表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
しし虫はここにはななきししらははかしみにしづがとにゆきてなきをれ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/114

がたん ごとん

 無意味名 パビャ子は道すがら、変なものを見た。

『この先右ひだり、列車多()

「列車ぁ?? 道路なんだけどぉ〜?」

 パビャ子からしたら突き当たり、T路地になっている。その先には斜めに防衛道路があり、陸橋の下、本当の電車が走っているはずだ。

 観音地蔵のあるこのT路地の、パビャ子の前に横たわる道には線路はない。通るのは車か自転車か。

 真夜中になり、人気はさらになかった。風の通り道なのでカタカタとノボリが揺れる。

 それ以外、音もない。

 しかし列車、それも蒸気機関車を思わせる警笛がして近づいてきた。重厚な車輪の音と共に、満員電車が通過する。

 乗客は皆、どこかしら欠損しており、暗い表情をしていた。パビャ子には分かった。

 彼らは電車に飛び込んだ人々だと。

 凄まじい速さで通過すると、世界はあっという間に元へ戻った。そうして看板も消えていた。

「あー、みんな、またひかれに行くんだね」

 通勤通学、その時間帯に連れ戻されていくのだろう。自殺をしたものは現世で永遠の苦しみを味わうという。

「あっちも苦しかったらどうするんだろう? また、死のうとするのかな?? 知らないや。私にはカンケーないし」

 希死念慮を抱いたとしても、パビャ子は死ねない。身体が此岸に留まり続けろと、固定する。

 この世の者でない部類たつは彼岸へいけずに、固定され、歪んでいくのだから。

 遠くから終電と思わしき、本物の車両が発するガタンゴトンという馴染みある響きがしてパビャ子は歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ