きゆう
美麗之前はつい最近……と言っても、この世の者でない部類の時間感覚は宛にはならぬが、伝書鳩の組織の中に気がかりな人物がいるのを知った。
かつてアイシュワリヤにいた者が、組織の上にいる。
それ自体はさして問題ない。彼はすでにこちらとは無関係なのだから。
だが不穏な因子がある、と彼女は思う。
本当にその者が純粋な『伝書鳩』なのか――そうしてバティへ接触してこないか。
スラッジを調べた結果、かの祖は何でも取り込む曖昧な認識の下で眷属化する。かけ持ちしていようが、何だろうが無関心なようだ。
我々の常識など通用しないのが、高次元の存在たちなので美麗之前は深く考えるのは昔からやめている。
伝書鳩の傘下であの男が、我が身内に攻撃してきたら……。
祖……阿字母はどうするだろうか。
(怒り狂うのを期待するわ。だってアテクシたちの祖だもの)
先のように、高次元の存在は何を考えているか分からない。
(バティに警告したほうがいいかしら。言ったとしても意味はないだろうけれど)
(亜別はつれないし、本当に連携がとれないわね。この塊は)
一応は全員、生まれや育ちは違えど家族のような認識で動いている。身内には優しいのがアイシュワリヤなのだ。
(ミハルとかいうチャランポランに頼む? 頼りにならなそうだわぁ)
はあ、とため息を付くと、そうだ、と頭に浮かぶ。
自分は誰でもあって、誰でもない。ならばミハルの近くではナニカに化けていれば良い。
バティには見抜かれるとは思うが、警告した上なら大丈夫だろう。
「……我ながらに過保護ねえ……」




