するから。」
ザック様は、私の返事を待たずに私を抱き上げた。
「ちょっ!ザック様!」
お姫様抱っこをされた状態で何処かに連れて行かれ、その後ろからルーフとアルがついてくる。
注目されているのだけど…。視線が痛い!
あ、メル、ハリー!
サリーナは、アイザック越しに後ろを見る。ふたりはニコニコしながら、こちらを見ていた。
「ここで見ていてくれ。」
連れて行かれたのは、観客席枠から出た戦いのフィールドのすぐ脇。
ダリオンがそこに椅子を持ってきた。
ここ?近くない!?
「リーナ。バリアは張っておいてくれよ?」
「あ、そうですよね。分かりました。」
そりゃ、こんなに近かったら武器や人が飛んでくるかも?
「身体にそわせてではなく、少し余裕を持って張っておきましょう。」
「そうだな。それがいい。では、行ってくるよ。行こう、リオン。」
「ああ。」
「おふたりとも、健闘を祈っております。」
ふたりは、にっこり笑って軽く手を振ってから他の騎士たちの所へ戻って行った。
その背中を見て、ふと思った。
それにしても、一般の騎士になりたい人が婚約者を特別席に座らせて良いのかしら?
“今は第2王子だからいいのよ。”
その声を聞いて、横を見るとパールが来ていた。
“パール。”
“それに、騎士団長さんと隊長さんにこちらへ来る許可をもらったときに、『特別席を作っていいぞ。』って言われていたから大丈夫よ。”
“許可?そうよね…。開始時間を遅らせてまで対応するなら許可が必要よね。”
“アイザックくんは飛び出していったけど、リオンがすぐに対応してくれてたからね。”
“さすが、リオン兄様。”
“アイザックくんは、リーナの元に行くのに必死だったから。”
“…それも、愛されていると分かって嬉しいわ。”
サリーナの頬がほんのり赤くなる。
“はい、はい。ほら、始まったわよ。”
“う~ん…ザック様とリオン兄様は、いないわね。”
何組かの戦いが始まったが、二人の姿はない。
“きっと、控室に戻ったのだと思うわ。出番は最後の方みたい。”
“そうなの?”
“え~と、何だっけ?…ソード?シット?…あれ?”
“シード?”
“それ!シード枠だって言っていたわ。”
“ふふふっ。そう、楽しみね。…そういえば、今日は、魔法なしの試合なのよね?”
“そうよ。魔力操作が変わって、基本の魔力量が増えてきているとはいえ、騎士内での魔法力は差が激しいから使用禁止らしいわよ。リーナにアイザックくんの強さを見せられないのが、残念。”
“そんなに凄いの?”
私は、昔のキャンプの時からザック様の魔法をきちんと見たことがないが、魔力量が格段に増えたのは分かる。
“今度見せてもらったら?”
“そうね。機会があれば?”
そんな機会、早々なさそうだけど…。
“前に行ったあそこに行けばいいじゃない。飛んでいけば、すぐでしょ?”
“そうね。お父様に聞いてみましょう。もちろん、ザック様から許可を得てからね。”
“アイザックくんが許可を出せば、使えるんじゃない?王子様よ?”
“…そうでした。”
騎士たちが戦うのを見ていると、何人か動きのいい人、目立つ人がいる。
その中に見知った魔力を見つけた。
あの方は、シュルツ様…あちらは、バズ様。おふたりとも勝ったようね。
シュルツ様はともかく、バズ様も強かったのね…。
トーナメントにより強いものが残り、シード枠まで試合は進んだ。
“リーナ。出揃ったようよ。”
“そうね。”
ザック様、リオン兄様、ハンス様に、シュルツ様とバズ様。他にも十数名…。
私が知らないだけで、隊長の方もいるのでしょうね。
残った者達で、再度トーナメントが組まれ、改めて試合が始まった。
“ほら!アイザックくんの出番よ!”
パールに言われ見ると、私の目の前にザック様がいた。
対戦相手は…バズ様なのね。
「お手柔らかにお願いしま~す。」
バズはアイザックへ軽く声をかけた。
「お前…真剣にやれ。」
アイザックも呆れている。
「分かってますよ。俺は、やる時はやる男なんです。」
「…そうか。」
試合が開始し、先に仕掛けたのはバズの方だった。
「様子見てても仕方ないので、先にいかせてもらいます!」
ガチン!
剣同士がぶつかり、大きな音がなる。
「いきなり来たな。」
「何もしないで負けるのだけは嫌なんで、ね!」
バズは、続けて何度も打ち込み、アイザックもそれを受け、自分から攻撃をしかけた。その攻撃は止められたが、気にせずにすすめていく。
バズ様が押され気味ね。
“やはり、ザック様の方が実力は上ね。”
“当たり前よ。次期、隊長。将来的に騎士団長よ!”
“え?”
“『え?』って…。将来の王弟で、この実力よ?”
“考えればそうね。今まで考えたことなかったわ…。”
一般騎士の様な生活は無理じゃん…。
仕方ない…仕方ないけど…。
ザック様と相談ね。
少しの間、試合から視線を反らし、そんな事を考えていると、誰かの大声が聞こえた。
「あぶない!!!」
「ん?」
前を見ると、剣がこちらに向かって飛んできている。
…「「「きゃー!!!」」」…
観客席からは、アイザックがサリーナの元へ来た時のものとは違う種類の悲鳴も聞こえる。
前にも似たような事があったわね。
サリーナは微動だにせず、何も無いような表情で只々そこにいた。
バン!
バリアが剣を弾いた。
それを見た観客もバズも口をあんぐり開けている。
何か、この反応…懐かしいわね。
サリーナは、魔法を使い始めた頃を思い出し、苦笑した。
「リーナ。大丈夫だな?」
ザック様は私の元へきたが、バリアを張っていたことも、私の実力も知っているので、落ち着いている。
「ええ。バリアを張っておいて良かったですね。…ふふっ。」
「どうした?」
「色々思い出しまして…。私は大丈夫ですから、戻ってください。」
「ああ。…引き続きバリアは、」
「分かっています。さあ、お早く。」
アイザックは、元の位置に戻っていった。
「勝者、アイザック!」
その言葉で我に返った観客は、急いで拍手を始めた。
「ふふふっ。」
その光景もまた、サリーナにとっては可笑しいものだった。
試合は続き、あっという間に決勝戦。
ハンス隊長と第3部隊隊長の戦いとなった。
第1部隊の隊長は騎士団長が兼任しており、騎士団長は今回は不参加の為、このふたりが残ったのだろう。
「ザック様。惜しかったですね。」
「剣だけでは、まだ隊長に勝てないな。」
私達は今、ザック様と観客席にいる。リオン兄様とシュルツ様も一緒だ。
試合が終わった選手は、表彰式までやることも無く、自由なのだという。
ザック様と一緒なら変な輩にも絡まれないだろうと言うことで、観客席に戻ってきたのだった。もちろん、始めの席とは反対側の観客席に。
あちらに行ったら、また碌なことにはならなそうだし…。
「現状、宰相様は別として、魔法と剣を使ったザックに勝てる人はいないだろう。」
シュルツ様の言葉で、ザック様とリオン兄様が顔を見合わせてから、シュルツ様を見て声を合わせた。
「「いる。」」
「は?何処にそんな強い………!!」
思い出した様に、パッと視線がこちらを向く。
「いるでしょ?」
「……可愛らしいから、忘れてた。」
「俺の最強の天使だな。」
それは、褒めてるつもり?
何か………何か複雑。
「剣はできません…。」
「そう?護身術はやったよね?」
『覚えておいて損はないから』とリオン兄様に言われ、多少の護身術は習った。
「それとこれとは、違いますよね?」
「僕たちに勝てないにしても、破落戸相手には困らない程度に強くなったでしょ?」
「…相手の力量によります。」
「「そりゃ、そうだ。」」
ザック様とリオン兄様は笑っている。
「ほらほら、始まるよ。」
シュルツ様の言葉で見ると、ふたりは向かい合っており、少しして試合開始の合図が鳴った。
「ハンス隊長に勝ってもらわないとな。」
「何を言っているの。うちの隊長だって剣はイケてるよ。」
「剣は…?」
「あ…んー、普段は、ちょっと…残念というか…。」
「残念?」
サリーナは、前にあった時のことを思い出す。
「前に、騎士の指導もきちんとして、こちらへも謝ってくれましたよね?残念て感じではなかったと思うけど…。」
「会ったことあるんですね?」
「はい。ちょっとした事件で。」
「事件って…。スウィーティー様は何かしら巻き込まれるね。」
「そうですか?」
事件という事件は、それだけだったような気がするけど…。
サリーナの頭の中には、最近の出来事しか思い浮かばず、未だ行方不明の彼女のことは、すっかり頭から消えているのだった。
「自覚なし。ザック、お前が気を付けろよ?」
「分かってる。」
シュルツと話をして、第3部隊長の『残念さ』については、スルーされた形になった。
そして、優勝者は第3部隊隊長に決まり、武道大会は幕を閉じた。
◇
大会帰りの馬車の中…
「隊長同士の戦いは迫力がありましたね。」
「前回はハンス隊長が勝ったそうよ。」
「それは、同等の力を持っているということですね?」
「そうね。」
私とメルが話していると、ルーフが口を開いた。
「俺もやりたい。」
「ん?何を?」
「力比べ。」
「力比べ?」
「時々森に行って魔獣と戦うが、弱すぎて俺の力が分かんねぇ。」
「ルーフ…弱い者いじめは駄目よ?」
「分かってる。こっちに向かってきたやつしか相手にしてない。」
「それなら良いけれど。」
「良いのですね…。」
「向かってきたなら、自己防衛よ。」
「そうなりますかね?」
「そういえば、魔獣については『森の奥にいて、たまにしか人の前には出てこない』としか分からないわ。学校の授業でもその辺はサラッと流されていたし、花嫁修業と言う名の妃教育でも詳しくは習わなかったのよ。」
ザック様は第2王子に位置しているため、その婚約者の私は妃になる専門の教育をしていたのだが、すでに『もう勉強の必要はない』と太鼓判を押され、今はそこに時間を取られることはない。
「旦那様なら何かご存知なのでは?」
「そうね。お父様に聞いてみるわ。」
「俺も聞きたい。」
「僕も~。」
ルーフとアルが声をあげる。
「ええ。一緒に聞きに行きましょうね。」
私達はお父様が帰ってきて、食事を摂った後に、話を切り出した。
因みにリック兄様は、サラ様とデートだそうだ。
「魔獣のことは、確かに勉強で触れられないな。」
「それは、何故ですか?」
「必要なくなったからとしか…」
「しかし、お父様や兄様達のように、また契約獣を持つ人が出てきましたよね?」
「そうだね。しかし、それでも多数派とは言えない。わざわざ学校では教えないよ。必要に思ったら、自分で調べるしかないんだ。」
「…私、調べようとは思いませんでした。そうですよね。自分で調べないとですよね。」
「リーナの場合、ルーフ達がいるし、他が気にならなかったから、その気が起きなかっただけではないかな。」
「確かに…。この子達以外、あまり興味はありませんしね。」
「フッ、そうだろう?ま、何でも経験することだ。今度、森の奥に行ってみるといい。」
「良いのですか?」
「リーナ達なら大丈夫だろう。行ったとしても、強い魔獣ほど相手の力量を見て行動するそうだから、出てこないかもしれないけどな。」
「俺が森に行っても出てこなかったのは、そういうことか!」
「警戒していたのだろう。」
「それなら、次も同じかも~。」
「ゔー…」
にこやかなお父様と、軽い感じのアルの言葉に、ルーフは呻きながらも思いついたように言った。
「いや、リーナと一緒なら変わるかもしれない!」
「そうだな。リーナは魔力が強いし、魔獣を惹き付けるかもしれないね。」
「お父様…さっき仰ったことと違いませんか?」
「違っていないよ。わたしは『相手の力量を見て、行動する』といったんだ。どんな行動をとるかは、分からないよ。」
「…そうですか。」
「色々想定して、準備していきなさい。」
「はい。」
一週間後、私達は森の奥に行くことにした。




