↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】嘘ばかりの婚約者様、どうぞ愛する人とお幸せに  作者: 風見ゆうみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/56

48  母と姉の後悔 ⑤

 ティファリーは無言でノーリーを見つめた。


(本当に反省していたら、自分から許してほしいと言わない気がするのですけど、そう思ってしまうのは、私の性格がひねくれてしまっているからでしょうか)


 ノーリーのことを許さないと決めている。ただ、謝罪の言葉を述べている人を、冷たく突き放すのは、一般的には温情がないと言われるのかもしれない。


 ティファリーの胸に少しの不安がよぎった時、反応しないティファリーにしびれを切らしたノーリーがケインに話しかけた。


「殿下、聞いてください! 私は何度もティファリーに謝ったんです! それなのに、ティファリーはまったく聞く耳を持ってくれなくて!」

「自分に酷いことをした相手を、そう簡単に許せるわけがないだろう」

「で、ですが、私たちは家族なのです!」

「家族から何をしても許されると思っているのか?」

「そうではないんです! ……ただ、ただっ!」


 いい言葉が思い浮かばなかったノーリーは、両手で顔を覆って泣き始めた。今までは嘘泣きが多かったが、今回は悲しくて本当の涙を流していた。

 ……といっても、ティファリーへの罪悪感からなどではなく、今の環境が厳しいことについての悲しみだった。


「私とあなたの血は繋がっておりますし、家族であることに変わりはないかもしれません。ですが、許す許さないは別ものです」

「家族だからこそ大目に見るのが普通でしょう!」


 反論したノーリーは顔を上げ、ケインに訴えかける。


「ケイン殿下、ティファリーは昔から冷たい子でした。だからつい、両親や弟たちに必要以上に甘えてしまっていました。それがきっかけで、ティファリーから恨まれるようになってしまったのです!」

「ティファリーが冷たいとは思えないが、それはそれとして、どうして両親たちに必要以上に甘える必要があるんだ?」


 ケインは家族に甘えることを悪いとは思っていない。ただ、嘘をついてまでティファリーを貶めるのは違うと思っていた。

 ケインが自分に興味を持ってくれていると思ったノーリーは、涙で頬にくっついた髪など、気にする様子もなく答える。


「家族が何とかして、ティファリーを止めてくれると思ったんです」

「君の答えは俺にはいまいち理解できない」


 胸の前で腕を組み、ケインは眉をひそめた。不快感を表すようなその姿は、ノーリーにとってたまらないものだった。

 ノーリーはうっとりとした目でケインを見つめながら話す。


「あの時の私はティファリーの嘘にうんざりしていて、自分のことを信じてくれる家族に依存していました。ですから……」

「可哀想な君をティファリー以外の家族が守ってくれると思ったのか?」

「そうです」


 息をするように嘘をつく姉に、ティファリーは驚きを隠せなかった。


(ゲッティも酷かったですが、ノーリーお姉様も同レベルですね)


 ティファリーはこれ見よがしに大きなため息を吐く。すると、ノーリーはティファリーにすがりついた。


「本当に反省しているのよ! 私をここから出して! 家に戻れたら、ちゃんと素敵な相手を探して家から出ていくから!」


 ノーリーの噂は社交界に知れ渡っている。いくら容姿が良かろうとも、問題の多い女性をめとりたいという同年代の男性はいないだろう。

 冷静に考えればわかることだ。しかし、ティファリーは、もう少しだけ話を聞くことにした。


「お姉様、素敵な相手というのは、どのような人のことでしょう」

「それはもちろん、独身で素敵な方よ」

「独身で素敵な方はたくさんいらっしゃると思いますが、そのような方には婚約者がいらっしゃるのではないでしょうか」

「婚約者がいない人に決まっているでしょう!」

「でしたら、かなり数が限られてきますよね」

「ええ。でも、絶対に存在することは確かよ」


 ノーリーは大きく頷き、ちらりとケインに視線を送った。ケインの視線はティファリーに注がれており、ノーリーと目が合うことはない。


 ティファリーはノーリーが未だにケインを諦めていないことに気が付き、ケインに話しかける。


「婚約者がおらず、独身で素敵な方といいますと、殿下もそうですわよね」

「お、俺が?」

「はい」


 ティファリーはただ真実を述べただけだったが、ケインは恥ずかしそうに目を逸らした。


(ケイン殿下って、こんなタイプでしたっけ?)


「ティファリー、それよりも今日、あなたが私に話そうとしていた内容がどんなものなのか教えて!」


 ケインの様子がおかしいことに気がついたノーリーは、不安を覚えて話題を変えた。

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。