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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
たまやかたよみちわれゆくおほちたらちたらまちたらこかねちりちり 《パビャ子の編》

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むさしの の ぞうきばやし

 無意味名 パビャ子は森の中にある蔵を見つけた。武蔵野の大地で刻々と減っていく、鬱蒼とした森の欠片。

 人々は関東平野に残された原風景を武蔵野の雑木林と呼ぶ。

 ドッシリとした土蔵はそんな森の中にあった。周りには家屋はない。

 不自然に土蔵だけがあり、たまに手入れされているのか倒壊もしていない。

 パビャ子は雑木林にいる虫やらを食べていたが、風のいたずらか――重たい土蔵の扉がわずかに開いたのに気づいた。

 まるで誘われているかのごとく。

「誰かいるの?」

 もしかしたら蔵を掃除しているのかもしれない?

 立ち寄って、扉を開けた。中は真っ暗だがたくさんの草紙や古めかしい置物、農具があった。

「誰かいますかぁ〜〜?」

 見回しながらも人の気配を探す、2階に続く階段がありそこからギシリと軋む音がした。

 遠慮なく登らせてもらい、上に行くと……大きな箱があった。そうして箱にはまるで生身の人間のような顔が施されている。

 顔はこちらをガン見していて、何かを訴える目つきをしている。

「あ! お腹空いてるんだね?!」

 パビャ子は頭がすっからかんなので短絡的な答えに至った。

「じゃあ! さっき見つけた、お気に入りの! 幼虫とカミキリムシ!」

 召し上がれ! と口に突っ込み、ニッコリと笑う。

「?!」

 顔は虫を口に入れられ、驚愕した。そうして渋い顔になり叫びだした。

「良かったあ〜〜! めちゃくちゃ喜んでる!!」

「お嬢さ〜〜ん、早くその蔵から出なさい!」

 一階からおばあさんの声がしてパビャ子は首を傾げる。「いいから早く」





 土蔵から出ると農作業を行っていたと思われるおばあさんに手を引かれて、大通りまで出た。

「無事でよかったわ。久しぶりにアレが出たから」

「アレ? 蔵の事?」

「そう。あまり良いものでないのよ。たまに人を呼び寄せて悪さをするから……」

 パビャ子は虫をプレゼントしただけで終わったが、やはりあの土蔵は良くない(・・・・)存在なのだそうだ。

「森はね。森だから」

「え〜〜?」

「森には森の時間が流れているのよ。さ、お嬢さん。寄り道なんてしないでお帰り」

 おばあさんに見送られ、パビャ子は渋々退散する事にした。

 あの森には何があって、時間が流れているのだろう。

昔は私の家の周りにも森があったんですよ。たくさん

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