かわいくない
「ああ〜、いつまで歩くの? ちょっと休ませてよ」
郊外の暗い遊歩道。果てしない道のりに、ついに音を上げた。
リクルートスーツは長距離移動には向いていないし、それに彼女――ウォプ実は今まで運動とは無縁であったのだ。
「貧弱もの。私たちは徒歩が基本なんだよ、慣れな」
「ええっ! 車、とかいうヤツとかに乗んないの?!」
しゃがみ込み、ハァ〜と大げさなため息をつくが、二人は気にもとめず先を行く。「な、なによっ!」
「郷涅、アレを何とかしな」
「いやぁ、アタクシも無理です」
年齢不詳の婦人はやれやれ、と呆れとも怒りともつかない表情を浮かべた。
「世間知らずのお姫様に喝ぐらい食らわしてやんな」
「嫌ですよ。人と関わるの本当は嫌いなんスよ、ほら」
「ほら、じゃない!」
すると背後から悲鳴が聞こえ、二人は咄嗟に振りかえった。ウォプ実が蛍光色の毛玉を前に尻もちをついて、怯えているでないか。
「何だ。アンタの可愛いモンじゃないか」
「か、顔〜〜!!」
毛玉がこの世の者でない部類なのは一目瞭然なのだが、この程度で怖がられては困る。
郷涅はマジカルステップを踏むと、四方に結界を張り巡らせる。
「ふん!」
気を込めると毛玉に糸が絡まり、粉砕した。
「ひいいっ」
「まったく……先が思いやられる……」
「だ、だって人の顔をしてたんだもん! 全然可愛くないしあんなん初めて見るもん! いやぁ~!」
アダッ、と結界にぶつかるとアワアワとこちらへやってきた。
「この世の者でない部類は皆あんな風だ。心するんだね」
「わ、わかったわよ……」
穢偽にたしなめられ、むつれながらも二人に続いた。
「地球って全然可愛くないじゃない……」




