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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
しし虫はここにはななきししらははかしみにしづがとにゆきてなきをれ

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かわいくない

「ああ〜、いつまで歩くの? ちょっと休ませてよ」

 郊外の暗い遊歩道。果てしない道のりに、ついに音を上げた。

 リクルートスーツは長距離移動には向いていないし、それに彼女――ウォプ実は今まで運動とは無縁であったのだ。

「貧弱もの。私たちは徒歩が基本なんだよ、慣れな」

「ええっ! 車、とかいうヤツとかに乗んないの?!」

 しゃがみ込み、ハァ〜と大げさなため息をつくが、二人は気にもとめず先を行く。「な、なによっ!」

郷涅(ごうね)、アレを何とかしな」

「いやぁ、アタクシも無理です」

 年齢不詳の婦人はやれやれ、と呆れとも怒りともつかない表情を浮かべた。

「世間知らずのお姫様に喝ぐらい食らわしてやんな」

「嫌ですよ。人と関わるの本当は嫌いなんスよ、ほら」

「ほら、じゃない!」

 すると背後から悲鳴が聞こえ、二人は咄嗟に振りかえった。ウォプ実が蛍光色の毛玉を前に尻もちをついて、怯えているでないか。

「何だ。アンタの可愛いモンじゃないか」

「か、顔〜〜!!」

 毛玉がこの世の者でない部類なのは一目瞭然なのだが、この程度で怖がられては困る。

 郷涅はマジカルステップを踏むと、四方に結界を張り巡らせる。

「ふん!」

 気を込めると毛玉に糸が絡まり、粉砕した。

「ひいいっ」

「まったく……先が思いやられる……」

「だ、だって人の顔をしてたんだもん! 全然可愛くないしあんなん初めて見るもん! いやぁ~!」

 アダッ、と結界にぶつかるとアワアワとこちらへやってきた。

「この世の者でない部類は皆あんな風だ。心するんだね」

「わ、わかったわよ……」

 穢偽(いぎ)にたしなめられ、むつれながらも二人に続いた。

「地球って全然可愛くないじゃない……」

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