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風呂で死にかけると、同じ異世界に呼ばれるんだが〜未完成の風呂を何度も作ってる気がする〜  作者: Studio No.13


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第28話「変化」

 ちゃぷん。

 写真が揺れる。

『約束』

 その文字が。

 少しずつ鮮明に見えて くる。

「次」

 子供が言った。

 俺は答えない。

 視線は写真に向いている。

 なのに。

 手が動かない。

「どうしたの」

 子供が聞く。

「……分からない」

 本当に分からなかった。

 拾えばいい。

 そう思う。

 なのに。

 何かが引っかかる。

 胸の奥。

 さっきから。

 妙に熱い。

「夢を見たから?」

 子供が聞く。

「違う」

 即答だった。

 違う。

 あれは夢じゃない。

 もっと。

 重い。

「……」

 子供は何も言わない。

 ただ見ている。

 巨大な目も。

 見ている。

 ずっと。

 こちらを。

 その時だった。

 どくん。

 心臓が鳴る。

「っ」

 視界が揺れた。

 黒い水面。

 忘れた場所。

 全部が遠ざかる。

「え」

 思わず声が漏れる。

 景色が崩れる。

 子供の姿が薄れる。

「待っ――」

 届かない。

 次の瞬間。


 目を開けた。

「……は?」

 知らない天井。

 違う。

 知っている。

 宿だ。

 異世界の。

 借りている部屋。

 息を吐く。

 戻った。

 現実じゃない。

 こっちだ。

 異世界。

「なんだよ……」

 体を起こす。

 そこで。

 違和感に気付いた。

 机。

 紙。

 木炭。

 今まで。

 なかったはずだ。

「……?」

 近づく。

 紙を持つ。

 そこには。

 線が引かれていた。

 何本も。

 何本も。

 何本も。

 乱雑に。

 それなのに。

 どこか意味がある。

「なんだこれ」

 見覚えがない。

 書いた覚えもない。

 だが。

 手が知っていた。

 紙を見た瞬間。

 頭の中で。

 続きが浮かぶ。

 ここを繋ぐ。

 ここを削る。

 ここを広げる。

 違う。

 もっと効率がいい。

 もっと。

 良い形がある。

「……っ」

 慌てて紙を置く。

 鼓動が速い。

 なんだ今の。

 知らない。

 知らないはずなのに。

 分かる。

「夢……」

 そこで止まる。

 違う。

 違う気がした。

 あれは。

 夢じゃない。

 もっと。

 自分のものだ。

 机の上。

 紙の隅。

 小さな文字。

 気付かなかった。

 震える字。

『まだ終わってない』

 どくん。

 心臓が鳴る。

 どこかで聞いた言葉。

 同じだった。

 その時。

 コンコン。

 扉が鳴る。

「起きてるか」

 聞き慣れた声。

 返事をする前に。

 扉が開いた。

「おい」

「勝手に入ってくるな」

 思わず言う。

「悪い」

 全然悪そうじゃない。

 だが。

 次の言葉で。

 そんなことはどうでもよくなった。

「風呂場が騒ぎになってる」

「……は?」

「図面が増えてるらしい」

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

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