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風呂で死にかけると、同じ異世界に呼ばれるんだが〜未完成の風呂を何度も作ってる気がする〜  作者: Studio No.13


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第26話「拾うもの」

 巨大な目が笑った。

 その瞬間。

 水面が大きく揺れる。

 ざぶん。

 浮いていた写真が流れる。

 ノートが沈む。

 鍵が回るように回転する。

 ゲーム機が遠ざかる。

「っ!」

 思わず手を伸ばした。

 だが。

 どれにも届かない。

「一つ」

 子供が言った。

「……は?」

「最初は一つ」

 水面を見つめたまま。

 静かに。

「全部は無理」

 意味が分からない。

「なんでだよ」

「重いから」

 子供は即答した。

「捨てたものは重い」

 ぞくり。

 背筋が冷える。

「意味分かんねぇよ」

「分かるよ」

 子供が言う。

「お前だから」

 沈黙。

 ちゃぷん。

 写真が近くを流れる。

 裏側。

 黒い字。

『約束』

 胸が少しだけ痛んだ。

 誰との約束だったか。

 思い出せない。

 でも。

 なぜか。

 破った気がした。

 視線を逸らす。

 今度はノート。

『夢』

 その文字を見た瞬間。

 頭痛が走る。

 知らない教室。

 知らない机。

 知らない未来。

 一瞬だけ。

 何かが見えた。

 だが。

 すぐ消える。

「……っ」

 思わず額を押さえた。

「無理に見なくていい」

 子供が言う。

「壊れる」

 その言葉に。

 男の声が重なった気がした。

 ――見るな。

 ――触るな。

 ――戻れなくなる。

 初めて気付く。

 あいつは。

 ずっと止めていた。

 底から。

 記憶から。

 全部。

「なんでだ」

 呟く。

「なんで止める」

 子供は答えない。

 代わりに。

 鍵を指差した。

『友達』

 その文字を見た瞬間。

 胸の奥が妙に静かだった。

 痛くない。

 苦しくない。

 何も感じない。

 それが逆に怖かった。

「……覚えてない」

「そうじゃない」

 子供が首を振る。

「感じないんだ」

 どくん。

 心臓が鳴る。

「慣れたから」

 水面が揺れる。

 巨大な目が見ている。

 ずっと。

 こちらを。

「選べ」

 子供が言う。

「一つ」

 写真。

 ノート。

 鍵。

 ゲーム機。

 四つがゆっくり回る。

 どれも。

 自分だった。

 どれも。

 自分じゃない気もした。

 そして。

 なぜか。

 俺の手は。

 ノートへ伸びていた。

『夢』

 指先が触れる。

 その瞬間。

 世界が反転した。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

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