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風呂で死にかけると、同じ異世界に呼ばれるんだが〜未完成の風呂を何度も作ってる気がする〜  作者: Studio No.13


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第27話「流れ込んだもの」

 指先が触れた。

『夢』

 その文字に。

 触れた瞬間。

 世界が反転する。

「――っ!」

 落ちる。

 黒い水の中。

 違う。

 沈んでいるのは俺じゃない。

 誰かだ。

 ……なのに。

 なぜか目が離せなかった。

 息が荒い。

 手にあかぎれ。

 爪が割れている。

 指先は血で汚れていた。

 泥だらけだ。

 それでも。

 そいつは止まらない。

 何かを作っている。

 必死に。

 必死に。

 必死に。

「違う」

 声が聞こえた。

「まだ違う」

 震える声。

 悔しそうな声。

 それでも。

 手は止まらない。

 壊れる。

 作る。

 壊れる。

 また作る。

 何度も。

 何度も。

 何度も。

 その感情が。

 流れ込んでくる。

「……っ」

 胸が痛い。

 苦しい。

 でも。

 悲しくない。

 諦めていないからだ。

 失敗しているのに。

 まだ終わっていないと思っている。

 その感覚を。

 俺は知っていた。

 知っていたはずなのに。

 いつ捨てたのか。

 思い出せなかった。

 景色が変わる。

 知らない空。

 知らない街。

 知らない建物。

 誰かが笑っている。

 その中心に。

 そいつがいた。

 嬉しそうに。

 誇らしそうに。

 子供みたいに。

 笑っていた。

「できた」

 声が震える。

「やっと」

 心臓が鳴る。

 ドクン。

 その瞬間。

 全部が崩れた。

 景色が割れる。

 笑顔が砕ける。

 声が消える。

「待て!」

 思わず叫ぶ。

 だが。

 届かない。

 伸ばした手の先で。

 最後に。

 声だけが残った。

『まだ終わってない』

 ドクン。

 心臓が跳ねた。

 次の瞬間。

 視界が戻る。

 黒い水面。

 忘れた場所。

 子供。

 巨大な目。

 全部。

 元通り。

「……はぁ」

 荒い呼吸。

 額から汗が落ちる。

「見た?」

 子供が聞く。

 答えられない。

 何を見たのか。

 上手く言葉にできなかった。

 ただ。

 一つだけ。

 分かることがある。

 胸の奥が。

 熱かった。

 ずっと前に。

 捨てたはずなのに。

 今は。

 確かに。

 そこにあった。

「なんなんだよ……」

 呟く。

 すると。

 子供は少しだけ笑った。

「忘れてたもの」

 それだけ言った。

 そして。

 黒い水面の奥。

 何かが動く。

 ちゃぷん。

 写真が流れた。

『約束』

 今度は。

 そっちが近づいてきていた。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

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