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アイラン捕縛

舞踏会後の登校日、中庭にて


「サリーナ様。先日の舞踏会、素晴らしかったです。美しかったです。」

「そ、そう?ナンシー様、ありがとうございます。気付いていたなら声をかけてくれれば良かったのに。」

「そんな、勿体ない!」

「勿体ない?」

「絵画のようなおふたり!ずっと見ていたかったですわ!鼻血もの!」

「はな…!?」

「あ、聞かなかった事に!」

「ちょっと、貴方!」


話している私達の前に仁王立ちする女性。それは、紛れもないアイラン様だった。


アイラン様?

なぜ学校に?通っていたのだったかしら?


首を傾げる私にナンシー様が横から説明してくれる。


「最終学年へ特別転入されたアイラン·ハンニー様ですね。」


特別編入?

詳しくは、後で教えてもらいましょう。


「ナンシー様ありがとうございます。…それで、私に何の御用でしょうか?」

「舞踏会でアイザック様といたのは貴方よね?」

「ええ、そうですが?」

「何故よ!」

「「え?」」


私とナンシー様は顔を見合わせる。


「貴方、知らないのよ!アイザック様は、私と結ばれるの!」

「「?」」


全くもって理解ができない。それは、ナンシー様も同じようだ。


「邪魔!」


アイラン様から魔力が周囲に膨らんでいく。


やばいかな…。


「ナンシー様、逃げてください。」

「え?」


この魔力を感じないのか…。


「とにかく走って!」

「は、はい!」


ナンシー様は、走り出す。


バリアを張らないと。

他の生徒が被害を受けては大変だわ。


そして、アイランの魔力はバリアにあたり霧散した。


「はぁ?また!?………そうか。あれも貴方のせいだったのね。」


その言葉が舞踏会のことを言っていることは、すぐに分かる。


さて、どうしよう。

とりあえず、皆に連絡。詳しく説明していられない。映像で伝われ!


「やっぱり邪魔!どこかへ行って!」


強い魔力がこちらへ飛んでくる。しかし、バリアは壊れない。


「もう!」


続けて魔力が放たれる。



どれ位時間が経っただろう。

そのうち、アイランは肩で息をしだした。


「えーと…」

「私はこの世界で一番の魔法使いなのに!」

「………はい?」


この世界?

この国、ではなくて?


“リーナ!”


そこへ、アルが飛んできてアイラン様の周りをすごい勢いで飛び回る。


「アル?」

「何よこの鳥!」


“すぐに皆来るからね!”


アイラン様は、魔力をアルヘぶつけようとするが、当たらない。


「アル。こちらへ。」


アルは、飛び回っていた勢いのままこちらへやってきて、私の目の前でスピードを落とし、アイラン様へ向き直った。


「アイラン·ハンニー様。少し聞きたいことがあるのですが?」

「な、何よ!」

「貴方はこの世界一番の魔法使いなのですか?」

「そうよ!」

「それは、誰かに言われたのですか?それとも…」


話を続けようとすると、知っている魔力が近づいてくるのが分かった。


「話は後になりそうですね。」

「はぁ?」

「貴方のお迎えがきたようです。」

「迎え?」

「リーナ!」


ザック様と共にパール、ルーフ、そして騎士達までもがぞろぞろやって来た。


ちょっと、多くない!?


「アイザック様!?何故ここに……迎え…あ~、そういう事。何だ魔法はちゃんと効いていたのね!心配して損したわ!」


アイラン様は、腰に手を当て胸を張った。


淑女がそのポーズは如何なものかと…。


「私はここですわ!」


アイラン様はそう声を上げると、騎士団に向かって…いえ、ザック様に向かって手を振った。


「捕らえろ!」


ひとりの騎士の声で他の騎士達がアイラン様を捕らえようと向かう。


あ、ちょっと…


「待ってください!」


私の声で騎士たちが止まった。


「リーナどうした?」


私の側まで来ていたザック様に問いかけられる。


「今、彼女の周りにバリアを張って、魔力を防いでいます。この世界一番の魔法使いだそうです。バリアの中に入ったら、どんな魔法にかかるか分かりません。」


私は小声で説明する。


「この世界一番?…分かった。リーナ、少し離れるが大丈夫か?」

「え?あ、はい。」


パールを私の元へ残し、ザック様は騎士のひとりに近寄り、耳打ちをした。


さっきもあの方が号令を出していた。きっと、この隊の隊長さんね。


そんな時、パールとルーフは私の足元に絡みついてきた。


何これ…。

こんな状況だけど、これは幸せだわ。


「アイザック様。私の元に来てくれたのではないのですか?」


アイランは自分の所に来ず、サリーナや騎士団の元にいるアイザックに声をかけた。


「ある意味そうだね。」

「やっぱり!それなら、こちらへ早くいらしてください。」

「うーん…少し待ってくれるかな。隊長に許可を得るから。」


ザック様?


ザック様は隊長らしき人に再度耳打ちをした後、こちらをちらりと見た。

口が動く。


『つかまえる』


「!」


「許可は得た。しかし、そんなに魔力を放っていては、近づけない。」

「そうですわよね!…はい!大丈夫ですわ!」


アイラン様は、自分の周りの魔力を消し、両手をザック様に向かって差し出した。


“パール、アル、ルーフ、合図をしたらザック様の元へ。”

“リーナ。大丈夫よ。”

“パール?”

“アイザック君も未だに成長を続けているということよ。それに、アイザック君は年上の男性よ。守られてあげなさい。”


年上…。

そうだ、そうだよね。

分かってたよ、分かってた、頭では…。

………でもOLだった感覚も完全には抜けてないのよ。


そんな事を考えていると、ザック様はアイラン様が差し出した手を取っていた。


………手を取る必要ある?


「捕まえた。」

「はい、捕まりました。テヘッ。」


テヘ!?貴方いくつ?


「アイザック様。お待ちしていました。」


アイランの甘い声。

文字通り捕まったのだが、罪人としてではなく、愛ゆえのものだと信じて疑わないアイランの顔は、笑顔で溢れている。


その時、アイランが薄い膜に覆われていった。


「何、これ?何なの?」


アイラン様は、自分の身体を見回している。


「だから、『捕まえた』といったと思うが、聞いてなかったかな?」

「あ、これは他の奴には触らせないぞとかいう独占欲ね!口で言ってくれないと伝わらないわよぉ!」


頭、お花畑ね…。


「少し違う。『他の奴には』ではなくて『他の奴を』だ。」

「ん?」


アイラン様は首を傾げている。


「隊長。魔道具ください。」

「ああ。」


隊長さんはロープとバングルのような物を持ってアイラン様へ近づいた。そして、バングルをアイラン様の右腕、肩に近い部分につけ、ロープでアイラン様の手を後ろに縛った。


「ちょっと、何するのよ!」


アイラン様の問いかけには、隊長さんが答えた。


「何するも何も、悪いことをしたら捕まるのが分からないのか?」

「悪い事はしてないわよ!」

「これだけの人数がいて、公爵令嬢に危害を加えては言い逃れはできないと思うが?」


周りを見ると、大勢の学校関係者が集まっていた。ナンシー様もいる。


呼んできてくれたのかしら?


私はナンシー様へ『もう大丈夫ですよ』の意味を込めて、小さく手を振った。

それが見えたのだろう。ナンシー様は大きく手を振り返してくれた。


「さぁ、行くぞ。連れて行け!魔導具をつけているからと言って気を抜くなよ!」

「はい!」

「ちょっと離しなさいよ!アイザック様!なんとか言って!愛する私が連れて行かれるのよ?」

「何を勘違いをしている?俺の愛する人はリーナだけだ。」


それを聞いたアイラン様は、表情を変えこちらを睨んだ。


「何なの貴方?何者なの?」

「私はサリーナ·スウィンティーです。」

「それ、誰よ。」

「私ですが?」

「そういう事じゃないわよ!」

「行くぞ!」


話は終わらない内に、アイラン様は騎士たちに囲まれて、連れて行かれた。

周りに集まっていた学校関係者達も散らばっていく。


その場に残ったのは、私、ザック様、隊長さん、契約獣たちだった。


「リーナ。大丈夫かい?」

「はい。思っていたより早く来てくださったので。」

「それは、彼のおかげだ。ハンニー嬢がリーナに向かっていった時点で公爵に連絡が入った様だよ。」


ザック様は空を見上げる。

そこには、アイラン様の見張りについていたジャズの姿があった。


「ジャズ!」


名前を呼ぶと、こちらへ向かって降りてきた。


「サリーナ、ブジ?」

「ええ。貴方のお陰でね。ありがとう。」

「ヨカッタ。ジャックノトコロ、モドル。」

「気をつけてね。」

「ハイ。」


ジャズは再び空に上がり、王城の方向へ飛んでいった。


「リーナ。こちらは俺の所属している第2部隊のハンス隊長だ。」

「サリーナ·スウィンティー様。お疲れの所申し訳ございませんが、お話を伺いたいのです。」

「はい。」

「隊長。自分も同席してよろしいでしょうか?」

「ああ。ここでは周りの目もある。場所を変えよう。」


私達は学校を出て、騎士団の詰め所へ移動することにした。



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