みすてられた そのあとで
2作目に登場した倉見さんたちです。
倉見は宛どなく道を歩いていた。
倒港の役場職員だった上司・間涙、加えておばさんと話し合った結果、自分自身は二人から離れた方が良いと。
別にあの二人が提案したのではない。言い出したのは自分だ。
あれから車で知人を頼りにさまよい、倒港はかなり昔に過疎化しゴーストタウンになっていると何人から言われた。だからお前たちは知らない、と。
唖然とするしかない。そんなはずがない。じゃあ、自分たちはなぜ存在している?
そうこうしていると季節外れの台風がきて、おばさんの親戚が経営している旅館へ泊まっていた。
数週間滞在していたが、身体にも異変が起きた。まったく食事を受けつけない。
食欲はあるのに吐き戻してしまうのだ。
他にも服がとれなくなり、代謝も止まったような状態になった。衣食住が必要としなくなり、睡眠も必要としなくなっていた。そうしていつしか自らの名前さえ分からなくなってしまった。
おばさんが泣き出して、倉見は自分自身が港町で発生した化け物へ変じたのだと自覚した。
「そんな、この子まで、なんて惨い……町がなくなって、あまつさえ」
「大丈夫だ。何とか治す方法を見つけよう! な!」
間涙は必死に場を明るくしようとしていたが、結果は明白である。共に暮らしていた幼い少女も怖がり、すがりつく。
「二人とも心配してくれてありがとうございます。私は、……この子とこの場を離れて解決策を探していきますから」
泣きたかったがこらえて、そう強がってみせた。
「そんな。若い子には酷よ」
「……。すまない。俺たちには何もしてやれない」
二人と女将さんに見送ってもらい、宿を出た。そうして梅が咲き、ウグイスが鳴く山の景色を眺め、歩を進める。
シッカリと手を繋ぐ少女を連れて。
「どこへ行けばいいかなぁ……」
ガサガサと熊笹が揺れる音がして、警戒する。熊か?
「グゥゥ」
人の声色。顔を出したのは金色の目をした女性であった。
(私と同じ!)
呆気にとられていると、彼女はどこかへ行こうとする。「待って!」




