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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
しし虫はここにはななきししらははかしみにしづがとにゆきてなきをれ

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さわらぬかみ に たたられる

 洞太 乎代子はふと駅から自宅への道……帰路に見慣れない、子が佇んでいるのを見つける。

 このベッドタウンは面識のない子供など珍しくない。だが服装があまりにも時代錯誤だった。

 戦後すぐに流行る髪型……トイレの花子さんのような。

 服装も同様だ。だが斜めがけの大きなバッグが異様で、そこは普通の昭和の化け物でないと語っているようだ。

 ――あれは人間じゃない。

 洞太 乎代子は無視を決める事にした。

 触らぬ神に祟りなし。お互いに距離感は大切なのだから。

「モー、モウゥが見えているのですか」

 視線を合わせたつもりはないが、あちらから声をかけてきた。

 口をつぐみ、無反応を装うが少女は早足で目の間へやってきてしまった。

 夕暮れの血みどろの景色の中、子供は冷たい顔をしていた。人形みたいだ。

「モー、モウゥが見える人は初めて、かもしれません」

「……そ、そう」

「お互い認識(・・)してしまいましたね」

 平坦な声色でそう告げられ、こちらは脂汗がダラダラと額を伝う。

 関わりたくないアラートが最大級に鳴っているのだから。

「以後お見知り置きを」

 礼儀正しく頭を下げると、モー、モウゥと名乗った少女はスーパーの方の道へ歩いていった。

「観音菩薩さまにお参りしていこう」

 T字路の横にある観音菩薩へお賽銭をいれて、これ以上ややこしい事にならぬようお参りしよう。

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