さわらぬかみ に たたられる
洞太 乎代子はふと駅から自宅への道……帰路に見慣れない、子が佇んでいるのを見つける。
このベッドタウンは面識のない子供など珍しくない。だが服装があまりにも時代錯誤だった。
戦後すぐに流行る髪型……トイレの花子さんのような。
服装も同様だ。だが斜めがけの大きなバッグが異様で、そこは普通の昭和の化け物でないと語っているようだ。
――あれは人間じゃない。
洞太 乎代子は無視を決める事にした。
触らぬ神に祟りなし。お互いに距離感は大切なのだから。
「モー、モウゥが見えているのですか」
視線を合わせたつもりはないが、あちらから声をかけてきた。
口をつぐみ、無反応を装うが少女は早足で目の間へやってきてしまった。
夕暮れの血みどろの景色の中、子供は冷たい顔をしていた。人形みたいだ。
「モー、モウゥが見える人は初めて、かもしれません」
「……そ、そう」
「お互い認識してしまいましたね」
平坦な声色でそう告げられ、こちらは脂汗がダラダラと額を伝う。
関わりたくないアラートが最大級に鳴っているのだから。
「以後お見知り置きを」
礼儀正しく頭を下げると、モー、モウゥと名乗った少女はスーパーの方の道へ歩いていった。
「観音菩薩さまにお参りしていこう」
T字路の横にある観音菩薩へお賽銭をいれて、これ以上ややこしい事にならぬようお参りしよう。




