四、合流 (1)
ここから、新たに書きながらの投稿なので、1節分一気に投稿をあきらめました。書き上げた分だけ投稿します。
あと、第四章二で、周囲に受け入れられているかどうかの表現を若干変更しています。で、今回も、その辺の説明に終始してしまいました……。
その、唐突な男は、ディノと名乗った。第三小隊の歩兵だという。最初歩兵に交じって練習してた私が、騎兵と練習するようになったり、大臣に直に声を掛けられたり、馬を与えられたり、王妃様からお言葉を頂いたりしたんで、面白くなくて、遊んでやる計画を仲間と立てたのだという。要するに、自分も腕に自信があっただけに、同じ歩兵であった奴が一人だけ特別扱いされるのが気に食わなかったわけだね。
しかし、そんな単純な理由で人を襲う男は、単純なだけあって、素朴で素直なのだった。……走ったり跳んだりした私の動きを見て、感動して弟子入りを志願しちゃう程には。素朴とか素直とかいうより、変な奴だと思うけどさ。
「弟子入りといわれてもさあ、動きの速さって教えられるものじゃないし」
話をするのに困るから、ディノに翻訳機を渡した私だった……。
「それは承知っす。だから弟子というより、正確には子分にして欲しいってところかな。親分と呼ばせてもらえれば嬉しいっす」
親分……。何かこう、和服を着てどっしり構えた年配の方が頭に浮かぶんだけど……。
結局その後の行程、ディノとその仲間達と行動を共にするようになった。ディノが親分と言うから、その仲間達にも親分って呼ばれるようになった。もんのすごい抵抗があったけど!
でもまあ、長い行程の間、話し相手が出来たのはとても嬉しいことだった。いや別に進軍中に無駄話ばかりしていたわけじゃないけどね? でも、ご飯の時に混ぜてもらって、会話を聞き、時には喋る努力をしてみて、「言葉が変だ!」と指摘してもらったりした。
何しろ、私の人相風体を気にせずにちょっかいを出そうとした人たちなだけのことはあって、髪とか目とか気にしないで話し掛けてくれるので、居心地は良かった。
訓練の時に混ぜてもらってた騎兵達は……まあ隊長はね、口数は少なかったけど、やっぱりそういうのを気にしない人で気楽だったんだけど。ほかの人達は、何というか、「上からの命令だから仕方がない、相手をするけど、できれば関わりあいにはなりたくない」というのが、ありありとわかる態度だったからねえ……。
一応、私には草原の民の長の第一子の後見がついている、ということになっているんだけど、その効果は、貴族から一般人に近付くにつれ、薄くなるみたいだった。つまり城内よりは、騎兵、騎兵よりも更に、元が兵士ではない歩兵の方が、レスティさんの威光が役に立たない。
まあ威を借るのは不本意なので構わないけど。
そんなわけで、騎兵は後見もあるし上からの命令だから相手はするけど、あんな闇色のものに近付きたくない、って感じ。歩兵は基本的には、あんな闇色のものは敬遠。ディノ達みたいなのだけ、後見も気にせず闇色も気にしないって感じ?
つまり、珍しく友人付き合いが出来る相手と知り合えた、と。……親分呼ばわりされるのが友人なのかは疑問だけど……。まあ「親分」というあだ名がついたんだと思おう……。
第四章三までは書き溜めがあった、と言ってましたが、実は四もちょっとだけ書いてありました。書いていた頃から○年経過しています。文体が変わっていたらすみません……。
「合流」ってからには近々王子及びムルーと再会する予定ですが。この分だといつになるのでしょうか……。