↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘ばかりの婚約者様、どうぞ愛する人とお幸せに  作者: 風見ゆうみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/34

29 どうぞお幸せに ①

 次の日の昼には、パス伯爵家から婚約破棄を受け入れる書類に署名がされたものが届けられた。


 ノウンはゲッティに対して婚約中に浮気をしたことや、ティファリーに対する風説の流布への慰謝料を求めていた。

 しかし、パス伯爵家は破産寸前である。王家からの印象も良くないため、このままでは没落の道しか見えない。

 回収できないとわかっているため、ティファリーの許可を取り、慰謝料を求めない代わりに書類に署名することを水面下で進めていたのだ。


 ゲッティやパス伯爵夫妻は、ティファリーを甘く見ていた。浮気に気づいていなかった呑気なティファリーなら、ゲッティを許すと思い込んでいた。

 ティファリーたちが権力を使って、婚約破棄を承認させないことは、彼女がまだゲッティを愛しているからだと考えていたのである。


 ティファリーたちがゲッティの承認を待ち続けた理由は、領民の反感を買わないようにするためだった。

 ゲッティが罪を認めない限り、本人は違うと言っているのに、無理矢理話を進められたと噂が流れる可能性が高かった。

 公爵家に密かに不満を持っている人物は必ずいる。悪意ある話が領内に広まり、貴族への反感が増すのは避けたかった。

 領民の意見など気にせず、批判する者を権力で処分する。その権利を与えられているのが貴族なのかもしれないが、ティファリーはそれを嫌がった。


 宝石店を経営していく上でもそうだが、領民あっての貴族である。できる限り、ことを穏便にすませたかった。


(思った以上に時間がかかってしまいましたが、これで私は自由です! 新しい人生を歩んでいきましょう!)


 いくら相手の有責とはいえ、婚約を破棄した令嬢を娶ってくれる人は少ない。ということは、何もしなければ、自分は公爵邸に居座り続けることになる。

 姉の話ばかり信じていた両親や兄たちを嫌っているわけではないが、心の傷はそう簡単には癒えない。

 なら、独り立ちすればいい。


 そう考えたティファリーは、宝石店を繁盛させ、お金が貯めようと決意した。お金が貯まればイトメニア公爵家を出て、新たな生活を始められるからだ。


「さあ、頑張りますよ!」


 ティファリーは、新たな目標に向かって動き出した。

 


******


 婚約の破棄が認められたことは、ゲッティの浮気と共に大々的に発表された。

 これはイトメニア公爵領内だけでなく、他の領地にも伝わり、パス伯爵領内でも広がった。

 

 仕事をしながら段取りを整え、そろそろある計画を決行しようとしていたティファリーのもとに、ポッポとポポーポが訪ねてきた。


 ポポーポの足にはティファリー宛の手紙が括り付けられている。

 ここ最近、ケインからティファリー宛に手紙が送られてくることが多くなった。

 兄たちに用事がなくても、ティファリーに手紙を送る際には、ニ羽でやってくる。


 ニ羽は(つがい)らしく、鳩舎でもずっと一緒にいると、ケインから教えてもらっていた。


「今日は他の鳥にいじめられたりしませんでしたか?」


 ポッポたちの頭を指で撫でながら尋ねると、返事をするように「ホッホロー!」と鳴いた。


 鳩たちが自分の言葉を理解しているはずはないことはわかっている。それでも、ちょうどいいタイミングで鳴くものだから、理解しているのではと思ってしまう。


「うーん。きっと、大丈夫だったと言ってくれているのですよね?」

「「ホッホロー!」」


 気持ちよさそうに目を瞑って甘えてくるのが可愛らしい。ポッポたちが満足するまで撫でてから、ティファリーはケインからの手紙を読んだ。


 2日後、あることが実行される話をケインには伝えていた。様子を見に行こうとしていたティファリーと共に、自分も行きたいというお願いの手紙だった。


 お互いに婚約者はいないので、誤解されたり責められたりすることはない。それに王子の頼みでもある。


(どうして殿下はゲッティに興味があるのでしょうか。馬鹿にされたことをよっぽど怒っているのかもしれません)


 近いうちにゲッティの貴族としての人生が終わることは目に見えている。


 もう二度とゲッティと顔を合わせるつもりはない。ただ、遠巻きに傍観するだけ。

 

 ケインはティファリーの思いを理解してくれていた。


 一人で行くつもりだったティファリーだったが、ケインと共に出かけることにした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。