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風呂で死にかけると、同じ異世界に呼ばれるんだが〜未完成の風呂を何度も作ってる気がする〜  作者: Studio No.13


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第20話「同じ声」

 「見つけた」

 その声は。

 俺の声だった。

「っ……」

 喉が鳴る。

 給水タンクの前。

 フードの男が立っている。

 赤い目。

 濡れた服。

 口元だけが笑っていた。

「……お前」

 言葉が出ない。

 俺だった。

 違う。

 俺じゃない。

 なのに。

 声だけは完全に同じだった。

「見るな」

 隣で男が言う。

 低い声。

 だが。

 遅かった。

 フードが顔を上げる。

 じっと。

 俺を見る。

「やっと来た」

 ぞわり。

 背筋が冷える。

「……誰だ」

 思わず聞いていた。

 男が舌打ちする。

「聞くなっつったろ」

 フードは答えない。

 ただ。

 ゆっくり首を傾げた。

 不自然な角度。

 骨がないみたいに。

「何番目だ?」

 またそれだ。

 階段の下の奴も言った。

 何番目。

 順番。

 そればかりだ。

「知らねぇよ」

 吐き捨てる。

 すると。

 フードが止まった。

「……知らない?」

 初めて表情が変わる。

 困惑。

 いや。

 違う。

 理解できないものを見る顔。

「知らないのか」

 小さく呟く。

 その瞬間。

 男が前に出た。

「下がれ」

「……」

「お前も」

 フードを睨む。

「近づくな」

 二人が向き合う。

 妙だった。

 初対面じゃない。

 そんな空気。

「またお前か」

 フードが言う。

 男は答えない。

「何回目だ?」

「黙れ」

「覚えてないのか?」

「黙れ」

 空気が張り詰める。

 俺だけが置いていかれる。

「おい」

 思わず叫ぶ。

「何の話してんだよ」

 二人とも見ない。

 まるで。

 俺がいないみたいに。

「なぁ!」

 その時。

 ぴちゃん。

 水音。

 全員が止まる。

 給水タンクの裏。

 真っ暗な影。

 そこから。

 また足音が聞こえた。

 びちゃ。

 びちゃ。

 ゆっくり。

 近づいてくる。

「……は?」

 フードがいる。

 目の前に。

 なのに。

 また別の足音。

 びちゃ。

 びちゃ。

 影の奥から。

 もう一人。

 出てきた。

 黒いフード。

 赤い目。

 濡れた服。

 そして。

 また。

 俺の声。

「遅い」

 空気が凍る。

 俺は言葉を失う。

 一人じゃない。

 その時。

 びちゃ。

 また足音。

 今度は別の方向。

 給水タンクの反対側。

 さらにもう一人。

「……来たか」

 同じ声。

 同じ赤い目。

 同じフード。

 違うのは。

 傷。

 歩き方。

 背丈。

 少しずつだけ。

 違う。

「嘘だろ……」

 言葉を失う。

 男の顔色が変わる。

 喉が渇く。

 三人。

 いや。

 違う。

 給水タンクの裏。

 暗闇の中。

 まだいる。

 何人も。

 何十人も。

 赤い目だけが見えていた。

 男の顔色が変わる。

「下がれ」

 今までで一番強い声。

「見るな」

 だが。

 もう見えてしまった。

 暗闇の奥。

 無数のフード。

 全員が。

 俺を見ている。

 そして。

 一斉に口を開いた。

『来い』

 その声は。

 全部。

 俺だった。 

読んでいただきありがとうございます。

少しでも続きが気になったら、フォローや評価いただけると嬉しいです。

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