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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
しし虫はここにはななきししらははかしみにしづがとにゆきてなきをれ

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みすてられた そのあとで

2作目に登場した倉見さんたちです。

 倉見は宛どなく道を歩いていた。

 倒港(さかさまみなと)の役場職員だった上司・間涙、加えておばさんと話し合った結果、自分自身は二人から離れた方が良いと。

 別にあの二人が提案したのではない。言い出したのは自分だ。

 あれから車で知人を頼りにさまよい、倒港はかなり昔に過疎化しゴーストタウンになっていると何人から言われた。だからお前たちは知らない、と。

 唖然とするしかない。そんなはずがない。じゃあ、自分たちはなぜ存在している?

 そうこうしていると季節外れの台風がきて、おばさんの親戚が経営している旅館へ泊まっていた。

 数週間滞在していたが、身体にも異変が起きた。まったく食事を受けつけない。

 食欲はあるのに吐き戻してしまうのだ。

 他にも服がとれなくなり、代謝も止まったような状態になった。衣食住が必要としなくなり、睡眠も必要としなくなっていた。そうしていつしか自らの名前さえ分からなくなってしまった。

 おばさんが泣き出して、倉見は自分自身が港町で発生した化け物へ変じたのだと自覚した。

「そんな、この子まで、なんて惨い……町がなくなって、あまつさえ」

「大丈夫だ。何とか治す方法を見つけよう! な!」

 間涙は必死に場を明るくしようとしていたが、結果は明白である。共に暮らしていた幼い少女も怖がり、すがりつく。

「二人とも心配してくれてありがとうございます。私は、……この子とこの場を離れて解決策を探していきますから」

 泣きたかったがこらえて、そう強がってみせた。

「そんな。若い子には酷よ」

「……。すまない。俺たちには何もしてやれない」





 二人と女将さんに見送ってもらい、宿を出た。そうして梅が咲き、ウグイスが鳴く山の景色を眺め、歩を進める。

 シッカリと手を繋ぐ少女を連れて。

「どこへ行けばいいかなぁ……」

 ガサガサと熊笹が揺れる音がして、警戒する。熊か?

「グゥゥ」

 人の声色。顔を出したのは金色の目をした女性であった。

(私と同じ!)

 呆気にとられていると、彼女はどこかへ行こうとする。「待って!」

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