第八回 空母対空母編(第十九章~第二十章)
●主な登場人物・勢力紹介●
※本ページには、『異世界艦隊日誌』第十九章から第二十章までの内容および結末に関するネタバレが含まれています。
※人物の所属や階級、立場は、原則として第二十章終了時点を基準としています。
※本ページでは、この範囲で重要な役割を担った人物を中心に紹介しています。名前のあるすべての登場人物を網羅したものではありません。
●フソウ連合●
●鍋島貞道
フソウ海軍総司令長官。フソウ連合の外交最高責任者。
空母と航空機が将来の海戦を左右すると考え、翔鶴、瑞鶴に続く空母の建造と、搭乗員の早期育成を進める。
大艦巨砲主義が残る海軍内部で、空母作戦へ理解を示し、的場良治へ研究と部隊運用を任せた。
未知の空母艦隊がフソウ側の船団を攻撃した際には、直ちに相手を海賊や敵国と決めつけなかった。
可能であれば艦艇と乗組員を確保し、どこから来たのか、なぜ攻撃したのかを調べるよう命じる。
一方、味方の生命を危険にさらしてまで捕獲に固執せず、必要であれば撃破することも認めている。
好奇心と人命への配慮を持ちながら、軍事指導者として現実的な判断も行う人物である。
パガラング海海戦後は、勝利より先に春月の喪失と翔鶴の被害を重く受け止める。
米軍の二方向攻撃を高く評価し、フソウ海軍のレーダー、索敵、艦隊防空に弱点があったと認めた。
敵味方双方の生存者救助と残骸回収を命じ、未知の艦隊が自分と同じ異世界から来た存在ではないかと考える。
現実世界へ戻った春月の模型を丁寧に拾い集め、喪失記録とともに仏壇のそばへ納める。
艦艇を物として割り切れず、一隻一隻を仲間として受け止めるため、勝利の責任も喪失の悲しみも自分一人で背負おうとする。
東郷から支えたいと告げられたことで、仏間の鍵を渡し、人生の一部を彼女と共有し始める。
●東郷夏美
フソウ海軍大尉。鍋島長官の秘書官。
的場と杵島マリの結婚式準備を手伝い、鍋島とともに頼まれ仲人・友人代表として二人を支える。
結婚式の二日前、鍋島から思いを告げられ、正式に恋人となった。
これまで長官と秘書官という関係を守りながら支えてきた二人が、ようやく互いの気持ちを言葉にしたのである。
パガラング海海戦後、春月を失った責任を一人で背負おうとする鍋島へ、悲しみも責任も分けてほしいと伝える。
鍋島から仏間の鍵を受け取り、秘書官や恋人というだけでなく、彼の家族に近い場所へ入る。
鍋島を戦わせるために支えるのではなく、彼が人間として壊れないよう支える存在となっている。
●的場良治
フソウ海軍大佐。東部方面部司令。
杵島マリと結婚し、公私ともに新たな段階へ進む。
一方、軍人としては、将来の主力となる空母航空戦を学びたいと鍋島へ申し出る。
翔鶴と瑞鶴を中心とする航空戦力を東部方面部へ預かり、運用研究を進めていた。
未知の米空母艦隊を迎撃する作戦では、航空戦の研究経験を評価され、艦隊指揮官となる。
空母部隊だけでなく、水上打撃部隊、潜水艦隊、支援艦隊を組み合わせ、昼間の航空戦から夜間の水上戦までを想定した配置を行う。
敵重巡洋艦部隊が夜襲へ出た際にも、あらかじめ配置した駆逐艦の魚雷攻撃によって撃破した。
空母を万能兵器として扱うのではなく、各兵種を組み合わせて弱点を補う指揮官である。
●杵島マリ
フソウ海軍中佐。広報・文化事業を担当する軍人。
的場良治と結婚し、夫婦となる。
戦場で活躍する的場を支えるだけでなく、イタオウ地区の映画産業や広報事業を通じて、戦後の社会と文化を作ってきた。
結婚後も仕事を辞めるのではなく、軍人・広報担当者として活動を続ける。
的場との結婚は、戦争の中でも人々の生活と幸福が続いていることを示す出来事となった。
●フソウ海軍航空部隊●
●中野守康
フソウ海軍少佐。第一航空戦隊司令。
的場良治と同期の軍人。
早くから航空機と空母の将来性を信じ、艦隊勤務より航空畑を選んだ。
戦艦中心の考え方が強かった海軍内部で、長年にわたり航空戦力の必要性を訴えてきた人物である。
パガラング海海戦では、翔鶴と瑞鶴の航空部隊を指揮する。
当初、未知の敵を十分な練度を持たない海賊艦隊に近い存在と考えていた。
第一次攻撃を成功させたことで、その自信はさらに強まる。
しかし米軍の陽動と低空攻撃を見抜けず、翔鶴と護衛艦艇に大きな損害を出した。
敵を過小評価した自分の責任を強く感じ、春月の処分を命じる苦しい役割も担う。
勝利を経験すると同時に、空母航空戦の恐ろしさと、指揮官の判断の重さを学んだ人物である。
●森川少尉
翔鶴所属、第百六攻撃飛行隊の指揮官。
実戦前から移動標的艦を使った急降下爆撃訓練を重ね、艦隊航空隊の練度向上に努める。
固定目標ではなく、回避行動を取る艦艇を攻撃する訓練を通じ、実戦的な技術とデータを蓄積した。
パガラング海海戦では、米空母への攻撃へ参加する。
フソウ海軍が短期間で空母航空戦を行えたのは、森川たち搭乗員が事前に積み重ねてきた訓練があったためである。
●翔鶴
フソウ海軍航空母艦に宿る付喪神。第一航空戦隊の中核。
冷静で落ち着いた性格を持ち、感情的になりやすい者をなだめる役割も果たす。
パガラング海海戦では、第一次攻撃隊を発進させ、米艦隊へ大きな損害を与えた。
しかし米軍の最後の二方向攻撃によって爆撃を受け、飛行甲板と格納庫を損傷。
艦載機の発着が不可能となり、多数の搭載機を失う。
中野が自分の判断ミスを責めた際には、敵も命を懸けて戦った結果であり、一人だけの責任ではないと慰める。
艦として損傷しながらも、指揮官の心を支えようとする付喪神である。
●瑞鶴
フソウ海軍航空母艦に宿る付喪神。翔鶴の姉妹艦。
翔鶴よりも活発で攻撃的な気質を持つ。
パガラング海海戦では翔鶴とともに航空攻撃を実施し、米空母部隊を追い詰めた。
翔鶴が損傷した後も航空機運用能力を維持し、フソウ海軍の空母戦力を支える。
姉妹艦でありながら性格の異なる二人は、互いを補い合う存在となっている。
●秋月
秋月型防空駆逐艦に宿る付喪神。
空母を航空攻撃から守ることを主目的として建造された艦であり、強力な対空砲を持つ。
米軍機の攻撃では、自ら敵の前へ出て空母を守る。
夜間に敵水上部隊が接近した際にも、空母から敵を引き離すため、危険な迎撃任務を引き受けた。
部下たちへ無意味に死ぬことを求めず、生きて帰ることを重視する指揮官でもある。
●春月
秋月型防空駆逐艦。
米軍の最終航空攻撃で魚雷を受け、航行不能となる。
曳航や修理が困難であり、敵に利用される危険もあったことから、味方の手で処分された。
春月は、フソウ海軍が戦争によって初めて失った艦艇となる。
戦闘後、破壊された模型が鍋島のジオラマへ戻る。
鍋島は破片を一つ残らず集め、艦名と喪失記録を添えて保管した。
春月の喪失は、フソウ海軍がどれほど優れた装備を持っていても、戦争で犠牲を免れることはできないという現実を示している。
●霧島
フソウ海軍戦艦に宿る付喪神。
パガラング海海戦の終盤、榛名とともにエンタープライズへ接近する。
海上の搭乗員を救助するため探照灯を点灯している米空母を見て、敵が単なる海賊や殺人者ではないと理解する。
最初の砲撃を意図的に外し、降伏すれば攻撃しないという信号を送る。
敵を撃沈できる状況でありながら、生存者を救う選択肢を与えた。
戦艦としての火力だけでなく、戦場全体を見て判断する指揮官としての成長を見せた付喪神である。
●異世界のアメリカ海軍●
●レイモンド・A・スプルーアンス
アメリカ海軍少将。第十六任務部隊司令官。
空母エンタープライズを中心とする艦隊を指揮していたところ、艦隊ごと異世界へ召喚される。
星、海図、無線のすべてが一致しない状況でも、混乱を抑え、燃料と物資を節約しながら情報収集を進めようとする。
フソウ海軍との戦闘では、限られた戦力で反撃を組み立てる。
ホーネットを失い、多数の護衛艦艇が沈んだ後も、搭乗員の救助を優先。
夜間に探照灯を点灯し、自艦の位置が敵へ知られる危険を承知しながら、海上の仲間を見捨てなかった。
フソウ側から降伏の機会を与えられると、部下を無意味に死なせないため、エンタープライズを明け渡す。
勝利よりも乗組員の生命を優先できる、責任感の強い指揮官である。
●フランク・J・フレッチャー
アメリカ海軍少将。第十七任務部隊司令官。
空母ホーネットを中心とする部隊を率いていた。
異世界へ召喚された後、より広い範囲の情報を集めるため、自ら駆逐艦ファレンホルトへ乗り、偵察任務へ向かう。
そのため、パガラング海海戦の主戦場には参加しなかった。
現地の住民との接触によって、日章旗を掲げる国が大日本帝国ではなく、フソウ連合という別の国家であることを知る。
集合地点へ戻った後、ホーネットの乗組員が虐殺された現場を発見する。
部下とともに異世界へ取り残されたフレッチャーは、海賊国家サネホーンの提案を受け入れる。
仲間の捜索、犯人の特定、帰還方法の発見を条件として、米海軍の知識と技術を提供する道を選んだ。
祖国へ戻るためだけでなく、生き残った部下を守るため、新たな国家と手を組んだ人物である。
●マクベナ・J・キャハン
重巡洋艦タスカルーサの艦長。
空母部隊が敗北した後、駆逐艦二隻とともに夜間の水上攻撃へ向かう。
未知の敵へ降伏した場合、乗組員がどのように扱われるか分からないという恐怖から、最後まで抵抗する道を選んだ。
損傷したフソウ空母へ接近するが、最上と駆逐艦部隊の罠に捕らえられ、タスカルーサと運命をともにする。
●ライン・ハンニバル
駆逐艦ファレンホルト艦長。
フレッチャー少将を乗せ、米艦隊本隊から離れて偵察任務を行う。
本隊消失と仲間の虐殺を知った後も、艦内の規律を維持し、フレッチャーの判断を支える。
サネホーンとの協力についても、部下が生き残るための現実的な選択として受け入れる。
異世界で孤立したファレンホルトを、米軍人たちの新たな居場所へ導く艦長である。
●フラレシア共和国●
●アリシア・エマーソン
フラレシア共和国の有力政治家。
国際海路警備機構を利用した外交によって、ドクトルト教国から社会主義共和国連邦への支援を停止させる。
帝国崩壊後も、軍事衝突だけでなく、物流、宗教、情報を使って国際情勢を動かしている。
各国で捕らえられた工作員の異常な死亡率と、尋問前の自死に注目する。
個人の忠誠心だけでは説明できず、国家規模、あるいはそれ以上の組織的な精神操作が存在すると考えた。
正体不明の組織が各国へ深く浸透していることを、早い段階から察知している。
かつて災厄の魔女と呼ばれたアンネローゼとも会談する。
目の前の女性が過去とは大きく変わったことを認めながら、その知識と経験を政治・情報面で活用しようとする。
感情だけで相手を裁かず、現在の能力と立場を見る現実的な政治家である。
●アンネローゼ
元帝国魔術師。かつて「災厄の魔女」と呼ばれた女性。
雑草号の船長と結婚し、魔術師としてではなく、一人の妻、船員として生活している。
過去の尊大で享楽的な態度は薄れ、初対面のアリシアへも礼儀正しく接する。
その変化は、アリシアが本人だと信じられないほど大きなものだった。
ただし、旧帝国魔術師や裏社会について持つ知識まで失ったわけではない。
過去の罪を消すことはできなくても、その経験を誰かを守るために使う方向へ進み始めている。
●ポルメシアン商業連盟●
●アントハトナ・ランセルバーグ
ポルメシアン商業連盟の老商人。
連盟が旧帝国への投資失敗、海賊被害、交易路の変化によって衰え始めていることを理解している。
古い権威に固執する商人たちとは異なり、新しい市場と人材が必要だと考える。
若手商人ポランドの発言に可能性を感じ、フソウ連合とアルンカス王国の市場開拓を命じる。
成功条件として、両国との取引を商業連盟全体の三割以上へ成長させるという、非常に厳しい課題を出した。
単に若者を潰すためではなく、連盟を変えられる人物かどうかを試している。
自らが持たない交易路と人脈を、次世代へ託そうとする老商人である。
●ポランド・リットーミン
ポルメシアン商業連盟の若手商人。
過去の成功と地位を誇るだけの有力商人へ、連盟が衰退している現実を突きつける。
無礼とも取られかねない発言だったが、アントハトナから将来性を認められる。
フソウ連合とアルンカス王国との交易を開拓し、二国との取引を連盟全体の三割へ育てるよう命じられた。
失敗すれば商人としての未来を失う可能性がある一方、成功すれば連盟を代表する商人になれる。
父が果たせなかった夢を継ぎ、世界一の商人になるため、未知の市場へ向かう決断をする。
●アカンスト合衆国●
●アルフォード・フォックス
アカンスト合衆国大統領。
急速に成長するフソウ連合を将来の脅威とする報告を受け、政府内で対応を協議する。
補佐官から強硬策を求められるが、現在のフソウ連合が条約を破っていない以上、一方的に敵と決めることは避ける。
ただし、友好関係だけを信じて警戒を怠ることもせず、情報収集と勢力均衡を進めようとする。
●デービット・ハートマン
アカンスト合衆国副大統領。
フソウ連合との条約と外交上の信義を重視し、根拠が不十分な段階で敵視することへ反対する。
友好国を将来の可能性だけで攻撃すれば、合衆国自身の信用を失うと考える。
対立を煽る補佐官リラッドクとは、政治姿勢の面でも対立している。
●マルキッド・エルドンフォント
アカンスト合衆国国務長官。元軍人。
フソウ連合への即時強硬策には反対する一方、ソルシャーム社会主義共和国連邦を抑えるため、新シルーア帝国を支援することには前向きである。
弱い時期に支援すれば、将来その国が強くなった際、大きな影響力を持てると考えている。
軍人としての現実感覚と、大国外交の冷徹さを持つ人物である。
●ギルバート・リラッドク
アカンスト合衆国大統領補佐官。
フソウ連合が合衆国の軍事・経済・国際的地位を脅かす存在になると主張する。
現在は友好国であっても、将来敵になる可能性があるなら、成長する前に手を打つべきだと考える。
正体不明の組織が合衆国内へ打ち込んだ「楔」と関係する可能性も示唆されており、政府内でフソウ連合への警戒を煽る役割を果たしている。
●正体不明の組織●
●老師
各国へ工作員を送り込み、世界を裏側から動かそうとしている謎の老人。
人間を目的達成のための駒と考え、味方や信徒の犠牲にもほとんど感情を動かさない。
ミルネシア諸島で、異世界を結ぶ大規模召喚実験を指揮する。
約千人の信徒を魔力源として消費し、別世界から米海軍の空母艦隊を召喚することに成功する。
しかし空母の価値を理解できず、輸送船に近い存在と誤認。
召喚された者へ説明も支援もせず、フソウ連合と戦わせることで双方を消耗させようとした。
海戦後、空母と航空機の力をようやく理解し、生存者と残骸の回収を命じる。
米兵を人間として救うのではなく、技術と情報を得るための材料として扱う。
異世界召喚を成功させながら、自分が呼び出した者へ一切の責任を負わない人物である。
●ピエール・パシェッタ
元フラレシア共和国側の魔術師。現在は老師の配下。
転移魔術、潜入工作、情報操作を得意とする。
共和国での立場を失った後も、正体不明の組織へ加わり、各国への工作を続けている。
アカンスト合衆国内へ組織の影響を及ぼす「楔」を打ち込んだと報告する一方、ウェセックス王国と共和国は親フソウ派が権力を握っており、浸透が難しいと分析する。
老師への忠誠を示しているものの、老師にとってピエール自身も、交換可能な駒の一つにすぎない。
●旧帝国魔術師ギルドの魔術師
帝国崩壊後、老師の組織へ加わった魔術師。
魔術書を利用し、鍋島の模型実体化能力に近い物体再構築を再現しようとする。
魔法陣を作動させることには成功したが、集めた魔力だけが失われ、物体を作り出すことはできなかった。
召喚技術には、魔術書へ記録されていない核心部分が存在すると推測する。
その後、方向を変えて異世界との門を開く実験へ参加し、米空母艦隊の召喚を実現させた。
●海賊国家サネホーン●
●リンダ・エンターブラ
海賊国家サネホーンの交渉担当者。
異世界から来たファレンホルトへ接触し、艦名、国籍、乗組員の出身を把握していることを示す。
フレッチャーへ保護と支援を申し出る代わりに、米海軍の技術、知識、経験をサネホーンへ提供するよう求める。
脅迫だけで従わせるのではなく、部下の安全、仲間の捜索、元の世界へ戻る方法の研究といった、フレッチャー側にも利益のある条件を示す。
海賊国家の人物でありながら、相手の事情と心理を理解して交渉できる人物である。
●グラーフ
海賊国家サネホーンの中心人物の一人。
異世界から来た米軍人を、利用するだけの捕虜ではなく、新しい仲間として迎えようとする。
巨大な航空母艦の付喪神であり、ファレンホルトの者たちを出迎えるため、自ら海へ出る。
サネホーンの住民や仲間を大切にする一方、国家を守るためには戦力と技術の獲得も必要だと理解している。
米軍人とホーネットを得たことで、サネホーンが本格的な航空戦力を持つ可能性が生まれる。
●フッテン、ルイジアナ、ペーター
グラーフとともに海賊国家サネホーンを支える中心人物(付喪神)たち。
それぞれ異なる役割を持ち、海賊国家の軍事、産業、政治を分担している。
単なる略奪者の集団ではなく、追われた者や行き場のない者を受け入れ、一つの国家を作り上げてきた。
ファレンホルトとホーネットの受け入れによって、サネホーンの技術と勢力をさらに拡大しようとしている。
●主な艦隊・組織●
●フソウ海軍空母機動部隊
翔鶴、瑞鶴を中核とし、秋月型防空駆逐艦、水上打撃部隊、潜水艦隊を組み合わせた艦隊。
航空攻撃だけで敵を倒すのではなく、索敵、防空、潜水艦攻撃、夜間水上戦を一体として運用する。
パガラング海海戦で米空母部隊を撃破し、エンタープライズを拿捕した。
一方、翔鶴の中破と春月の喪失によって、防空と索敵には改善すべき点が残ることも明らかになった。
●アメリカ海軍第十六・第十七任務部隊
異世界から召喚されたアメリカ海軍の空母部隊。
エンタープライズ、ホーネット、タスカルーサ、複数の駆逐艦と約百五十機の航空機で構成される。
本来の戦場へ向かう途中で、艦隊ごと未知の世界へ転移した。
フソウ連合の存在を知らず、日章旗を見て日本軍と誤認したことで戦闘へ入る。
パガラング海海戦で主力を失い、エンタープライズは降伏。
ホーネットとファレンホルトは、後にサネホーンの手へ渡る。
部隊としては壊滅したが、その人材と技術はフソウ連合、サネホーン、老師の組織など、複数の勢力へ分散することとなった。
●パガラング海海戦
フソウ海軍と、異世界から召喚されたアメリカ海軍空母部隊との間で行われた海戦。
双方が相手の正体を理解しないまま、誤認と先制攻撃によって始まった。
航空母艦同士が航空機を送り合い、艦隊本体が直接姿を見ることなく戦う、この世界初の本格的な空母決戦となる。
フソウ海軍が勝利したものの、米軍の反撃によって翔鶴が中破し、春月が失われた。
戦闘後には航空技術と残骸が各国へ流出し、世界の軍事技術を大きく変えるきっかけとなった。
●正体不明の組織
老師を中心として、各国へ工作員を潜入させている秘密組織。
精神操作、自死の強制、魔術、暗殺、偽装工作などを利用し、国家間の対立を拡大させる。
ミルネシア諸島で異世界召喚実験を行い、米海軍空母部隊をこの世界へ呼び出した。
召喚した艦隊へ事情を説明せず、フソウ連合と衝突させることで消耗させようとした。
戦闘後には生存者と航空技術を回収し、次の計画へ利用しようとしている。
●ポルメシアン商業連盟
商人と交易都市を中心とする列強の一つ。
旧帝国への投資失敗、サネホーンによる海賊被害、国際海路警備機構の成長によって、従来の優位を失い始めている。
有力商人の保守性と、違法交易への依存が改革を妨げている。
一方、ポランドのような若い商人は、フソウ連合とアルンカス王国を新しい市場として注目している。
軍事力ではなく、交易と経済を通じて次の時代へ適応できるかが問われる国家である。
●海賊国家サネホーン
海賊、亡命者、追放者などが集まって作られた海上国家。
商船への襲撃も行う一方、独自の造船所、工業力、巨大艦艇を持ち、単なる海賊集団を超える規模へ成長している。
ファレンホルトの米軍人を受け入れ、大破したホーネットと航空機を回収する。
これによって、米軍式の空母運用、航空機設計、搭乗員教育を学べる立場となった。
フソウ連合以外で本格的な空母航空戦力を持つ可能性が最も高い、新たな海洋勢力である。




