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【書籍化決定】嘘ばかりの婚約者様、どうぞ愛する人とお幸せに  作者: 風見ゆうみ


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41 元婚約者と祖母の嘆き ①

「無理だよ! そんなことくらいわかってる! だけど、何とかしてほしいから頼んでいるんじゃないか!」

「できません」

「そんな……!」

 

 ゲッティはみっともなく暴れたが、状況が変わるわけではなかった。

 すでに父親は爵位を返上しており、彼は貴族ではない。今までのように金で解決することはできない。

 そのことを理解していたため、ティファリーに媚びることを考えたが、結局は相手にされなかった。

 バタバタと足を動かすゲッティを見下ろしながら、ティファリーは口を開く。


「誰かのためにつく優しい嘘なら許せます。でも、あなたの嘘は自分を守るためだけの嘘です。あなたは嘘つきのレッテルが貼られるでしょう。いつか後悔する日が来ることでしょう」

「……すでに後悔しているよ」


 ゲッティは情けない顔をして目を逸らした。


(嘘をつき続ければ、本当のことも嘘だと思われてしまうことがあります。そのせいで命を奪われるようなことに発展しないようにしてほしいものです)


 嘘の内容によっては、誰かから恨みを買うことは間違いない。ゲッティのせいで誰かが犠牲になれば、本人や親しい者から報復されることもあるだろう。

 それは自業自得でもある。

 しかし、ゲッティが亡くなれば、少なくとも彼の両親は悲しむことになる。それに相手が誰であれ、不幸を願うことは良くない。


 ティファリーはそう考え、これ以上、彼が馬鹿なことを仕出かさないように手を打つ。


「ゲッティが逃げないように公爵家から見張りを派遣しようと思うのですが、よろしいでしょうか」

「かまわないが、わざわざ公爵家から派遣させなくても、このまま捕まえておいてもいいぞ」

「ありがとうございます」


 言葉に甘えることにしたティファリーは、礼を言って頭を下げた。


「ティファリー、ほ、本当に、た、助けて、くれないのか?」


 声を震わせ涙目になっているゲッティに、ティファリーは柔らかな笑みを見せた。


「た、助けてくれる?」

「助けるわけがないでしょう。ケイン殿下、場所を移動しませんか」

「……そうだな」


 ケインが首肯すると、ティファリーはゲッティに背を向けて歩き出す。


「そんな……っ、ティファリー!」


 必死に手を伸ばし、彼女の名を呼んだが手は差し伸べられないどころか、ティファリーは振り向くこともなかった。


 その後、ゲッティは部屋に戻され、要注意人物として騎士の監視が付いた。そして、次の日にはゲッティは世話係を解雇され、両親の元へ強制的に帰されたのだった。


******


 女性たちが被害届を出したことで、ゲッティの状況はがらりと変わった。

 今までは公爵家に対しての罪だけだったが、結婚詐欺についても罪を償わなければならなくなったからだ。


 騎士たちも相手が貴族では動きにくかったが、平民であれば違ってくる。

 ゲッティへの態度は今までと打って変わってぞんざいになり、お金を渡すから許してくれと言われても相手にしなかった。


 刑事罰は点数形式で罰が設定されていく。点数が大きいものを罰として決定する国もあるが、ティファリーの国は違った。

 点数は足されていき、合計の点数によって、罰と期間が決まる。

 結婚詐欺自体はそう重い罪にはならなかったが、公爵家への名誉毀損は通常よりも点数が加算されることになった。

 そのため、ゲッティはイトメニア公爵家が望んでいたように、鉱山に送られることとなった。しかも、被害届を出した女性に対しての慰謝料などを支払い終えるまでは、働き続けなければならない。

 期間は無期限。灼熱の地での過酷な労働は、体力のないゲッティにはとても辛いものになると予想された。

 しかし、彼は自分なら何とかなると思っていた。

 ティファリーが彼に話したことが現実になるなど、夢にも思っていなかった。



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