第二回 帝国東方戦役編(第四章~第六章・外伝1)
●主な登場人物・勢力紹介●
※本ページには、『異世界艦隊日誌』第四章から第六章、および外伝1「ドライブに行こう」の内容と結末に関するネタバレが含まれています。
※人物の所属や階級、立場は、原則として第六章終了時点を基準としています。
※本ページでは、帝国東方戦役編で重要な役割を担った人物を中心に紹介しています。名前のあるすべての登場人物を網羅したものではありません。
●主要人物●
●鍋島貞道
フソウ海軍総司令長官。マシガナ地区代理責任者。
現実世界で作った模型を実体化させる能力を持ち、その艦隊と軍港を基礎としてフソウ海軍を成立させた人物。
始動編では、突然与えられた長官という立場に戸惑いながら、フソウ連合を守るために行動していた。
帝国東方戦役編では、軍事だけでなく、外交、内政、人事、情報戦にも関わるようになる。
第一次シマト諸島攻防戦では、現地を最も理解している的場良治少佐へ作戦のすべてを任せ、自分は最終的な責任を負うと明言する。
部下の能力を信じ、必要以上に現場へ介入しないことも、長官の役割だと考えている。
王国使節団との交渉では、スルクリン男爵の偽装を見抜きながらも、王国使節団全体を責めることなく、本来の講和交渉を続けた。
王国から提示された植民地の譲渡にも魅力を感じず、対等な関係を前提とした同盟を選ぶ。
さらに、帝国との戦いで追い詰められていた王国へ、戦艦ネルソンとロドニーを譲渡することを決定する。
『夜霧の渡り鳥』作戦では、航空機、機雷、潜水艦、水上艦隊を組み合わせ、帝国東方艦隊を根拠地ごと無力化する作戦を立案した。
一方、フソウ連合を王国の支配下へ置こうとしていた斎賀露伴に対しては、その行動の裏に祖国と民を守りたいという思いがあったことを理解する。
斎賀を処罰して終わらせるのではなく、王国駐在大使という新たな役割を与え、その経験と能力を国のために生かそうとした。
人を敵か味方かだけで判断せず、その人物の本質と能力を見極める姿勢が、鍋島の大きな特徴となっている。
また、外伝1では、東郷夏美の存在を単なる秘書官以上のものとして意識し始めている。
●東郷夏美
フソウ海軍大尉。鍋島長官の秘書官。
軍務と現実世界での生活の両面から、鍋島を支えている人物。
公式の会見や外交交渉では、鍋島の予定管理、書類整理、来客への対応などを担当する。
鍋島が相手との会話へ集中できるのは、東郷が周辺の実務を確実に処理しているためでもある。
真面目で有能だが、感情が大きく動くと慌ててしまう面がある。
鍋島に強い好意を抱いているものの、本人へ明確に伝えることはできていない。
外伝1では、鍋島と二人で現実世界の海へドライブに出かける。
鍋島も東郷を女性として強く意識し始め、二人の関係は上官と秘書官だけでは説明できないものへ変わりつつある。
ただし、肝心な場面で空腹に負けてしまうなど、普段の有能さとは異なる親しみやすい一面も見せている。
●フソウ海軍●
●山本平八
フソウ海軍中将。
フソウ海軍の実戦部隊を統括する、鍋島の主要な指揮官。
第一次シマト諸島攻防戦では的場少佐へ指揮を任せ、その成長を見守る立場に回った。
『夜霧の渡り鳥』作戦では、戦艦榛名を旗艦として水上打撃部隊を指揮する。
帝国東方艦隊を港から誘い出すため、あえて艦隊の速力を落とし、追いつけそうで追いつけない距離を保ちながら予定海域へ誘導した。
正面からの砲撃戦を望む榛名に対し、鍋島が将兵一人ひとりの命を大切にしていることを説明し、被害を可能な限り減らす方針を理解させている。
長年の経験を持つ軍人でありながら、鍋島の姿勢から自分たちが忘れかけていたものを学び取ろうとしている。
鍋島を単なる名目上の長官とは考えておらず、いつか彼の立つ高みへ届きたいと感じるほど、指揮官として認めている。
● 新見正人
フソウ海軍准将。参謀本部長。
鍋島や山本を補佐し、作戦立案、部隊編成、戦力整備を担当する。
『夜霧の渡り鳥』作戦では、爆撃機部隊の機種転換訓練、北部基地の整備、補給物資の輸送、敷設艦や潜水艦の配置など、作戦実施に必要な準備を進めた。
鍋島が提案した、敵の近海で行う実戦同様の予行演習には驚かされたものの、濃霧を利用すれば実行可能だと判断する。
鍋島の大胆な発想を、実行できる計画へ落とし込む参謀として、海軍全体を支えている。
●的場良治
フソウ海軍少佐。北方方面艦隊司令。
第一次シマト諸島攻防戦の作戦立案と現場指揮を任された人物。
普段は飄々としており、軍人らしい威厳に乏しく見える。そのため、年上の指揮官から軽く見られることもある。
しかし、敵の行動を読む能力、限られた情報から戦場全体を組み立てる能力、複数の部隊へ役割を与える指揮能力に優れている。
第一次シマト諸島攻防戦では、帝国艦隊を分断し、先行部隊と後続部隊を各個に撃破する。
自分に反発する指揮官も作戦から外さず、適切な役割を与え、その能力を利用して勝利へ結びつけた。
この戦いによって、北方方面艦隊司令としての実力を改めて証明する。
付喪神の最上とは、上官と部下であると同時に、互いを遠慮なくからかえる友人でもある。
●川見悟
フソウ海軍中佐。諜報部責任者。
国内外の情報収集、捕虜への調査、敵対勢力や不審な動きの監視を担当する。
王国使節団の中に不穏な動きがあることを事前に察知し、スルクリン男爵の偽装を暴くための情報を集めていた。
また、王国と密かに接触を続けていた斎賀露伴の行動も調査し、秘密連絡に使われていた船や協力者を特定する。
鍋島からは方法を細かく指定されることなく、斎賀が危険な行動を取れないようにする任務を任されていた。
鍋島が斎賀を王国駐在大使に任命しようとした際には、その判断を否定せず、長官の好きなようにすればよいという態度を見せる。
必要な情報を集めながら、最後の判断は鍋島へ委ねる、信頼できる情報担当者である。
●南雲石雄
フソウ海軍少佐。南方方面艦隊司令。
フソウ連合南方海域の警戒と防衛を担当する指揮官。
王国使節団が嵐の結界を越えて接近した際には、部隊を率いて接触と案内を行った。
また、斎賀露伴が王国との秘密連絡に使用していた船を拿捕し、国内で続いていた非公式な外交経路を断っている。
奇策を好む的場とは対照的に、与えられた任務を確実に遂行する、堅実な指揮官である。
●可部中尉
フソウ海軍航空隊の指揮官。
『夜霧の渡り鳥』作戦に参加する爆撃機隊を率いる。
連山十二機と一式陸上攻撃機十六機による、夜間・濃霧下での機雷投下を指揮した。
長々とした訓示を行う人物ではなく、出撃前に部下へ伝えた言葉も、「誰も死ぬなよ」という短いものだった。
普段どおりの簡潔な指示の中に、部下を生きて帰したいという思いが込められている。
部下たちも、その言葉の意味を理解し、笑顔でそれぞれの機体へ向かった。
●榛名
フソウ海軍に所属する戦艦の付喪神。
『夜霧の渡り鳥』作戦において、山本中将が座乗する旗艦を務める。
戦艦として正面から敵艦隊と砲火を交えることに誇りを持っており、敵を罠へ誘い込む作戦に対して、やや不満を抱いていた。
しかし山本から、鍋島が負傷兵一人ひとりへ頭を下げて回ったことを聞き、味方の被害を減らす作戦の意味を理解する。
戦闘では帝国艦隊から集中砲火を受けながら、その装甲によって耐え抜き、フソウ艦隊の中核として戦った。
●フソウ連合の政治・外交●
●斎賀露伴
トモマク地区責任者。後にウェセックス王国駐在大使への任命を打診される。
若い頃、父・斎賀帰心が救助したウェセックス王国の王族に連れられ、外の世界を旅した経験を持つ。
そこで斎賀が見たのは、強国が弱い国を支配し、力のない民が搾取される世界だった。
フソウ連合がそのままでは滅ぼされるか、どこかの植民地になると考え、王国との秘密交流を続ける。
いずれ外国に支配されるのであれば、以前から交流のある王国へ従属した方が、民の被害は少ない。
それが、フソウ海軍が成立する以前に斎賀が選んだ、現実的な救国策だった。
しかし、鍋島とフソウ海軍の登場によって、フソウ連合は自力で国を守る可能性を得る。
さらに、王国との対等な同盟まで成立したことで、斎賀の計画は必要のないものとなった。
自分の努力がすべて無意味になったと感じた斎賀は、鍋島への怒りと憎しみを抱く。
それでも、彼の目的は一貫して祖国と民を救うことだった。
その本心を知った鍋島から、地区責任者を退いた後、王国駐在大使になるよう求められる。
自分の失敗によって処罰される覚悟をしていた斎賀にとって、それは想像もしなかった提案だった。
敵対者として排除されるのではなく、長年培ってきた外交経験を、祖国のために使う機会を与えられたのである。
● ウェセックス王国●
● アーリッシュ・サウス・ゴバーク
ウェセックス王国王子。通称アッシュ。
ガサ沖海戦では、敗北時の責任を負わせるための名目上の総司令官として遠征艦隊に乗せられていた。
フソウ連合で捕虜となり、鍋島との交流を通して、王国とフソウ連合との友好関係を築くことを決意する。
帰国後、王国が帝国との戦いで主力艦隊を失い、王位継承上位者も多数死亡したことを知る。
その結果、アッシュの王位継承順位は上昇した。
しかし、本人は王位を得ることよりも、王国を立て直し、フソウ連合と対等な同盟を結ぶことを優先する。
フソウ連合の軍事力だけでなく、鍋島の人柄や考え方を信頼しており、王国上層部へ同盟の必要性を訴え続けた。
同盟締結とネルソン、ロドニーの譲渡によって政治的な評価も高まり、王国内ではアッシュを支持する勢力が形成され始めている。
鍋島にとっては、敵国の王子として出会いながら、国境を越えた友人となった人物である。
●ミッキー・ハイハーン
ウェセックス王国海軍軍人。アッシュの親友。
士官学校時代からアッシュを支え続けてきた、アッシュ派の中心人物。
王国使節団の実質的な代表として、フソウ連合との講和・同盟交渉を担当する。
スルクリン男爵によって薬を盛られ、交渉の場から排除されかけたものの、クルッシュ・イターソンらと協力して男爵の不正を暴いた。
鍋島との正式な交渉では、王国が帝国との戦いで追い詰められていることを隠さず、必要な情報を正直に伝える。
王国が用意した過大な譲歩を鍋島が求めず、それどころかネルソンとロドニーの譲渡を提示したことに、強い感謝を抱いた。
同盟締結の功績によって昇進し、新たな艦隊を任される。
アッシュ派の軍事的な中心として、今後の王国海軍再建を担う立場となった。
●カッシュ・アルキムス
ウェセックス王国海軍中尉。
王国使節団の一員としてフソウ連合を訪れる。
ミッキーやイターソンとともにアッシュを支持する若手軍人。
フソウ連合の基地、艦隊、軍人たちの規律を直接目にし、王国で聞いていた以上の実力を持つ国であることを理解する。
ネルソンとロドニーの譲渡に際しては、王国側の視察や交流にも関わる。
王国とフソウ連合の新しい関係を、現場で経験する世代の一人である。
● クルッシュ・イターソン
ウェセックス王国海軍大尉。
王国使節団の護衛と実務を担う軍人。
スルクリン男爵の企みを察知し、その不正を暴くために行動する。
男爵とその取り巻きを拘束し、王国側の問題として処理した。
外交官ではないが、ミッキーを支え、交渉を正常な状態へ戻すために重要な役割を果たす。
現場での判断と実行力に優れた、アッシュ派の実務担当者である。
● ノルデン・ジョージ・スルクリン
ウェセックス王国の男爵。
王国使節団へ加わった貴族だが、正式な交渉代表ではない。
鍋島を若く頼りない人物だと見下し、自分が全権代表であると偽って、フソウ連合を王国の支配下へ置こうとする。
ミッキーたちへ薬を盛り、交渉の場から排除しようとした。
さらに、王国に敵対する勢力と内通していた証拠も発見され、拘束される。
王国の内部へ外国勢力や私利私欲を優先する者が入り込んでいることを示す人物である。
●ディラン・サウス・ゴバーク
ウェセックス王国国王。アッシュの父。
王族や有力貴族、主力艦隊を一度に失い、疲弊した王国を立て直そうとしている。
かつてはアッシュを政争から遠ざけるため、実質的な捨て駒として遠征へ送り出した。
しかし、帰国したアッシュの報告とフソウ連合の戦果を受け、その主張を認める。
王国の存続のため、フソウ連合との講和と同盟交渉を進めることを決断した。
●エドワード・ルンデル・オスカー
ウェセックス王国宰相。通称「鷹の目エド」。
冷静な判断力と政治的な洞察力を持つ、王国の重臣。
アッシュの報告や帝国東方艦隊の敗北を分析し、フソウ連合との同盟が王国の存続に必要だと判断する。
表立ってアッシュ派を率いるわけではないが、陰からその活動を支援している。
●サミエル・ジョン・メイソン
ウェセックス王国海軍軍務大臣。通称「海賊メイソン」。
豪快な性格を持つ、王国海軍の重鎮。
帝国との戦いで主力艦隊を失った海軍の再建を担う。
ネルソンとロドニーの到着を喜び、その独特な設計にも強い関心を示す。
アッシュとミッキーを支持し、王国海軍内部におけるアッシュ派の有力な後ろ盾となる。
●スチュワート・エルドルソン
ウェセックス王国の艦艇設計に関わる技術者。
ネルソンとロドニーの入港式典へ参加し、二隻の構造を詳しく観察していた。
表向きは王国の技術者だが、別の依頼主のために情報を集めている疑いがある。
王国とフソウ連合の同盟が成立しても、両国の内部で各国の情報工作が続いていることを示す人物である。
●シルーア帝国●
●アレクセイ・イワン・ロドルリス
シルーア帝国海軍大将。帝国東方方面海軍司令長官。
帝国海軍に三十年以上勤務してきた、経験豊富な軍人。
海軍の地位向上と祖国の将来を真剣に考えているが、腐敗した皇帝や親衛隊、宰相グリゴリーの存在に強い危機感を抱いている。
本来は慎重な人物だが、皇帝の勅命に従い、フソウ連合への侵攻を開始する。
第一次シマト諸島攻防戦で派遣艦隊を失った後も、東方艦隊の司令長官として職務を続ける。
『夜霧の渡り鳥』作戦では、ジュンリョー港への奇襲を受ける。
残存戦力を集め、数の優位を生かしてフソウ艦隊を撃破しようとするが、それは鍋島と山本が用意した罠だった。
港周辺へ敷設された機雷と、フソウ艦隊の砲撃によって東方艦隊は壊滅する。
敗戦後は本国へ召還され、軍事裁判を待つ立場となった。
無能な指揮官ではなく、自国の腐敗した政治体制と、未知の戦術を持つフソウ海軍との間に挟まれ、敗北へ追い込まれた人物である。
●カルル・レオニード・フセヴォロドヴィチ
シルーア帝国皇帝。
暴飲暴食と享楽に溺れ、国家や軍の実情を理解しようとしない人物。
帝国に逆らう者は力で滅ぼせばよいと考え、詳しい調査も行わず、アレクセイへフソウ連合を滅ぼすよう命じた。
皇帝としての権力は持っているが、実際の帝国政治は宰相グリゴリーに支配されている。
グリゴリーにとって都合がよいため、皇帝の座へ置かれているにすぎない。
●グリゴリー・エフィモヴィチ・ラチスールプ
シルーア帝国宰相。帝国の事実上の支配者。
年齢不詳の老人であり、政治家であると同時に強力な魔術師でもある。
皇帝カルルを操り、帝国の政務を自らの思いどおりに動かしている。
異世界から戦艦ビスマルクとテルピッツを召喚した張本人。
召喚には多数の魔術師と特殊な触媒を必要としたため、同じ方法を簡単に繰り返すことはできない。
それでも、孫アンネローゼの言葉をきっかけとして、新たな召喚の可能性を探り始める。
フソウ連合という名前を聞いた際、異常な反応を示し、何としても滅ぼすようアレクセイへ念を押している。
なぜフソウ連合の存在をそれほど危険視するのかは、この時点では明らかになっていない。
●アンネローゼ
グリゴリーの孫であり、魔術の弟子。
ウェセックス王国ではアンネ・ルククファンと名乗り、王国海軍と王族の内部へ入り込んでいた。
男性を惑わせる能力や話術を使い、王子や貴族、提督たちの対立を煽る。
その結果、王国の主力三個艦隊は帝国との戦いへ投入され、壊滅した。
人間が欲望や嫉妬によって破滅する様子を楽しむ、残酷で享楽的な性格。
祖父グリゴリーを強く慕い、その魔術師としての知識と能力を受け継いでいる。
王国での任務を終えた後は帝国へ戻り、今度は自らフソウ連合へ向かおうとする。
●アデリナ・エルク・フセヴォロドヴィチ
シルーア帝国海軍中央艦隊司令長官。本国守備隊総責任者。
帝国皇帝の従妹であり、「黄金の姫騎士」の異名を持つ猛将。
ビスマルクとテルピッツを中心とした帝国本国艦隊を率いる。
王国主力艦隊を撃破した勢いを利用し、王国へ回復の時間を与えず、さらに攻勢をかけるべきだと考えている。
非常に短気で、思いどおりに進まないと感情を爆発させる。
一方で、自分の説明不足を指摘されれば非を認め、技術者たちへ謝罪することもできる。
兵器や艦艇への愛着、帝国への忠誠心は本物であり、単なるわがままな指揮官ではない。
副官ノンナの助言を受けることで、自らの欠点を補っている。
●ノンナ
アデリナの副官。
銀色の髪と冷静な態度を持つ女性軍人。
感情的になりやすいアデリナに対し、必要な場合には主君であっても率直に意見する。
修理を急がせる理由を説明せず、技術者へ無理を押しつけようとしたアデリナを諫め、双方が納得できる形へ話を進めた。
アデリナの能力と忠誠心を理解しながら、その短気さや説明不足を補う重要な存在である。
●ロジオン・ヤーシャ・ミドルラス
帝国海軍少将。
アレクセイが本国へ召還された後、帝国東方艦隊の司令長官に任命される。
しかし、東方艦隊はすでに数隻の装甲巡洋艦を残すだけの状態となっており、司令長官という役職も事実上の左遷だった。
本国艦隊の増強が優先されたため、東方艦隊へ十分な補充は行われず、再建よりも敗戦後の処理へ追われることになる。
●主な国家・組織●
● フソウ連合
嵐の結界に囲まれた、複数の地区からなる島国。
帝国東方戦役編では、外国の侵攻を防ぐだけの国家から、外交と軍事によって国際情勢へ働きかける国家へ変化する。
帝国の侵攻艦隊を撃破し、ウェセックス王国と対等な同盟を締結。
さらに『夜霧の渡り鳥』作戦によって、帝国東方艦隊とジュンリョー港を無力化した。
この勝利によって、世界の列強から新たな軍事大国として注目されることになる。
●フソウ海軍
鍋島が作った模型から実体化した艦艇と施設を基礎とする海軍。
高性能な艦艇だけでなく、通信、情報、補給、修理、航空、潜水艦、機雷敷設など、複数の部門を統合して運用できることが最大の強み。
『夜霧の渡り鳥』作戦では、爆撃機、敷設艦、潜水艦、水上艦隊を連携させ、帝国東方艦隊の行動を完全に封じた。
また、鍋島の方針によって、勝利だけでなく、将兵を生きて帰すことが重視されている。
●ウェセックス王国
世界の六強に数えられる海洋国家。
ガサ沖海戦ではフソウ連合へ侵攻した敵国だったが、帝国との戦いで主力艦隊を失い、国内政治も大きく混乱する。
アッシュの働きによってフソウ連合との講和・同盟へ進み、ネルソンとロドニーの譲渡を受ける。
帝国東方艦隊の壊滅後は、フソウ連合との軍事・経済・文化交流を急速に拡大させ、海軍再建へ動き始めた。
●シルーア帝国
世界最強とも噂される大国。
ビスマルクとテルピッツを中心とする強大な本国艦隊を持つ。
一方で、皇帝の腐敗、宰相による政治支配、軍部間の対立、民衆の貧困など、国家内部には大きな問題を抱えている。
フソウ連合を容易に滅ぼせる小国と見なしていたが、二度にわたる敗北によって東方艦隊を失う。
東部地域への軍事的影響力は大きく低下したものの、本国艦隊と魔術師たちの力は依然として健在である。
●帝国東方艦隊
アレクセイ大将が率いていた、シルーア帝国東部の主力艦隊。
第一次シマト諸島攻防戦で派遣部隊を失った後も、多数の重戦艦、戦艦、装甲巡洋艦、特務砲艦を保有していた。
『夜霧の渡り鳥』作戦によって母港ジュンリョー港を奇襲され、残存艦隊も海上へ誘い出された末に壊滅。
戦役終了時点では、数隻の装甲巡洋艦を残すのみとなり、東方方面での作戦能力をほぼ失っている。
●帝国中央艦隊
アデリナが指揮する、帝国本国防衛の主力艦隊。
異世界から召喚されたビスマルクとテルピッツを保有する。
王国海軍の主力三個艦隊を壊滅させた実績を持ち、帝国最強の艦隊とされている。
東方艦隊を失った後も、この中央艦隊が存在する限り、帝国の軍事的脅威が失われたわけではない。
●帝国魔術師勢力
宰相グリゴリーを中心とする魔術師たち。
異世界から艦艇を召喚する技術を持ち、ビスマルクとテルピッツを帝国へ出現させた。
召喚には大きな犠牲が必要で、安定して使える技術ではない。
しかし、フソウ連合の台頭を受け、新たな召喚を行う研究が再び動き始めている。
●帝国内の反体制勢力
重税と圧政に苦しむ帝国国民の中で、現在の国家体制を変えようとしている者たち。
表立った大組織にはなっていないが、酒場などを通して密かに仲間を集め始めている。
帝国が外との戦争を続ける一方で、国内からも変化の兆しが生まれている。
●帝国東方戦役後に動き始めた列強●
●フラレシア共和国
ウェセックス王国と対立し、シルーア帝国と友好的な関係を持つ国家。
フソウ連合の急速な台頭を危険視し、情報収集と帝国への支援を開始する。
フソウ連合に近い植民地へ艦隊を派遣し、軍事的な圧力を強めようとしている。
●ポルメシアン商業連盟
世界の六強の一つ。
帝国東方艦隊の敗北を受けても、直ちに敵対・友好の立場を決めず、情報収集を優先する。
商業国家として、フソウ連合が今後の世界経済へ与える影響を見極めようとしている。
●ドクトルト教国
世界の六強の一つ。
フソウ連合の軍事力に注目しながらも、この時点では明確な立場を示さず、静観を続けている。
●アカンスト合衆国
かつてウェセックス王国の植民地だったが、独立して六強の一角となった国家。
フソウ連合周辺に植民地を持たないため、直接利害が衝突しにくい。
帝国東方艦隊の壊滅を好機と捉え、フソウ連合との友好関係と条約締結を目指す。
戦いの情報を得てから短期間で使節団の派遣を決定するなど、非常に早い動きを見せている。




