表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風呂で死にかけると、同じ異世界に呼ばれるんだが〜未完成の風呂を何度も作ってる気がする〜  作者: Studio No.13


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/35

第30話「知っている」

 静かだった。

 さっきまで騒いでいたはずなのに。

 誰も喋らない。

 全員。

 図面か。

 俺か。

 見ている。

「……なんだよ」

 居心地が悪い。

 誰も答えない。

 代わりに。

「お前」

 年配の男が口を開いた。

「こんなの描けたのか」

「知らない」

 反射だった。

 本当に知らない。

「いや」

 男は首を振る。

「描いてる」

「は?」

「前からだ」

 意味が分からない。

 前から?

 俺が?

 こんなものを?

「覚えてないのか」

 別の声。

「風呂作る時もそうだったろ」

「毎回急に描き始める」

「誰も教えてないのに」

 知らない。

 そんなこと。

 聞いたこともない。

 なのに。

 否定できなかった。

 一枚の図面を手に取る。

 見れば見るほど。

 分かる。

 どこを直したかったのか。

 なぜ直したのか。

 どうしてそうしたのか。

 全部。

 分かる。

 それが怖かった。

「おい」

 呼ばれる。

 顔を上げる。

 男は図面を指差した。

「これ」

「……?」

「前にも描いてたぞ」

 鼓動が鳴る。

「は?」

 前にも。

 描いていた。

 その言葉に。

 妙な引っ掛かりを覚える。

「どこで」

 思わず聞く。

 男は少し考えた。

「最初の風呂だ」

 どくん。

 視界が揺れる。

 最初の風呂。

 聞いたことがある。

 知っている。

 はずだ。

 なのに。

 思い出せない。

 頭の奥。

 熱い。

 何かがいる。

 何かが。

 叩いている。

 開けろ。

「っ!」

 息を呑む。

 今。

 何か聞こえた。

「どうした」

 男が聞く。

「いや……」

 答えられない。

 答えたくない。

 図面を見る。

 線。

 線。

 線。

 その隙間。

 紙の端。

 小さな文字。

『約束』

 固まる。

 書いた覚えはない。

 なのに。

 見覚えがあった。

 黒い水面。

 浮かぶ写真。

『約束』

 同じ文字だった。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ