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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
たまやかたよみちわれゆくおほちたらちたらまちたらこかねちりちり 《パビャ子の編》

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ごしっくたい

 春と夏、行き来する天候。前線の争いが日本列島をしっちちゃかめっちゃかにした。

 無意味名 パビャ子は温かい風、冷たい風が1日の半分に吹くのを体感しながらも空腹に耐えて――はいなかった。

「なあにこれ」

 アスファルトに春というゴシック体の文字が落ちている。

 生きている訳ではないのかピクリとも動かない。

 パビャ子はしゃがみ込み、春を手にとった。ゴシック体の塊だった。

「いただきま〜〜す」

 とりあえずお腹が空いていたので、食べてみた。味はなかった。

 残念?

 するといきなり暖かい風が吹く。春らしい陽気はどこかへいき、夏を連想する空気に満たされる。

 ビュウビュウと電線が南風にあおられる。

 あれは……春だった?

「変なの」

 パビャ子は廃墟化したアパート、墓志波(ぼしなみ)ハイツへ歩を進めると今度は5月というゴシック体が落ちているではないか。

「ご飯だ!」

「まって、食べないで! それ、食べちゃうとひどく暑くなっちゃうから」

 通りかかった仙人のような雰囲気の老人に止められた。よく分からないが多少なりとも、なぜの文字が見えている人はいるみたいだ。

「その代わりになんだが、これをあげよう」

「これは?」

「平和」

「へいわ?」

 平和、のゴシック体。老人は欠けた歯を見せてニコリと笑った。

「ありがとう! 大事に、とっておいて食べるね」

「ははは! お前さんはおもしろい! 食べなさい! おもしろい!」

 仙人は大笑いしながら歩いていった。それを見送ると、手元にある平和を眺めた。

 ――もしも食べたらどうなるのだろうか?

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