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風呂で死にかけると、同じ異世界に呼ばれるんだが〜未完成の風呂を何度も作ってる気がする〜  作者: Studio No.13


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第32話「避ける」

 眠れなかった。

 何度目か分からない寝返りを打つ。

 目を閉じる。

 あの光景。

 写真。

『約束』

 見ないようにする。

 だが。

 消えない。

 気付いたら朝。

 目が覚める。

 気分は最悪だった。

 寝た気がしない。

 部屋を出る。

 冷たい空気。

 少しだけ楽になる。

「ひどい顔だな」

 聞き慣れた声。

「うるさい」

 即答だった。

「図面の件か」

「は?」

「そうか」

 興味なさそうに返される。

 余計腹が立った。

 風呂場へ向かう。

 途中。

 何度も考える。

 約束。

 誰との。

 何の。

 考えるたびに。

 胸の奥が重くなる。

 風呂場はいつも通りだった。

 人がいる。

 声がする。

 木材の音。

 水の音。

 いつも通り。

 のはずだった。

「ここ」

 気付けば口にしていた。

 図面の前。

 昨日の続き。

「ここ狭い」

 全員が止まる。

「もう少し広げた方がいい」

 言いながら。

 自分で驚く。

 まただ。

 分かる。

 知らないのに。

 分かる。

「……なんなんだ」

 小さく呟く。

 その時。

「同じだな」

 後ろから声。

「何が」

「前と」

 振り返る。

 年配の男だった。

「前?」

 男は図面を見る。

「考え込むと」

 少し間。

「風呂のことしか見えなくなる」

 どくん。

 鼓動が鳴る。

「自分では…… 」

 反射だった。

「そうか」

 男は否定しない。

 ただ。

「約束でもしたのかと思った」

 世界が止まる。

「……え?」

 男は首を傾げた。

「違うのか」

 答えられない。

 なぜなら。

 その言葉を聞いた瞬間。

 胸の奥が。

 痛んだから。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

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