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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
たまやかたよみちわれゆくおほちたらちたらまちたらこかねちりちり 《パビャ子の編》

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ごがつ の さかな

 無意味名 パビャ子はいつものように、川べりで魚を探していた。ふいに5月になったのか、と鯉のぼりの群れを見て納得した。

 鯉のぼりは5月になると泳ぐ。

 大人の(・・・)パビャ子にはあまり関係ないが、川には鯉がいるのでそちらを食べなければならない。

 水面に鯉のぼりの色が反射している。赤色、青色……ユラユラとやんわりと溶け込んでいく。

 色のついた鯉たちが群れをなして泳いでいくのを見つけ、パビャ子は必死に川面にダイブした。

 ――常日頃、生息している町の屋根たちを俯瞰している。なぜだ?

「ギャッ?!」

 ダイブしたのは川底だったはずだ。

 川に落ち、辺りを見回すが何も変わっていない。唖然としていると、茶色びた大きな鯉がザバリとはねた。

「よっしゃ!」

 ソレを見た子供たちが笑う。この市では川遊びは珍しくないものである。指をさされ、茶髪オンナはムカッとしたがまたご飯探しに夢中になった。

「夏ねえ〜」

 通りかかる老夫婦の奥さんが呟き、風が吹く。鯉のぼりがヒラヒラと泳いでいた。

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