じゅそじゅう
パビャ子は毎度の事ながら廃墟化したボロアパートで暇を持て余していた。
寝静まった夜々中。
乎代子とクスが川辺へ散歩に行った間、駄菓子屋の菓子を与えられ放置──パビャ子からしたらだが──されたのだ。
仕方なく部屋をウロウロしたり、天井裏に居るドブネズミを捕まえて食べていたが……。
「おい、そこの猿真似」
いきなり誰一人、自分しかいない部屋から声がした。
「幻聴?」
「違う。ワシはここ、ここにいる」
声がする方を見やると、かつてサリエリだった残骸が喋っているではないか!
「さり、何とか!が正気を取り戻した!」
「違う。ワシはこの無駄ものを間借りしとるだけだ。マンダラキャットという。体はハクビシンだが、ギャハハ!」
サリエリだったものは久々に笑った。
「怪しー」
「猿真似。ワシはお前を見込んで此岸へ干渉してきたのだ。ありがたく思え」
「此岸?マンダラなんちゃらは此岸の生き物じゃないの?」
「そう。我々は彼岸の生き物。呪詛獣、半獣詛と呼ばれている。お前らよりうんと上にいるこの世ならざる生き物だ」
呪詛獣、という化け物を茶髪オンナは聞いた事もなかった。
「しぐn」
「ダメだぞ。誰にも話すな?」
「なんでえ?」
「イヨ子、お前に頼みがある。彼岸と此岸の境目をぐちゃぐちゃにしろ。協力してくれたら面白いものをたくさん見せてやるから」
サリエリ?はニヤニヤと悪巧みをする顔をしている。
この世のものでない流星に、光る川。巨大な山を、見せてやろう──
「そんなものあるのかな」
パビャ子はぼんやりと呟き、帰ってきた乎代子とクスを見やる。
流星、光る川。
だいいち、彼岸が本当にあるのか?分からない。
「彼岸ってあると思う?」
スマホが壊れてしまいました。




