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おっぱいコンプレックスの私を、幼馴染が全肯定してくる  作者: 黒猫と珈琲


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18/20

最終話 好きな私で、君の隣に

「莉子、ちょっと待って!」

「えっ? どうしたの、美月?」


 十二月下旬。クリスマスまであと数日という朝、私は大学の正門前で美月に呼び止められた。


 振り返ると、美月が私を上から下まで眺めて、にやりと笑っている。アッシュブラウンの髪を揺らしながら近づいてくるその表情は、何か面白いものを見つけたときのものだ。


「今日の莉子、すっごく可愛いじゃない!」

「えへへ。ありがとう!」


 私は嬉しくなって、その場でくるりと回ってみせた。


 今日着ているのは、先日買ったばかりの淡いピンク色のニットワンピース。上には白いショートコートを羽織り、足元はブラウンのショートブーツで合わせている。ふんわりした色合いが気に入って、試着したときからずっと着るのを楽しみにしていた。


 実は、このワンピースを買うとき、少しだけ迷った。


 身体のラインが出やすいデザインだから、以前の私だったら試着する前に諦めていたかもしれない。でも、鏡に映った自分を見たとき、素直に可愛いと思えたのだ。胸元がきつくないか、動きにくくないかも確かめて、それでもやっぱり着たいと思った。そして今朝、鏡の前で思いきって声に出してみた。


『……うん。今日も可愛い!』


 自分で言うのは、ちょっと照れくさかったけれど。


 もちろん、今でも服選びに迷うことはあるし、知らない人の視線が気になる日だってある。だけど、だからといって、好きな服を全部諦める必要はない。少しずつ、そう思えるようになってきた。


「このワンピース、前に一緒に見たやつよね?」

「うん! やっぱり可愛くて、買っちゃった!」

「いいじゃない。すごく似合ってる」

「ありがとう、美月!」


 私が笑うと、美月も嬉しそうに目を細めた。


「最近の莉子、なんか変わったわよね」

「えっ? そうかな?」

「うん。前より楽しそう。特に服選んでるとき」


 私は少し考えてから頷いた。


「……そうかも」


 前は、似合うかどうかよりも、目立たないかどうかを考えていた。でも今は、着たいと思ったものを選べる日が増えた。


 それはきっと、朔也のおかげでもある。だけど、最後に選んだのは私自身だ。


 そう思うと、なんだか嬉しかった。


「ま、柊先輩が見たら、今日も大変そうだけど」

「えっ? 何が?」

「……ほんと、莉子ってば」


 美月は呆れたように笑った。


 どういう意味だろう?


 首を傾げていると、背後から聞き慣れた声が飛んできた。


「おーい! そこの幸せそうな女子二人!」

「あっ、航平くん!」


 三浦航平くんが、片手を上げて駆け寄ってきた。その後ろには、朔也もいる。


「おはよう、莉子ちゃん! 高梨ちゃん!」

「おはよう、航平くん!」

「おはようございます、三浦先輩」

「朝から元気だな、二人とも!」


 航平くんは勢いよく拳を握った。


「そりゃ俺だって元気出すしかないだろ! もうすぐクリスマスなんだから!」

「そういえば、彼女探しはどうなったんですか?」

「高梨ちゃん、それを聞くか!? 今年こそ彼女ができるはずだったのに!」

「……もう過去形なんですね」

「そこは察してくれ!」


 私は思わず笑ってしまった。


 どうやら航平くんの彼女探しは、今年も難航しているらしい。


「でも航平くん、クリスマスはまだこれからだよ?」

「莉子ちゃん……! やっぱり君は優しい!」

「期待させないほうがいいと思うけど」


 朔也が静かに言うと、航平くんが大げさに肩を落とした。


「柊! お前には俺の気持ちなんかわからないんだ!」

「……まあ、彼女いるからね」

「うわああ! 言った! こいつ、言いやがった!」


 美月が吹き出し、私も笑いをこらえきれなくなった。


 そんな私の隣に、朔也が自然に並ぶ。


「おはよう、莉子」

「おはよう、朔也!」


 朔也は私の顔を見て、それからワンピースに視線を落とした。


「……今日、いつもと雰囲気違うね」

「うん! 新しい服なの!」

「そっか。似合ってる」

「ほんと?」

「うん。色もいいね」


 その言葉に、私は思わず笑顔になった。


「ありがとう!」

「莉子が気に入ってるの、顔見ればわかる」

「えへへ。だって、すごくお気に入りなんだもん!」


 朔也は小さく笑った。


 その隣で、航平くんが深いため息をつく。


「……なあ、高梨ちゃん」

「何ですか?」

「俺たち、ここにいる必要ある?」

「ないかもしれませんね」

「ひどくない!?」


 いつもどおりの賑やかな朝。


 私は三人と笑い合いながら、講義棟へ向かった。


     ◇


 昼休み。


 私と美月はカフェテリアで、温かいカフェオレを飲んでいた。窓の外には冬の青空が広がり、キャンパスのあちこちにクリスマスの飾りが見える。テーブルの上には、午後の講義で使う資料が置かれていたけれど、今はすっかりおしゃべりの時間になっていた。


「で? クリスマスデートはどうなったの?」


 美月が楽しそうに尋ねてきた。


「えっとね、イルミネーションを見に行くことになったよ!」

「いいじゃない!」

「うん! それで、帰りにケーキを買って、朔也の部屋で食べる予定なの」

「ふふっ。楽しそう」


 私は頷いて、カフェオレを一口飲んだ。


「美月は? クリスマス、何するの?」

「私は友達と映画。あとは家でのんびりかな」

「そっか!」

「三浦先輩は、また騒いでそうだけどね」

「ふふっ。想像できちゃう」


 そう言い合っていると、カフェテリアの入り口に見覚えのある姿が見えた。


「あっ、有坂くん」


 私が声をかけると、有坂くんがこちらを向いた。


「桃瀬さん。高梨さんも、こんにちは」

「こんにちは!」

「お疲れさま、有坂くん」


 有坂くんは以前と変わらない穏やかな笑顔を浮かべていた。


 あの日、中庭で告白されたあと、しばらくは講義でも必要なこと以外、あまり話さなくなっていた。私も、どう接したらいいのか迷うことがあった。でも、最近は顔を合わせれば普通に挨拶するようになっている。


「この前のレポート、提出できた?」

「うん! 有坂くんは?」

「僕も無事に。ちょっと大変だったけどね」

「わかる! 資料、多かったもんね」


 私たちは顔を見合わせて笑った。


 すると、有坂くんが少しだけ真面目な顔になった。


「……桃瀬さん」

「うん?」

「前に話したことなんだけど」


 私は静かに彼を見た。


 美月も何かを察したのか、そっとカップを置いた。


 有坂くんは少し言葉を選んでから、穏やかに続けた。


「あれから自分なりに考えて、少しずつ気持ちの整理がついてきたよ」

「……そっか」

「まだ完全に何とも思わなくなったわけじゃないけど、ちゃんと前を向こうと思ってる」


 その言葉に、私は小さく頷いた。


「……うん」

「だから、気を遣いすぎないでね。これからも、同じ大学の友達としてよろしく」

「もちろん!」


 私が笑顔で答えると、有坂くんもほっとしたように微笑んだ。


「それと……柊先輩と、幸せにね」

「……ありがとう、有坂くん」


 私はまっすぐに彼を見て答えた。


 有坂くんは小さく頷き、手を振ってその場を離れていった。


 その背中を見送りながら、私は静かに息を吐いた。


 好きだと言ってくれた気持ちに、応えることはできなかった。でも、あの日、ちゃんと自分の気持ちを伝えてよかったと思う。有坂くんも、自分の気持ちを大切にしながら、少しずつ前に進もうとしている。私も必要以上に気を遣うのではなく、自然に接していけたらいいな。


「……よかったね、莉子」


 美月が優しく声をかけてくれた。


「うん」

「有坂くんも、ちゃんと前を向こうとしてるんだね」

「……うん。私も、そう思う」


 私は窓の外を見た。


 冬の陽射しが、キャンパスを柔らかく照らしている。


 誰かを好きになる気持ちって、きっと大切なものなんだ。その恋が叶っても、叶わなくても。


 だからこそ、有坂くんが真剣に伝えてくれた気持ちも、忘れずにいたいと思う。


 そしていつか、彼にも心から笑い合える相手が見つかったらいいな。


 私はそっと、そう願った。


     ◇


「……あ、いい匂い!」


 夕方、朔也の部屋を訪ねると、玄関までコーヒーの香りが漂ってきた。


「いらっしゃい、莉子」

「お邪魔しまーす!」


 今日は講義が終わったあと、朔也の部屋でゆっくり過ごす約束をしていた。


 先週は課題とアルバイトで忙しかった朔也だけれど、ようやく一段落したらしい。私がこの前夕食を作った日のことも、何度か話題にしてくれた。膝枕が思った以上に気持ちよかったらしく、またお願いしたいと言われている。


 玄関で靴を脱ぎながら、私は尋ねた。


「朔也、もうコーヒー淹れてたの?」

「ううん。ちょうど豆を挽こうと思ってたところ」

「あっ、じゃあ私もやりたい!」


 朔也が少し驚いたように振り返った。


「莉子が?」

「うん! いつも朔也が淹れてくれるから、今日は一緒にやってみたいの」


 そう言うと、朔也は嬉しそうに笑った。


「いいよ。じゃあ、こっちおいで」


 私はコートを脱ぎ、手を洗ってからキッチンへ向かった。


 カウンターには、いつもの手挽きのコーヒーミルと、豆の入った小さな容器が置かれている。何度も見てきた道具なのに、自分で使うとなるとなんだか新鮮だった。


「まずは、これくらい豆を入れて」

「うん!」

「それで、ゆっくり回してみて」


 朔也に教えてもらいながら、私はミルのハンドルを握った。


 からから、からから。


 思っていたよりも少し力がいる。


「わっ、結構大変!」

「最初はそうかも」

「朔也、いつもこれやってくれてるんだね」

「好きでやってるからね」


 朔也は私の隣に立ち、ミルが動かないように支えてくれた。


 私がハンドルを回すたびに、香ばしい匂いがふわりと広がっていく。豆が砕ける感触が手に伝わってきて、少しずつ回しやすくなっていくのも面白い。


「……いい匂い!」

「挽きたてだからね」

「なんか、楽しい!」


 私は夢中になってハンドルを回した。


 全部挽き終わる頃には、ちょっとだけ腕が疲れていたけれど、それ以上に達成感があった。


「できた!」

「うん。上手」

「えへへ!」


 今度は朔也がドリッパーを準備してくれた。


 私は隣で、お湯を注ぐ様子をじっと見つめる。


「最初は少しだけお湯を入れて、蒸らすんだ」

「へえ……!」

「それから、ゆっくり円を描くように注ぐ」


 ふわりと膨らむコーヒーの粉を見て、私は思わず声を上げた。


「わあ! すごい!」


 朔也がくすっと笑う。


「そんなに面白い?」

「うん! だって、いつも飲んでるカフェラテが、こうやってできるんだもん!」


 朔也は少しだけ目を細めた。


「じゃあ、今度は莉子が淹れてみる?」

「えっ、いいの?」

「もちろん。今日も豆、上手に挽けたし」

「やったあ!」


 私は嬉しくなって、朔也を見上げた。


「じゃあ、練習して、いつか朔也にコーヒー淹れてあげるね!」

「楽しみにしてる」


 そう言って笑う朔也の顔が、とても優しかった。


     ◇


 出来上がったカフェラテを持って、私たちはソファに並んで座った。


 朔也はいつものブラックコーヒー。私はミルクたっぷりのカフェラテ。窓の外では、少しずつ夕日が傾き始めている。


「……おいしい!」


 ひと口飲んで、私は思わず笑顔になった。


「自分で豆を挽いたから、いつもよりおいしく感じるかも!」

「それはよかった」


 朔也もコーヒーを飲みながら、穏やかに微笑んだ。


 私はマグカップをテーブルに置くと、少しだけ身体を彼のほうへ向けた。


「ねえ、朔也」

「ん?」

「クリスマス、楽しみだね!」

「うん。イルミネーション、見に行こうね」

「あと、ケーキ!」

「莉子、ケーキが一番楽しみなんじゃない?」

「ち、違うもん!」


 私が慌てて答えると、朔也は楽しそうに笑った。


「冗談」

「もう!」


 私は頬を膨らませた。


 すると、朔也がそっと手を差し出した。


「……莉子、こっちおいで」

「もう隣にいるよ?」

「もう少し近く」

「ふふっ。甘えん坊だね、朔也」


 そう言うと、朔也は少しだけ目を細めた。


「……莉子にだけね」


 その言葉に、胸がきゅっと温かくなる。


 私は笑いながら彼の肩に寄りかかった。朔也が私の手を取り、指を絡めてくれる。こうして寄り添っていると、いつも安心する。


 私はふと、彼の横顔を見上げた。


「……朔也」

「ん?」

「今日のワンピース、どう?」

「朝も言ったけど、似合ってるよ」

「えへへ。実はね、買うときちょっと迷ったんだ」


 朔也は私のほうを向いた。


「そうなの?」

「うん。でも、鏡を見たら可愛いなって思って。だから、買っちゃった!」


 私が笑うと、朔也も柔らかく微笑んだ。


「そっか。よかったね」

「うん!」


 その返事が嬉しかった。


 私は膝の上で、ワンピースの裾をそっと整えた。淡いピンク色の柔らかな生地が、指先に触れる。


「……ねえ、朔也。私、前より自分のことが好きになれた気がするの」

「うん」

「まだ苦手なこともあるし、知らない人にじろじろ見られるのは嫌だけど……今日は、この服が着たかったんだ」

「そっか」

「朔也に可愛いって言ってもらえたのも嬉しい。でもね、一番嬉しかったのは、自分で可愛いって思えたことなの」


 言葉にすると、少し照れくさかった。


 朔也は急かすこともなく、私の話を聞いてくれていた。そして、繋いだ手を優しく握り直してくれる。


「……いいね」

「ほんと?」

「うん。莉子が自分で選んで、楽しそうにしてるの、俺も嬉しいよ」


 その言葉に、私はにっこり笑った。


「ありがとう、朔也!」


 小さい頃から、朔也はずっと私のそばにいてくれた。落ち込んだときも、うまく笑えないときも、変わらずに接してくれた。


 その優しさに、何度も助けられてきたと思う。


 でも、今日のワンピースを選んだのは私だ。


 美月と買い物をして、試着して、迷って、それでも着たいと思った。


 あのときの小さな決心を、今はちょっと誇らしく思う。


「……ねえ、朔也」

「ん?」

「私、これからも自分の好きなものをいっぱい見つけたい!」

「うん」

「それで、朔也といろんなところに行って、いろんなことをしたい!」

「いいね」

「あとね、朔也のことも、もっといっぱい甘やかしたい!」


 そう言うと、朔也がくすっと笑った。


「この前の膝枕、またお願いしていい?」

「もちろん!」

「じゃあ、今度はコーヒーも莉子に淹れてもらおうかな」

「ま、任せて! 練習するから!」


 私が胸を張ると、朔也は楽しそうに目を細めた。


「楽しみにしてる」


 私は嬉しくなって、彼の肩にもう一度頭を寄せた。


 窓の外では、夕日が街をオレンジ色に染めている。朔也の手は相変わらず温かくて、淹れたてのコーヒーの香りがまだ部屋に残っていた。


 私はそっと目を閉じた。


 こんな穏やかな時間が、今はとても好きだ。


     ◇


 帰る時間が近づいた頃、朔也がカレンダーを見ながら言った。


「……そういえば、冬休みはどうする?」

「冬休み?」

「うん。初詣とか、行きたいところある?」

「あっ、行きたい!」


 私は勢いよく頷いた。


「初詣も行きたいし、映画も見たいし……あとは、みんなでまた集まりたいな!」

「航平たちと?」

「うん! 美月とも遊びたい!」

「いいね。航平も暇そうだし」

「ふふっ。航平くん、怒っちゃうよ?」


 朔也が小さく笑う。


 私はスマートフォンを取り出し、カレンダーを開いた。冬休みには、やりたいことがたくさんある。初詣に映画、それから美月たちとの集まり。考えているだけで、予定を埋めるのが楽しみになってくる。


「じゃあ、冬休みの予定、いっぱい考えよう!」

「うん」

「でも、二人で過ごす日もちゃんと作ろうね?」


 そう言うと、朔也が少し驚いたように私を見た。


「……莉子から言ってくれるんだ」

「えへへ。だって、朔也とデートしたいもん!」


 朔也は私の手を取ると、指を絡めた。


「……俺も」


 その優しい声を聞いて、私は自然と笑顔になった。


 大好きな人と、これからの予定を考える。そんな何気ないことが、こんなに楽しいなんて。きっと、去年の私には想像もできなかった。


「……ねえ、朔也」

「なぁに?」

「私、今すっごく幸せだよ」


 朔也が私を見つめた。


「うん」

「朔也は?」


 少しだけ意地悪な気持ちで尋ねてみる。


 すると、朔也は迷わず答えた。


「……俺も、幸せ」


 私は嬉しくなって、繋いだ手をぎゅっと握った。


 思えば、ここまでいろんなことがあった。


 自分の身体が嫌いで、鏡を見るのも憂鬱だった日。可愛い服を見つけても、似合わないかもしれないと諦めていた頃。


 そんな私が今は、お気に入りのワンピースを着て、好きな人の隣で笑っている。


 もちろん、これからも悩む日はあると思う。


 でも、そんな日があっても、自分を嫌いになる必要はない。


 私は私のままで、楽しく毎日を過ごしていきたい。


「……朔也!」

「ん?」

「大好き!」


 朔也は一瞬だけ目を丸くして、それから柔らかく微笑んだ。


「……知ってる」

「えへへ!」

「でも、何回でも聞きたい」

「じゃあ、何回でも言うね!」


 私は笑顔で答えた。


 朔也が私の手をそっと持ち上げ、指先に軽く口づけた。


「……それなら、俺も負けないよ」

「えっ?」

「莉子のこと、これからもたくさん好きって言うから」

「もう! それじゃあ、また私が照れちゃうよ!」


 朔也が楽しそうに笑った。


 その笑顔を見て、私もつられて笑ってしまう。


 幼馴染だった頃には、こんなふうに甘い言葉を交わす日が来るなんて思っていなかった。でも、今では朔也の知らなかった表情を見つけるたびに、もっと好きになってしまう。


 甘やかされるのも、大好き。


 でも、甘やかすのも、同じくらい大好きだ。


「これからも、ずーっとよろしくね! 朔也!」


 私は繋いだ手を握り直して、笑いかけた。


 朔也は私を見つめ、優しく笑った。


「……こちらこそ。ずっとよろしく、莉子」


 窓の外では、冬の一番星が輝き始めていた。


 もうすぐ、大好きな人の隣で迎える初めてのクリスマス。イルミネーションを見て、ケーキを食べて、きっとまた、朔也にたくさん甘やかされるんだと思う。


 でも、今度は私だって負けない。


 だって、朔也のことが大好きなんだもん!


 私はお気に入りのワンピースの裾を揺らしながら、彼の隣で笑った。


 そんな今の私が、結構好きだ。


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