かけっこ そんざい いっとうしょう
モー、モゥゥはかけっこが得意です。人喰い化け物もふりきれるほど、足が早くて身軽です。1等賞が取れるほどに。
褒めてくれると嬉しいです。
名前はモーでもモゥゥでもどちらでもOKです。それ以外の名前で呼んだら、反応してあげません。
この世の者でない部類たちはモーが好きです。すごく好きみたいで、走ってきます。でもこっちが早いので追いつかないのです。
彼らは人間に似ています。見た目も普通です。
腐る事も、動きを止める事もありません。
だってこちらも腐る事も、歳をとる事もないのですから。髪も伸びません。病気も進行しません。違うのは食べ物だけ。
どちらもホントの人ではないのかも。
モーはファミレスで食べるハンバーグが好きでした。でもずっと食べてないです。あるのはお菓子や缶ずめ、防災用品の非常食。
不満はありません。別に、この世界では食べなくても──皆には秘密です──ずーっと生きていけるのです。
ずーっと、ずーっと永遠に生きていけるのです。何もしなければ永遠に存在できるのです。
きっとこの世の者でない部類たちもそうです。人肉なんて食べなくても生きていけるのです。
それを知ったらこの世界にある2種類の生き物は発狂してしまうでしょう。だから秘密にして、黙ってしまっておくのです。
ひとは衣食住がないと成立できないのだそうです。それが生きがい、または正気を保つ材料になると──教えてくれました。
そう。たくさんしまう物が溢れています。
武器になる薬品。食べ物。この建物が辿ってきた歴史。しまって蓋をして、皆の目を欺くのです。
それが役目です。
モーは走り続けます。カバンにしまった地図と歴史を誰にも渡さないために。迷宮をかけっこします。
たまに、たまにですが化け物が人間のフリをして潜んでいます。それは秘密をかじってしまったのでしょう。
蓋を抑えてくれるのなら、モーは許します。人間のフリを黙っておきます。
──かけっこは好きです。モーはかけっこが得意です。人喰い化け物もふりきれるほど、足が早くて身軽です。褒めてくれると嬉しいです。
モーでもモゥゥでもどちらでもOKです。それ以外の名前で呼んだら、反応してあげません。
ですから、きちんと呼んでくださいね。
他所でひっそりと執筆して御蔵入りしていたモーちゃんをこちらに移設。




