第一回 始動編(序章~第三章)
●主な登場人物・勢力紹介●
※本ページには、『異世界艦隊日誌』序章から第三章までの内容および結末に関するネタバレが含まれています。
※人物の所属や階級は、原則として第三章終了時点のものです。
※この人物紹介では、始動編の物語に大きく関わった人物を中心に掲載しています。名前のあるすべての登場人物を網羅したものではありません。
●主要人物●
●鍋島貞道
フソウ海軍長官。マシガナ地区代理責任者。
現実世界では、父親から相続した不動産の収入で生活しながら、趣味の模型製作を楽しんでいた。
五年をかけて完成させた巨大な軍港ジオラマが、魔法の存在する異世界の島と同化。模型として製作した艦船や航空機、軍港施設が実体化したことで、フソウ連合の運命に関わることになる。
軍人や政治家としての経験はなく、人の上に立つことにも慣れていない。
長官や地区責任者という立場に相応しい人間ではないと考えているが、部下や住民の命に対する責任感は強い。
勝利や戦果だけを求めず、負傷者の治療、漂流者の救助、捕虜の保護、将兵の休養と生活を重視する。
ガサ沖海戦では、出撃する将兵へ勝利だけでなく、生きて帰るように訴えた。
自分の決断によって人が死ぬという現実に苦しみながらも、長官として逃げずに向き合おうとしている。
軍事面では大型戦闘艦だけに頼らず、輸送艦、給油艦、工作艦、警備艦艇などを増強。教育、広報、情報、補給、基地整備にも目を向け、海軍を一つの組織として育てていく。
異世界ではフソウ連合を守る長官、現実世界では不動産を所有する一人の模型好きという、二つの立場を持つ。
序章から第三章は、鍋島が模型の所有者から、人々と国家の将来を背負う指導者へと変わり始める時期に当たる。
●東郷夏美
フソウ海軍大尉。鍋島長官の秘書官。
鍋島が異世界と関わり始めた直後から、最も近くで彼を支えている女性。
事務処理能力とスケジュール管理能力に優れ、長官室へ持ち込まれる大量の書類や、鍋島の予定を的確に整理する。
規律や礼儀を重んじる生真面目な性格で、立場に無頓着な鍋島へ注意することも多い。
一方で、鍋島の性格や考え方をよく理解しており、緊張しているときには冗談や行動によって気持ちをほぐすなど、秘書官としてだけでなく精神面でも支えている。
現実世界では鍋島の家で生活し、食事や家事も担当する。
そのため、異世界の軍務だけでなく、現実世界での鍋島の生活にも深く関わる存在となっている。
本人は鍋島に強い好意を抱いているが、鍋島はその気持ちにほとんど気づいていない。
●三島晴海
フソウ連合の魔術師。マシガナ地区責任者の補佐役。
鍋島の巨大ジオラマを依り代として、異世界側に軍港や艦隊を実体化させた人物の一人。
鍋島へ異世界とフソウ連合の事情を説明し、突然長官となった彼を導く。
魔術や嵐の結界について深い知識を持つだけでなく、各地区責任者との交渉や調整も担当している。
明るく親しみやすい性格だが、フソウ連合の政治や人間関係を長く見てきたため、現実的で慎重な判断もできる。
嵐の結界が以前ほど外敵を防げなくなっていることを理解しており、鍋島とともに、結界に代わって国民へ安心を与えられる仕組みを模索する。
鍋島にとっては、魔術と政治の両面で頼ることのできる助言者である。
●見方敦
フソウ海軍大尉。鍋島長官直属護衛の責任者。
東郷夏美の従兄。
鍋島の身辺警護を担当し、東郷とともに現実世界でも活動する。
真面目で責任感が強く、長官の安全を第一に考えている。
鍋島が異世界と現実世界を行き来する際には、東郷とともに両世界を知る数少ない人物として、その行動を支える。
●フソウ海軍司令部●
●山本平八
フソウ海軍中将。
鍋島が長官となる以前から、マシガナ地区の海軍と軍港を実質的に取りまとめていた人物。
豊富な経験を持つ現場型の指揮官であり、鍋島不在時には海軍全体を任せられるほどの信頼を受けている。
ガサ沖海戦では、フソウ連合艦隊の指揮を担当。
敵が先にガサ地区への攻撃を開始するまで反撃を控え、フソウ連合側が防衛のために戦ったことを明確にした上で、王国艦隊を撃破した。
厳格な軍人に見えるが、部下の成長を喜び、南雲石雄や的場良治といった後進の育成にも力を注いでいる。
新見正人とは古くからの友人であり、酒の席では気兼ねなく言葉を交わす間柄。
ガサ沖海戦と海軍組織再編への功績によって、第三章の終盤で准将から中将へ昇進する。
●新見正人
フソウ海軍准将。参謀本部長。
海軍の作戦立案と組織運営を担う、鍋島の主要幕僚の一人。
ガサ沖海戦では作戦立案に関わり、山本平八とともにフソウ連合艦隊の勝利を支えた。
現場で艦隊を動かす山本に対し、新見は参謀として情報を整理し、戦力や人員を配置する役割を担う。
山本とは長い付き合いがあり、互いの能力と性格をよく理解している。
海軍の急速な拡大によって指揮官が不足する危険性を認識し、次代を担う人材の発掘と育成にも取り組む。
第三章の終盤で大佐から准将へ昇進する。
●鏡敏則
フソウ海軍少佐。後方支援本部の責任者。
艦隊を運用するための補給、輸送、修理、施設などを担当する。
海軍は戦闘艦だけでは動かず、燃料、弾薬、食料、部品、輸送手段、整備施設があって初めて戦い続けられる。
鏡は、そうした表からは見えにくい部分を支える人物である。
艦艇と基地が急速に増え続ける中、後方支援部門の重要性も増している。
●川見悟
フソウ海軍中佐。諜報部の責任者。
捕虜への調査、国内外の情報収集、各地区の政治的な動きの把握などを担当する。
ガサ沖海戦で捕虜となったアッシュや王国兵、シマト諸島奪回戦で捕らえた帝国兵から情報を集め、外の世界の情勢を明らかにしていく。
軍事情報だけでなく、フソウ連合内部の政治的な動きにも目を配っている。
感情より事実を優先して行動する情報担当者だが、鍋島からは強く信頼されている。
情報部門の重要性とこれまでの功績を評価され、第三章の終盤で少佐から中佐へ昇進する。
●杵島マリ
フソウ海軍少佐。広報部の責任者。
海軍の活動や外の世界の脅威を、フソウ連合の国民へ伝える役割を持つ。
当初は報告や説明を簡潔にまとめることが不得意だったが、鍋島の助言を受けながら広報担当者として成長していく。
ガサ沖海戦やシマト諸島奪回戦を題材にした映像を制作し、各地区で上映。
娯楽の少ないフソウ連合では多くの住民が上映会へ集まり、海軍の存在と活動が広く知られるようになった。
第三特別強襲大隊を率いる杵島大尉の妹。
シマト諸島奪回戦後の宴をきっかけとして、的場良治と交際を始める。
広報部門の重要性と今後への期待から、第三章の終盤で大尉から少佐へ昇進する。
●藤堂四郎
フソウ海軍少佐。ドック区画責任者。
艦船の設計、建造、修理、整備に関して、海軍でも屈指の知識と技術を持つ人物。
軍服よりも作業着が似合う、町工場の職人のような雰囲気を持つ。
鍋島を「大将」と呼び、階級や形式にこだわらず接する豪快な性格。
模型から実体化した艦艇について強い興味を持ち、鍋島が行う付喪神の実験にも技術者として関わっていく。
●艦隊指揮官・前線部隊●
●南雲石雄
フソウ海軍少佐。南方方面艦隊司令。
山本平八に育てられた若手指揮官の一人。
隙のない堅実な用兵を得意とし、現場指揮官として高く評価されている。
華やかな奇策を用いるというよりも、与えられた任務を確実に遂行するタイプ。
海軍の再編に伴って大尉から少佐へ昇進し、新設された南方方面艦隊の司令に任命される。
●的場良治
フソウ海軍少佐。北方方面艦隊司令。
山本平八に育てられた若手指揮官の一人。
普段は軍人らしく見えない飄々とした雰囲気を持つが、わずかな情報から敵の行動を予測する直感と観察力に優れている。
北方海域へ侵入した敵艦を取り逃がした後も調査を続け、シマト諸島に外国勢力の秘密基地が存在することを突き止めた。
シマト諸島奪回戦では、艦隊と上陸部隊を連携させ、少ない損害で敵拠点を制圧する作戦を成功させる。
その能力は鍋島や山本、新見から高く評価されており、将来的には参謀としても期待されている。
軽巡洋艦最上の付喪神とは、上官と部下という関係を越えた友人となる。
奪回戦後の宴では、杵島大尉の後押しを受け、杵島マリと交際を始めた。
第三章の終盤で大尉から少佐へ昇進し、北方方面艦隊司令に任命される。
●杵島大尉
フソウ海軍第三特別強襲大隊長。
杵島マリの兄。
陸戦隊の指揮官としてシマト諸島奪回戦へ参加し、敵施設への上陸と制圧を担当した。
戦場では非常に勇猛で、部下から「鬼神杵島」と呼ばれている。
豪快で面倒見がよく、部下たちから強く慕われる指揮官。
当初は的場の作戦に疑問を持っていたが、作戦の成功を通してその実力を認め、戦友として信頼するようになる。
勝利後の宴では、妹のマリと的場の関係を察し、二人が交際を始めるきっかけを作った。
●最上
フソウ海軍に所属する軽巡洋艦の付喪神。
第二水雷戦隊の中核として、的場良治とともに北方海域の調査とシマト諸島奪回戦へ参加する。
明るく親しみやすい性格で、的場との掛け合いでは人間味のある一面を見せる。
的場の能力と人柄を高く評価しており、彼を上官としてだけでなく、友人として慕っている。
海軍再編の際には、自ら鍋島長官のもとを訪れ、的場の部隊への配属を直訴した。
その願いは受け入れられ、北方方面艦隊の旗艦として、引き続き的場と行動をともにすることになる。
●ウェセックス王国●
●アーリッシュ・サウス・ゴバーク
ウェセックス王国第六王子。通称アッシュ。
王位継承争いの中で疎まれ、ガサ地区への遠征艦隊に名目上の総司令官として乗せられた。
実際には艦隊を指揮する権限を与えられておらず、遠征が失敗した場合に責任を負わせるための捨て駒だった。
王国軍人たちが、フソウ連合への侵略や略奪を当然のものとして語ることに嫌悪感を抱いている。
ガサ沖海戦で王国艦隊が敗北した後、海上で救助され、フソウ連合の捕虜となる。
捕虜となってからは鍋島と茶や菓子を囲んで会話を重ね、外の世界や王国の情報を提供する。
鍋島が敵味方を問わず人命を尊重する人物であることを知り、次第に友情と信頼を抱くようになる。
国外退去が決まった際、鍋島からフソウ連合に残る道を示されるが、それを辞退。
祖国へ戻り、ウェセックス王国とフソウ連合の友好関係を築く橋渡し役になることを決意する。
王家の捨て駒だった青年が、自分自身の役割と進むべき道を見つけていく人物である。
● 現実世界の人物●
●星野光二
鍋島貞道の従兄。
旧姓は鍋島で、星野つぐみとの結婚によって星野姓となった。
鍋島にとって兄のような存在であり、長年にわたって信頼を寄せている人物。
異世界側の仕事に追われ、現実世界の不動産管理を疎かにしていた鍋島のもとを訪れる。
鍋島が重大な秘密を抱えていることには気づいているが、無理に聞き出そうとはしない。
事情を明かせない鍋島を信じ、不動産管理を引き受けることを申し出た。
正式な契約を結び、鍋島に代わってアパートやマンションの管理を担当する。
鍋島が異世界側の仕事に集中できるようになったのは、光二の理解と協力によるところが大きい。
●星野つぐみ
星野模型店の店主。星野光二の妻。
鍋島が模型を購入する際に、たびたび世話になっている人物。
模型に関する知識を持ち、鍋島からの注文や相談にも柔軟に対応する。
鍋島が短期間に大量の艦船模型や航空機模型を購入することを不思議に思いながらも、店の大切な常連客として接している。
夫の光二を通して、鍋島の現実世界での生活にも関わっていく。
●星野美紀
星野つぐみの妹。
光二が引き受けた不動産管理を手伝う。
鍋島が異世界側の仕事へ集中するための環境を整える、現実世界側の協力者の一人。
●フソウ連合の各地区●
●各地区責任者
フソウ連合は、マシガナ地区だけでなく、複数の地区によって構成されている。
ガサ地区の角間、カオクフ地区の新田、シモゴカ地区の西郷敏明、イタオウ地区の橋本公男など、それぞれの地区に責任者が存在する。
外国艦隊への対応や、マシガナ地区の強大な軍事力をどう扱うかについて、それぞれ異なる立場や思惑を持っている。
ガサ沖海戦の勝利によってマシガナ地区の発言力は急速に高まり、鍋島が率いる海軍も、地区単独の軍事組織からフソウ連合全体を守る国家組織へ変わっていく。
●主な国家・勢力●
●フソウ連合
複数の地区によって構成される島国。
長い間、周囲に発生する嵐の結界によって外の世界から隔絶されていた。
外国との交流が少なかったため、外の強国に比べて産業、軍事、教育などの発展が遅れている。
一方、マシガナ地区には鍋島の模型から実体化した、外の世界を大きく上回る性能の艦隊と軍事施設が存在する。
ガサ沖海戦とシマト諸島奪回戦を経て、外敵に守られるだけの国から、自ら周辺海域を防衛する国へと変わり始めている。
●マシガナ地区・フソウ海軍
鍋島の巨大軍港ジオラマと同化した地区。
実体化した艦船、航空機、軍港、工場、教育施設などを持ち、フソウ連合の他地区よりも高い技術力と軍事力を有している。
当初の海軍はマシガナ地区の組織だったが、ガサ沖海戦後、フソウ連合全体を守る海軍として再編される。
第三章の終盤には北方方面艦隊と南方方面艦隊が発足し、周辺海域を継続的に警戒する体制が整えられた。
●ウェセックス王国
世界の強国の一つ。
強力な海軍を背景に植民地を広げており、フソウ連合にも服従を要求した。
要求を拒否されたことでガサ地区へ艦隊を派遣したが、フソウ連合艦隊に敗北する。
第六王子アッシュを遠征艦隊の名目上の総司令官とし、敗北時の責任を負わせようとしていた。
ガサ沖海戦後、アッシュと生存した王国兵たちはフソウ連合の捕虜となり、後に祖国へ送還される。
●シルーア帝国
ウェセックス王国と並ぶ、世界の強国の一つ。
フソウ連合北方のシマト諸島を秘密裏に占拠し、嵐の結界内へ侵入するための拠点として利用していた。
的場良治たちの調査によって拠点の存在を発見され、フソウ連合による奪回作戦を受ける。
シマト諸島の部隊は制圧されたが、帝国そのものは依然として大きな軍事力を持つ。
始動編終了時点では、ウェセックス王国以上に詳細の分からない、新たな脅威として存在している。




