↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】嘘ばかりの婚約者様、どうぞ愛する人とお幸せに  作者: 風見ゆうみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/56

46  母と姉の後悔 ③

「ど、どうしてティファリーがいるのよ!?」


 猫を被る余裕がなくなったノーリーは、ティファリーを指差して叫んだ。すると、ティファリーはわざとらしく首を傾けた。


「おかしいですわね。お父様からの返信には家族がと書いてあったはずです。私はお父様の娘ですから家族ですわよね? 私が来てもおかしくはないのではないでしょうか」

「そ、それはそうかもしれないけれどっ!」

「それならそこまで驚かなくてもいいかと思いますが?」

「……っ! で、でも、ケイン殿下を連れてくる必要はあったの!?」


(そうなんですよねぇ)


 ノーリーに問いかけられたティファリーは、苦笑するしかなかった。

 どう答えようか考えながら、ティファリーは自分が労働所に向かって旅立とうとした時のことを思い出す。


 労働所の管理は厳しく、突然訪ねてっても面会を許してもらえない。そのため、ティファリーは労働所に面会の申請をしていた。すぐに許可は下りたものの、ティファリーが労働所に行くことを知ったケインが、家を出発しようとした彼女の前に現れたのだ。

 ちなみに側近は同行しているが、その中にティファリーの兄の姿は見えなかった。


「ノーリー嬢のもとに行くんだろう? 俺も一緒に行ってもいいか?」

「はい!?」


 そう尋ねられた時は、大きな声で聞き返してしまった。


 ティファリーは別にケインを拒否する気持ちはなかった。ただ、家族のいざこざにこれ以上、彼を巻き込みたくない。ただ、それだけの気持ちだった。

 しかし、ケインには、ティファリーの気遣いは別の意味に捉えられてしまう。


「……そうだよな」


 迷惑だと思われていると受け取ったケインが、あからさまに傷ついた顔をしたのだ。

 彼がそんな表情をしているのを見たことがなかった側近たちは慌てて、ティファリーに駆け寄ってきた。


「ティファリー様、お願いします! どうか殿下も連れて行ってあげてください!」

「で、ですが、ケイン殿下にはまったく関係のないお話ですから、一緒に行っても退屈かと思うのです」

「退屈なんかじゃない。ただ、俺は、その君と……」


 ケインは頬を少しだけピンク色に染めて、ゴニョゴニョと語尾は誤魔化した。

 彼が何を言おうとしていたのか。ティファリーはさっぱりわからなかったが、ここまで頼まれたのなら、断るのも失礼かと考え、今日の朝に彼と合流し、共にノーリーの部屋にやって来たのだ。


「ちょっと、ティファリー! 聞いてるの? まさか、無理やり連れてきたんじゃないでしょうね!? 申し訳ございません、ケイン殿下! ティファリーにはちゃんと謝罪をさせますので!」


 自分のことを少しでも良く思ってもらいたかったノーリーは、ティファリーを責めようとした。しかし、ケインに睨まれて口を噤む。


「さっきも言ったが、俺が彼女に無理を言って付いてきたんだ。ティファリーを責めるのはやめろ」

「も、申し訳ございません」


 ノーリーは涙目になって肩を落とした。


(ケイン殿下が私の味方をしてくださるのはありがたいのですが、殿下は私のことを良い人だと思っているようです。お姉様と話をする私を見て、性格が悪いとがっかりさせてしまうかもしれません)

 

 ポッポや家族のことを思うと、ケインに悪い印象は持たれたくない。しかし、今日で姉の悪あがきを断ち切るためにここにやって来た。


(まあ、何とかなるでしょう)


 ティファリーはポジティブ思考に切り替えると、ノーリーに尋ねる。


「お姉様、いつまでケイン殿下を立たせておくおつもりですか?」

「えっ? あ、ケイン殿下、も、申し訳ございません。どうぞ中にお入りください」


 ノーリーに促され、ティファリーとケインは部屋の中に足を踏み入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。