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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
しし虫はここにはななきししらははかしみにしづがとにゆきてなきをれ

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おそろい あくせさり まじない あくせさり

 洞太 乎代子は至愚が現れないのを少しだけ物足りないと感じていた。

 もう二度とあの日々は戻らないのか、と。

 クスの帯を整えつつ、髪を三つ編みにセットしてあげる。彼女は嬉しそうに微笑み、こちらも自然と破顔した。

「クス。今夜はどこに散歩へ行こうか」

「おねえ」

「a」

「パーラム先輩〜〜、久しぶりでーす。何か不便はありませんかー??」

 この間、壊れそうになったドアをまたしても勢い良く開け放つ輩がいる。実際に長年支えてきた平蝶番が壊れてしまったらこのアパートからでていく羽目になるのだが。

「えーと、マクラちゃん」

 己をマクラちゃんと呼ぶ、尾先ヶ(おさきが) 間蔵(まくら)の名前を反芻する。人の名前を覚えるのが苦手でしかたない。

「マクラちゃん、覚えてもらって嬉しいですう!!」

 キャラキャラと彼女は笑う。いつでも楽しそうで羨ましい。

「次来るときはドア、そっと開けてくれると嬉しいんだけど」

「はーい!」

(あーあ。次は覚えてなさそうだな)

 マクラはそそっかしく部屋に上がると、何やら紙袋からアクセサリーを取り出した。

「マクラちゃんとおそろいのイヤーカフ!! 可愛いでしょっ」

「イヤーカフ? そんなものあるんだ」

「そうなんです〜〜っ! ほら、キツネと月のイヤーカフなんです。つけてくれますよね?!?!」

 拒否権はないと言わんばかりに詰め寄られ、頷くしかなかった。

「マクラちゃんはオシャレにも気を使う派なんだね」

「はい。だってうら若き乙女ですから」

 頬を赤らめ、彼女はわざとらしい仕草をした。

「この子にも何かない?」

 クスを見やると、うーん、とマクラは悩みだした。やはりおそろいは憧れの先輩とやらとだけが良いのだろうか。

「死脚に物を与えると力が強まってしまいますので」

「え、クスの事を知ってるの?」

「はい。死脚は強力な呪具なんで、ある程度有名なんです。ネットではフーリンシェンホワンなんて、言われています」

 ネットの間では生後間もない赤ん坊の遺体をある手順で祀り、写真や絵にして呪いたい相手へ見せる事で寿命を奪うという――呪術と言われているらしい。


 ――ああ、人間の死体を使う、マジナイの一種から生まれた死脚という呪具さ。異国のマジナイを使って製造される、アジア諸国か、アラブ系の。とても危険な呪法だと耳にした事はあるが……


 至愚は確かそう言っていた。

「死骸を使う魔術は強力なんです。ほら、蠱毒の類いやネクロマンシーとか有名でしょう?」

「ネクロマンシーは名前だけは知っているかも、蠱毒って確か生首を辻に埋めて人に踏ませるヤツだよな」

「さすが先輩! 物知りですっ。そういう死を倍増させた呪具は物を与えたり、祀ったりすればするほど強くなっていくんです」

 犬神や猫鬼。または蛇神。彼らは祀られれば祀られるほどに使役者へ恩恵をもたらす。

「ん……待てよ? じゃあ、私に物を与えて……マクラちゃん、もしかして」

「あー、えっと! パーラム姐さんには長生きして欲しいんでっ!!」

 アワアワと見破られ、彼女は最後にはテヘペロと反省もせず誤魔化した。

「じゃあ、クスにあげようか」

「ダメーっ! パーラムさんとおそろがいいのーっ!!」

検索してはいけない言葉らしいですが……、肝心の画像はでてこなかったです。

外国の良くも悪くもな、おまじないにはものすごく興味があります。

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