表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風呂で死にかけると、同じ異世界に呼ばれるんだが〜未完成の風呂を何度も作ってる気がする〜  作者: Studio No.13


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
22/35

第22話「辿り着いた者」

 大量の水音が響く。

 ごぼり。

 ごぼり。

 黒い穴の奥。

 何かが動いていた。

「……辿り着いた?」

 思わず呟く。

 フードは頷いた。

「そうだ」

 俺の声。

 だが。

 妙に落ち着いている。

 まるで。

 ずっと前に諦めた人間みたいな声だった。

「お前らは」

 男が睨む。

「底に落ちた」

「違う」

 即答だった。

「お前がそう思ってるだけだ」

「黙れ」

「まだ分からないのか?」

 フードが笑う。

 口元だけ。

 歪に。

「何回繰り返した」

 男の顔色が変わる。

「……」

「何回失敗した」

「黙れ」

「何回忘れた」

「黙れ!!」

 怒鳴り声。

 屋上に響く。

 初めてだった。

 男がここまで感情を出すの。

 フード達は笑わない。

 ただ。

 静かに見ている。

 哀れむように。

「……何なんだよ」

 気づけば言っていた。

 誰に向けたのか分からない。

「お前ら」

 赤い目。

 濡れた服。

 俺と同じ声。

「何なんだよ」

 フード達は答えない。

 代わりに。

 一人が前へ出る。

 左腕のないフード。

 袖だけが揺れている。

「失敗した」

 そいつが言う。

「壊した」

 次。

 額が割れたフード。

「飛ばした」

 次。

 片目が潰れたフード。

「完成させた」

 ぞわり。

 背筋が冷える。

 完成。

 その言葉。

 ずっと引っかかっている。

「完成したら戻れるんじゃねぇのか」

 言葉が漏れる。

 フード達が静かになる。

 そして。

 全員。

 同時に俺を見た。

 嫌な沈黙。

「……なんだよ」

 誰も答えない。

 代わりに。

 左腕のないフードが言う。

「戻った」

「……」

「何度も」

 頭の奥がざわつく。

「何度も?」

「何度も」

「戻る」

 ごぼり。

 黒い穴の奥。

 水が鳴る。

「また作る」

「また戻る」

「また忘れる」

 一人。

 また一人。

 順番に喋り始める。

「また近づく」

「また忘れる」

「また来る」

「また忘れる」

 俺の声。

 俺の声。

 俺の声。

 全部。

 俺の声。

「やめろ」

 男が低く言う。

 フード達は止まらない。

「また作る」

「また近づく」

「また見る」

「また来る」

 頭痛。

 知らないはずなのに。

 聞いたことがある。

 そんな感覚。

「やめろ!!」

 男が叫ぶ。

 その瞬間。

 全員が黙った。

 静寂。

 風だけが吹く。

 そして。

 一番最初のフードが言う。

「じゃあ聞く」

 赤い目。

 まっすぐ俺を見る。

「お前は何番目だ?」

 またそれだ。

 何番目。

 順番。

 その時。

 頭の奥で。

 何かが弾けた。

 知らない数字。

 知らない記憶。

 知らない声。

 それなのに。

 口が勝手に動く。

「……さんじゅ」

「言うな!!」

 男が俺を突き飛ばした。

 次の瞬間。

 黒い穴の奥から。

 無数の手が伸びた。

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ