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風呂で死にかけると、同じ異世界に呼ばれるんだが〜未完成の風呂を何度も作ってる気がする〜  作者: Studio No.13


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35/35

第35話「掴む」

 異世界。

 湿った空気。

 石を積む音。

 水が流れる音。

 変わらない。

 ……

 そう思えなくなっていた。

「……」

 石を持ち上げる。

 重い。

 昨日までと同じ。

 そのはずだった。

「そこ」

 声が飛ぶ。

「ああ」

 石を運ぶ。

 置く。

 その瞬間。

 手が止まる。

「……?」

 まただ。

 理由はない。

 でも。

 動かない。

 手だけが。

「どうした」

「……いや」

 石を置こうとした。

 その瞬間。

 指先に。

 柔らかい感触。

 反射的に。

 握る。

「待ってよ!」

 ――途切れる。

 景色は見えない。

 顔も分からない。

 でも。

 確かに。

 俺は。

 その手を掴んでいた。

「おい」

 声が戻る。

 我に返る。

 目の前には。

 未完成の風呂。

 手の中には。

 石だけ。

「……今の」

 息が浅くなる。

 思い出した。

 ……違う。

 思い出しかけた。

 作業を終え。

 帰ろうと歩き出す。

 無意識に。

 手を見る。

 もう。

 握ってはいない。

 でも。

 温もりだけは、

 消えなかった。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

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