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風呂で死にかけると、同じ異世界に呼ばれるんだが〜未完成の風呂を何度も作ってる気がする〜  作者: Studio No.13


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第34話「覚えている」

 異世界。

 湿った空気。

 石を積む音。

 水が流れる音。

 今日も。

 風呂は少しずつ形になっていく。

「そこ」

 短く声が飛ぶ。

 石を置く。

 考えるより先に。

 体が動く。

「……」

 まただ。

 最近。

 それが増えた。

 図面を見なくても。

 言われる前でも。

 手が、勝手に動く。

「違う」

 足が止まる。

 見下ろく。

 置こうとしていた場所。

「悪い」

 石を持ち直す。

 今度は隣へ置く。

 ぴたりと収まる。

「惜しかったな」

 近くの男が笑う。

「……そうか?」

「前なら、そこだった」

「前?」

 男は首を傾げる。

「……いや」

 それだけ言って。

 また作業へ戻っていく。

「……」

 前。

 また、その言葉だ。

 俺より。

 周りの方が。

 昔の俺を知っている。

 そんな気がした。

「知ってるんだろ」

 気付けば口にしていた。

 フードは答えない。

 石を積み続ける。

「……俺のこと」

 少しだけ。

 手が止まる。

「知らない方がいい」

 静かな声だった。

 前みたいに。

 突き放すような言い方じゃない。

 でも。

 教える気もない。

「あっそ」

 それ以上は聞かなかった。

 聞いても。

 答えない。

 そんな気がした。

 作業を終え。

 歩き出す。

「……」

 気付けば。

 手を握っていた。

「……」

 ゆっくり開く。

 そこには何もない。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

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