表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
しし虫はここにはななきししらははかしみにしづがとにゆきてなきをれ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/114

うたがいは あんちゅうの ばけもの

疑いは暗中の人影

幽霊みたり枯れ尾花


夜って見間違いますよね。色々

 夜中、午前二時ぐらいだったろうか。

 風の強い日中で道路には様々な物が転がっている。桜も散り、春はめちゃくちゃにされてしまったみたいだ。

 ある男性は残業を終え、帰路についていた。帰宅のショートカットに使っている公園の一角に美しい衣を纏う、清廉な女性を見かけた。初めは幽霊か、妖怪か――あり得ないものを目撃してしまったと、肝を冷やしたが……。

 不意に視線が交差し、見惚れた。

 なんと儚げで美しい女性なのだろう。薄幸の美女、といった表現が似合う。色白の姫君。

 高貴な身分なのか、衣もきらびやかである。

 なぜ変哲もない公園にそのような姫が出るのか。ここは古戦場だった、とか、城であったとかは耳にした事がない。

 くたびれていた男性は緊張を忘れ、話しかけて見たくなる。下心ではなく、なぜ、そんな悲しそうな顔をしているのか、と。

「あ、あの」

 生け垣の向こうに佇む姫君に話しかけてみた。

「……どうしました? 何か、あったんですか」

「私が見えるのか」

 鈴の音のような美しい響き。まさか狐が化けている? そんな馬鹿な。

 今の世、おとぎ話の如し状況があってたまるか。

「何か悲しい事がおありですか。あまりにも、寂しい顔をしていたので」

「……私が、何に見えている?」

「え?」

「寂しい顔をしている理由が分かると。お前に? 私の苦しみが!」

 いきなり激昂した姫さまは飛びかかってきた。そうして引っ掻かれ、異変に気づき悲鳴を上げる。

 人の顔をした獣が鬼の形相で目を光らせ、こちらの顔をズタズタに鉤爪で引き裂いた。

「ば、ばけものーっ! た、たすけてくれ! だ、だれかあああっ!!」

「化け物? 私を化け物にしたのはお前ら(・・・)だ!! 死ね! この薄情者めがっ!!」

「ヒィッ! 止めろっ! 止めてくれーっ!」

 絶叫が止んだ。人面獣が喉を引き裂き、息の根を止めたからだ。静寂と洗い吐息だけが残る。






「クソッ、……私は、私は!」

 巨大なアライグマの身体をした人面獣……()る舞(まい)は涙を流し、うずくまった。人間が憎い。

 自分自身をこんな姿にした――人間どもが。

今日はエイプリルフールかぁ……特に嘘はありません(汗)。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ