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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆かんたんの枕☆  作者: 犬冠 雲映子
しし虫はここにはななきししらははかしみにしづがとにゆきてなきをれ

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よざくらの ひみつ

 桜の花びらがフンワリと風に舞う。

 夜桜を見つつ宴会する時間帯ではなくなり、ボンボリも消灯した。

 荒川水系の一級河川である2つの川が合流する、奇妙な土地の近場。そこは3月末になれば市内の桜の名所となる。

 親水公園では冷たい風が桜の終わりを告げさせていた。

 無意味名 パビャ子は気温が上がり活動的になり、グウスカとヤブの中で寝入っていた虫を食べつつ、月明かりだけの桜を仰ぐ。

 桜は世間から儚い、美しいの代名詞と持て囃される。妖しさを纏うからか、根本には死体が埋まっているからだと変な噂もある。

 だがパビャ子には死体の栄養素を吸って咲き乱れようと、関係のない事。

 むしろ花が集まり、泡みたいで好きではなかった。

 それは少数派の意見ではなかろうか? それすら彼女には関係なかった。

 桜の花びらが風に煽られヒラヒラと舞い散り、切り揃えられた土手の草原を滑る。そうしてまた風に舞い上げられる。

 明日にはしぼんでしまう。今だけの光景。

 茶髪オンナは不意に花びらが空で形を作り上げ、人の形になった気がして、視線を向ける。

 と。確かに人になって迫ってきている。まるで透明人間が花びらまみれになってしまったかのようだ。

「わあ、何ぃ〜〜??」

「う、うあ、あ゛」

 桜の花びら人間は呻きをあげ、こちらへ一歩一歩近寄る。ビチャビチャと嫌な音もした。

「お、俺をみつけて、くれえ〜〜だ、ずげで」

 それだけ言うと桜は散った。パビャ子は一連の出来事に固まっていたが、また虫を探し始めた。

 よくある話なのかもしれないな、と考えを改めてみた。

 桜の下には死体が埋まっているから。

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