↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっぱいコンプレックスの私を、幼馴染が全肯定してくる  作者: 黒猫と珈琲


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/20

第9話 クールな彼氏は、意外と嫉妬深い

「……えっと、ここは二人一組で?」

「そうです。来週までに資料をまとめて、簡単な発表をしてもらいます」


 月曜日の午前。私は講義室で、教授の説明を聞きながらノートを開いていた。


 今日の課題は、二人一組で行うグループワーク。指定されたテーマについて調べ、来週の講義で五分ほど発表するらしい。こういう課題は嫌いじゃないけれど、問題は誰と組むかだ。美月は別の講義を取っているので、今日は一緒じゃない。


 ……どうしよう。


 周囲を見回していると、隣から声をかけられた。


「桃瀬さん」

「……はい?」


 振り返ると、同じ講義を受けている男子学生が微笑んでいた。


 柔らかなダークブラウンの髪に、穏やかな茶色の瞳。清潔感のある爽やかな男の子で、何度か講義で顔を合わせたことがある。


「まだペア決まってない?」

「あ、うん。まだだよ」

「よかったら、一緒にどうかな」

「……いいの?」

「もちろん。僕もまだ決まってなくて」


 彼はにこりと笑った。


「有坂悠です。何度か話したことあるけど、ちゃんと自己紹介してなかったよね」

「あっ、桃瀬莉子です。よろしくお願いします!」

「うん。よろしく、桃瀬さん」


 ……よかった!


 知らない人ばかりの中でペアを探すのって、ちょっと緊張するから。私はほっと胸を撫で下ろした。


     ◇


「じゃあ、テーマはこれにしようか」

「うん! 私もそれがいいと思う」


 講義が終わったあと、私たちは学生ラウンジで課題の打ち合わせをしていた。


 今回のテーマは、身近な広告と消費行動について。普段何気なく見ている広告が、どうやって人の購買意欲に影響を与えているのかを調べるらしい。有坂くんは説明がわかりやすく、話しやすい人だった。私の意見もきちんと聞いてくれるし、資料をまとめるのも上手だ。


「桃瀬さんって、こういう課題得意?」

「うーん、調べるのは好きだけど、発表はちょっと苦手かな」

「そうなんだ?」

「うん。人前に立つと緊張しちゃって」

「意外だな。いつも楽しそうに話してるから」

「えへへ。友達と話すのは好きなんだけどね」


 私は照れくさくなって笑った。


「でも、発表になると急に頭が真っ白になっちゃうの」

「じゃあ、練習しようか」

「……え?」

「本番までに何回か通してみれば、少し落ち着くと思う。僕も付き合うよ」

「ほんと? ありがとう!」

「どういたしまして」


 有坂くんが柔らかく笑う。


 ……いい人だなぁ。


 同じ学年に、こんなに話しやすい男の子がいたんだ。


「じゃあ、資料集めは半分ずつにしようか」

「うん!」

「桃瀬さん、どっちがいい?」

「あ、私こっち調べたい!」

「了解。じゃあ僕はもう片方を担当するね」


 そんなふうに話していると、思った以上に打ち合わせが進んだ。


「……あっ!」


 私は思わず声を上げた。


「どうしたの?」

「この広告、見たことある!」


 有坂くんが見せてくれた資料には、私が好きなお菓子の広告が載っていた。


「これ、前に買ったことあるんだけど、パッケージがすごく可愛くて!」

「へえ。味は?」

「おいしかったよ! でも、完全に見た目で買っちゃった」

「それ、今回の課題にぴったりだね」

「ほんとだ!」


 二人で顔を見合わせて笑う。


 そのときだった。


「莉子」


 聞き慣れた声が、頭の上から降ってきた。


「あっ、朔也!」


 振り返ると、そこには柊朔也が立っていた。


 黒のカーディガンに白いシャツ。少し長めの前髪が目元にかかっていて、今日も相変わらず落ち着いた雰囲気だ。


 ……私の、大好きな彼氏。


「講義終わった?」

「うん! 今、課題の打ち合わせしてたの」

「そっか」


 朔也の視線が、私の隣に座る有坂くんへ向いた。


「こんにちは」


 有坂くんが先に挨拶する。


「一年の有坂悠です。桃瀬さんと同じ講義を取っていて」

「二年の柊です」


 朔也は軽く会釈した。


「よろしくお願いします」

「うん。よろしく」


 ……あれ?


 なんだか、いつもより口数が少ない?


 いや、朔也はもともと無口なんだけど。


「朔也、どうしたの?」

「別に」

「ん?」

「打ち合わせ中なら、あとでいい」

「あ、もうほとんど終わったよ!」


 私は有坂くんを見た。


「ね?」

「うん。あとは各自で調べて、次の講義で合わせれば大丈夫そう」

「よかった!」


 私はノートを閉じた。


「じゃあ、有坂くん。また来週よろしくね!」

「うん。桃瀬さん、よろしく」


 有坂くんが微笑む。


「資料、わからないところがあったら聞いてね」

「ありがとう!」


 私は笑顔で手を振った。そして、朔也の隣に並ぶ。


「お待たせ!」

「ん」


 朔也は短く頷いた。


 ……あれ?


 やっぱり、なんか変。


     ◇


「……朔也?」

「ん?」

「怒ってる?」


 ラウンジを出て、廊下を歩きながら尋ねた。すると朔也が、少しだけ目を丸くした。


「なんで?」

「だって、なんか静かだから」

「いつも静かだろ」

「……それはそうなんだけど!」


 思わず笑ってしまう。


 でも、なんとなく、いつもの静かさとは少し違う気がした。


「ねえ、朔也」

「うん」

「有坂くん、すごくいい人だったよ!」

「そっか」

「説明もわかりやすいし、発表の練習も付き合ってくれるんだって!」

「……へえ」

「私、人前で話すの苦手だから助かるなぁって」

「うん」


 ……ん?


 返事が、短い。


 いや、もともと短いんだけど!


 私はちらりと朔也を見上げた。いつもの少し眠たそうな横顔。でも、口元がほんの少しだけ引き結ばれている。


「……朔也」

「何?」

「もしかして、何か気になる?」


 朔也は少しだけ黙った。それから、ぽつりと言った。


「仲いいんだな」

「え? 有坂くん?」

「うん」

「同じ講義だからね! 今日初めてちゃんと話したんだけど、すごく話しやすくて」

「……そっか」


 ……あ。


 私は、ようやく気づいた。


 もしかして、これって。


「……朔也」

「ん?」

「嫉妬、してる?」


 言った瞬間、朔也の足がぴたりと止まった。


「…………」

「…………」


 沈黙。


 ……え?


 当たり?


「……朔也?」

「……少し」


 小さな声だった。


「……え?」

「ちょっと、妬いた」


 そう言って、朔也は少しだけ顔を逸らした。


「でも、課題だろ」

「う、うん」

「なら、別にいい」


 そう言って歩き出す。


 ……嫉妬してる!


 私は思わず口元を押さえた。


 ……え? ちょっと待って。


 朔也が?


 あの、いつもクールな朔也が?


 私に、嫉妬?


「……ふふっ」


 思わず笑みがこぼれた。


「……何」

「ううん。なんでもない!」


 朔也が不思議そうにこちらを見る。


 ……どうしよう。


 ちょっと、嬉しいかも。


     ◇


「おーい! 朔也! 莉子ちゃん!」


 学食へ向かう途中、航平くんが大きく手を振っていた。隣には美月もいる。


「航平くん! 美月!」

「莉子、お疲れー!」


 美月が笑顔で迎えてくれた。


「課題どうだった?」

「うん! 有坂くんっていう人とペアになったよ!」

「へえ。男の子?」

「うん!」


 その瞬間、航平くんの目がきらりと光った。


「……ほう?」

「何ですか、その顔」


 美月が呆れたように尋ねる。


「いやいや、高梨ちゃん。これはなかなか興味深い話だぞ」

「何がですか」

「莉子ちゃんが、男とペアになった」

「課題ですからね」

「そして、朔也が……」


 航平くんが、ちらりと朔也を見る。


「……不機嫌そう!」

「別に」


 朔也が即答した。


「おっ! 否定が早い!」

「航平」

「何だよ!」

「うるさい」

「出た! 嫉妬してるときの朔也!」

「…………っ!」


 私は思わず、朔也を見上げた。


 ……やっぱり!


 航平くんにもわかるんだ!


「……へえ」


 美月がにやりと笑った。


「柊先輩、嫉妬するんですね」

「しないわけじゃないけど」

「……え?」


 今度は私が固まった。


 ……え?


 認めた?


 朔也が?


「おいおいおい!」


 航平くんが大騒ぎする。


「お前、付き合ってから素直すぎねえ!?」

「そう?」

「昔なら絶対認めなかっただろ!」

「莉子には隠す必要ないし」

「…………っ!」


 ……っ!


 な、なにそれ!


 私は一瞬で顔が熱くなった。


「朔也!」

「ん?」

「そういうこと、みんなの前で言わないで!」

「なんで?」

「恥ずかしいから!」


 朔也が少しだけ笑った。航平くんは天井を仰いだ。


「あー、もう! 俺も彼女欲しい!」

「三浦先輩、まずは相手を探しましょう」

「高梨ちゃん、正論が痛い!」


 私たちは笑いながら、学食へ向かった。


     ◇


 お昼を食べ終えたあと、私は美月と二人で売店へ向かった。


「……ねえ、莉子」

「ん?」

「柊先輩、ちょっと妬いてたね」

「……うん」


 私は思わず頬を緩めた。


「なんか、意外だった」

「そう?」

「だって、朔也ってあんまり感情を表に出さないから」

「まあ、そうだね」


 美月は飲み物の棚を眺めながら、頷いた。


「でも、好きな人がほかの男の子と楽しそうにしてたら、気になることくらいあるんじゃない?」

「……そっか」

「それに、柊先輩って結構一途そうだし」

「……うん」


 中学生の頃から、ずっと。


 何年も私のことを好きでいてくれた人。


 そう考えると、また胸が温かくなる。


「……ねえ、美月」

「なに?」

「嫉妬されて、ちょっと嬉しいって思うの、変かな?」


 美月は少しだけ笑った。


「変じゃないよ」

「……ほんと?」

「うん。でも、嫉妬してくれるから愛されてるってわけじゃないからね」

「……え?」

「柊先輩は、普段から十分愛情伝えてくれてるでしょ?」

「……うん」

「だったら、そこを忘れない方がいいと思う」


 私は、ゆっくり頷いた。


 ……そっか。


 そうだよね。


 朔也はいつも優しい。私の気持ちを大事にしてくれて、嫌なことは無理にさせない。嫉妬してくれたのは少し嬉しいけれど、それ以上に普段の朔也が好きなんだ。


「ありがとう、美月」

「どういたしまして」


 美月はにっこり笑った。


「まあ、ちょっと拗ねてる柊先輩は可愛かったけどね」

「……うん!」

「即答じゃん!」


 二人で顔を見合わせて笑った。


     ◇


 午後の講義が終わる頃には、大学の正門付近が学生たちで賑わっていた。


 私は朔也と待ち合わせをしていたので、スマートフォンを確認しながら歩いていた。


『正門のところにいる』


 朔也からのメッセージ。


『今行く!』


 返信して顔を上げると、少し離れたところに見慣れた黒髪を見つけた。


「朔也!」


 手を振ると、朔也がこちらを向いた。そして、ほんの少しだけ目元を緩める。


「莉子」


 ……あ。


 やっぱり、この顔が好き。


 私は小走りで近づいた。


「お待たせ!」

「ん。帰ろ」

「うん!」


 二人で並んで歩き始める。けれど、駅へ向かう道はいつもより混雑していた。


「わっ、人多いね」

「うん」


 すれ違う学生たちを避けながら歩いていると、後ろから誰かが急いで通り抜けようとした。


「莉子、こっち」

「えっ?」


 朔也の手が、私の腰のあたりにそっと添えられた。そのまま、自然に彼の隣へ引き寄せられる。


「……っ!」


 思わず息を呑んだ。


 近い。


 ものすごく、近い!


 朔也の腕が、私の身体をさりげなく守るように添えられている。


「大丈夫?」

「う、うん……!」

「そっか」


 朔也はすぐに手を離した。でも、私の心臓は全然落ち着かない。


 ……もう。


 人混みでちょっと支えてもらっただけなのに、どうしてこんなにドキドキするんだろう。


「莉子」

「ん?」

「手、繋ぐ?」

「…………」


 私は迷わず、右手を差し出した。


「……うん!」


 朔也の大きな手が、私の手を包む。指が自然に絡み合う。


 ……あったかい。


 私はそっと、朔也の隣に寄った。


「……朔也」

「ん?」

「今日のことなんだけど」

「うん」

「有坂くんとペアになったこと、気になる?」


 朔也は少しだけ黙った。それから、静かに答えた。


「まあ、少し」

「……そっか」

「でも、課題だし。莉子が誰と組むかは、莉子の自由だろ」


 その言葉に、胸が温かくなった。


 ……やっぱり、朔也だ。


 嫉妬していても、私の行動を制限しようとはしない。


「……ありがとう」

「何が?」

「そういうところ、好き」


 言った瞬間、朔也の足がぴたりと止まった。


「…………」

「……朔也?」


 見上げると、彼は少しだけ顔を逸らしていた。


「……今の、ずるい」

「……え?」

「急に好きとか言うから」

「…………っ!」


 ……あ。


 照れてる。


 私は思わず笑ってしまった。


「ふふっ。だって本当だもん」

「そっか」


 朔也は小さく息を吐いた。そして、繋いだ手をそっと握り直す。


「俺も好き」

「…………っ!」


 ……っ!


 もう!


 結局、最後に照れるのは私なんだから!


     ◇


 駅へ向かう途中、私たちは少しだけ遠回りをすることにした。


 大学の近くにある、小さな公園。夕方の柔らかな日差しが、木々の間から差し込んでいる。


「莉子」

「ん?」

「ちょっと、座る?」

「うん!」


 私たちはベンチに並んで腰を下ろした。繋いでいた手は、そのままだった。


 しばらく、二人で何でもない話をした。今日の講義のこと。航平くんがまた変なことを言っていたこと。美月が新しいアルバイト先で褒められたこと。


 そして。


「……ねえ、朔也」

「ん?」

「さっきの話、もう一個聞いてもいい?」

「いいよ」


 私は少しだけ迷ってから、口を開いた。


「朔也って、私がほかの男の子と話してると、いつも気になるの?」


 朔也は少し考えるように黙った。


「いつもじゃない」

「……そっか」

「でも、今日は」

「……うん?」

「楽しそうだったから」


 朔也は少しだけ視線を落とした。


「……ちょっと、羨ましかった」

「…………え?」


 私は目を丸くした。


「羨ましい?」

「うん」

「……なんで?」


 朔也は、私を見た。その目元が、ほんの少しだけ柔らかくなる。


「莉子の笑顔、好きだから」

「…………っ!」


 ……っ!


 そんなの。


 そんなこと言われたら。


「……朔也」

「ん?」

「私、朔也といるときが一番楽しいよ」


 気づけば、そんな言葉がこぼれていた。朔也が、少しだけ目を見開く。


「……ほんと?」

「うん!」


 私は笑顔で頷いた。


「もちろん、美月や航平くんといるのも楽しいし、有坂くんとの課題も楽しかったけど」

「うん」

「でも、朔也といると、なんか安心するの」


 私は繋いだ手を、そっと握り直した。


「それに、今は」

「ん?」

「朔也に、ぎゅってしてもらうのも好き」

「…………」


 朔也が固まった。


 ……あ。


 また、やっちゃった。


 でも、今日は逃げない。


 私は少しだけ勇気を出して、朔也の方へ身体を寄せた。


「……だから」

「うん」

「ぎゅってして?」


 朔也は一瞬だけ目を伏せた。それから、困ったように笑った。


「……莉子ちゃん」

「…………っ!」


 ……また、その呼び方。


 私が甘えたときや、朔也がちょっと照れたときにだけ出てくる、特別な呼び方。


「それ、反則」

「……えへへ」


 朔也が、そっと腕を広げる。私はその胸元に、遠慮なく飛び込んだ。


 大きな腕が、私を優しく包む。


 ……あったかい。


 朔也の匂いがする。いつもの、落ち着く匂い。


「……朔也」

「ん?」

「大好き」


 小さく呟くと、朔也の腕に少しだけ力がこもった。


「俺も」


 低い声が、頭の上から降ってくる。


 私はそっと顔を上げた。朔也が、私を見つめている。その瞳は、いつもより少しだけ甘い。


「莉子」

「……うん?」

「キスしていい?」

「…………っ!」


 私は真っ赤になりながら、小さく頷いた。


「……うん」


 朔也が、ゆっくり顔を近づける。私はそっと目を閉じた。


 唇に、柔らかな感触が触れる。


 短くて、優しいキス。


 それだけなのに、胸がいっぱいになる。


 顔を離すと、朔也が少しだけ笑った。


「ありがと」

「……え?」

「安心した」


 私は思わず、朔也を見つめた。


 ……そっか。


 朔也だって、不安になることがあるんだ。


 ずっと私を好きでいてくれた人。いつも落ち着いていて、何でもわかっているように見える人。でも、恋人になったからって、急に全部が平気になるわけじゃない。


 ……私と同じなんだ。


「……朔也」

「ん?」

「これからは、ちゃんと言うね」

「何を?」

「好きって」


 朔也が、少しだけ目を丸くした。そして、ふっと笑った。


「うん」


 私は彼の手を、もう一度ぎゅっと握る。


 嫉妬する朔也は、ちょっと意外だった。でも、嫌じゃなかった。むしろ、普段は見せない気持ちを、私にだけ見せてくれたことが嬉しかった。


 ……ただ、ひとつだけ困ったことがある。


 クールな彼氏が、嫉妬すると。


 いつもより少しだけ甘くなるのだ。


 そして、その甘さに、私は今日も簡単に負けてしまう。


「……ねえ、朔也」

「ん?」

「今度、私も嫉妬するかもしれないよ?」


 冗談めかして言うと、朔也が少しだけ目を細めた。


「そっか」

「……え?」

「そのときは、ちゃんと言って」


 朔也は私の手を、優しく握り直した。


「不安にさせたくないから」

「…………」


 胸の奥が、じんわり温かくなる。


 ……ああ。


 やっぱり、この人が好き。


 私は笑顔で頷いた。


「……うん!」


 朔也も、ほんの少しだけ笑った。


 夕方の公園で、私たちはもう一度、そっと手を繋ぎ直した。


 クールで、無口で、少しだけ嫉妬深い私の彼氏。でも、その嫉妬は、私を縛るためのものじゃない。ただ、私のことが好きだからこそ生まれた、素直な気持ちなんだと思う。


 ……そんな朔也の隣で。


 私は今日も、幸せです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。