ゆうじょう にんげん まねごと
「あの日は巻き込んでしまいすまなかった。リャクナシやカヤスまで守ってくれて」
ミハル・ミザーンは人気のない広場のベンチで、バティと話していた。
ひょっこりと現れたバティはそう言って、菓子折りまで持ってきた。
恭しく謝罪と感謝まで述べて。
そこまでしなくてもいいかとは思うが、彼なりの敬いを無下にはしたくない。
「いやぁ、良いよ。おまいさんらも大変だろ。種族のカシラが消えちまうのは……」
「まあ……不思議と我々は存在しているから、平気なんだろう。ヤツの事だ。あっけらかんとして帰ってくる」
「はは」
菓子折りは見た事のない文字が書かれており、この世の者でない部類のためのモノだと気づいた。こんなものまであるのか。
「ミハル。恥ずかしい事を言うが、これからも協力してくれないか。扉隠しの車座としてでも伝書鳩としてでもなく、一個人として、だ」
「なるほど。まー、オイラにできそうなのはあまりなさそうだけんども」
「話し相手でもいい。後は、そうだな。リャクナシたちと遊んで欲しい」
「は?! おもりか?! あははっ」
彼は生真面目に相談していたらしく、ムスッとした表情になる。少年の容姿をしているせいか、幼く見えた。
「すまねえ。バカにしたつもりじゃないんよ」
「分かっている。普通でないからな」
「確かにオイラたちには異常かもなー。でも人間としてはフツーだな」
この世の者でない部類が人らしい感情や思考を持ちえていない、訳ではない。獣もいれば人らしい化け物もいる。振れ幅が大きいのだ。
「ならそっちもよろしく」
人間の真似事をしても怒られはしまい。真似は得意だ。
この二人はずっと仲良くして欲しいですね。




