第十回 ルル・イファン人民共和国の誕生編 (第二十三章~第二十四章)
●主な登場人物・勢力紹介●
※本ページには、『異世界艦隊日誌』第二十三章から第二十四章までの内容と結末に関するネタバレが含まれています。
※人物の所属や階級、立場は、原則として第二十四章終了時点を基準としています。
※本ページでは、この範囲で重要な役割を担った人物を中心に紹介しています。名前のあるすべての登場人物を網羅したものではありません。
●ルル・イファン人民共和国●
●アーチャ
本名、アヴドーチヤ・フョードロウィチ・ラスコーリニコフ
ルル・イファン人民共和国代表。
ポルメシアン商業連盟の植民地支配に抵抗し、ルル・イファンの独立を目指して活動してきた人物。
トバイ、レンカバッラ、パットラらと協力して九月革命を成功させ、植民地政府を追放する。
その後、ルル・イファン人民共和国の建国を宣言し、新国家の代表となった。
仲間との信頼関係を大切にする一方、代表となってからは、個人的な感情と国家の責任を切り分けて考えようとする。
革命以前は、支配者を追い出すことが最大の目標だった。
しかし独立後は、軍事、外交、交易、行政、国際承認という、国家を存続させるための問題へ向き合わなければならなくなる。
帰還したリプから、ソルシャーム社会主義共和国連邦のプリチャフルニアが託した秘密の手紙を受け取る。
その内容から連邦があてにならないと判った後は、使者をフソウ連合やアルンカス王国へ送り状況を変えようとする。
その際に雑草号による密使脱出作戦を行う。
そして、雑草号船長トールとは、トールの妹と結婚しているため、彼にとっては義弟に当たる。
ファンカリル港で再会した際には、過去の出来事に対する怒りをぶつけられるが、個人的な問題よりも国家と任務を優先し、協力関係を築き直す。
植民地支配に抵抗する革命家から、国民の生活と国家の存続に責任を負う指導者へ変化した人物である。
●トバイ
ルル・イファン人民共和国指導部の一員。
独立運動の時代からアーチャを支えてきた、側近的な人物である。
用心深く、相手の言葉や善意を簡単には信用しない。
ややぶっきらぼうな態度を取ることもあるが、アーチャとルル・イファンへの忠誠心は強い。
革命前後の情報収集、連絡、関係者との調整を担当し、建国後もアーチャの判断を実務面から支える。
ポルメシアン商業連盟に雇われていたパットラに対しては、当初、強い警戒心を抱いていた。
しかし、パットラが以前からレンカバッラと協力し、植民地政府を欺きながら革命を支援していたことを知る。
その後は、ルル・イファンの軍事顧問としてパットラを受け入れていく。
アーチャへ無条件で従うのではなく、疑問がある場合には率直に意見する。
秘密裏に活動する独立運動家から、国家運営を支える指導部の一員へ立場を変えた人物である。
●クローランス・レンカバッラ大佐
元ポルメシアン商業連盟軍大佐。
ルル・イファン出身であり、独立後は人民共和国軍の中心人物となる。
感情だけで行動せず、住民と兵士の犠牲を抑えることを優先する現実的な軍人。
連盟軍人として植民地政府を守る立場にありながら、故郷の住民を弾圧する道を選ばなかった。
九月革命では、表向きは反乱軍と戦っているように見せながら、実際には守備隊を戦闘から遠ざけ、港湾都市を革命側へ引き渡す準備を進める。
パットラとは革命以前から連絡を取り合い、植民地政府関係者の退避や、連盟守備隊の降伏を円滑に進めるための偽装工作を行った。
連盟軍を完全に破壊するのではなく、ルル・イファン出身の兵士たちを新国家の軍へ組み込むことも考えていた。
自分の階級や経歴よりも、故郷と住民の未来を選んだ人物である。
ポルメシアン商業連盟の植民地を守る軍人から、ルル・イファンの独立と防衛を担う軍人へ転じた。
●パットラ・ファンスーバル
傭兵団「飢えた狼達の巣」団長。
革命後は、ルル・イファン人民共和国の軍事顧問となる。
粗野で乱暴な傭兵に見えるが、情報収集、地形判断、心理戦、天候予測に優れた実戦経験豊富な指揮官。
契約を守ることを重視する一方、報酬を払ったからといって、傭兵の命まで自由にできるという考えには強く反発する。
ポルメシアン商業連盟が傭兵を消耗品として扱っていることを見抜き、革命以前からレンカバッラと密かに連絡を取り合っていた。
植民地政府を守っているように装いながら、関係者の退避、守備隊の降伏、革命側への情報提供を進める。
独立後はルル・イファンに残り、商業連盟第九艦隊の侵攻に備えた防衛計画を立案する。
偽の砲台や意図的に流した情報によって、敵の上陸地点をヒルカフントム海岸へ限定。
敵の艦砲射撃を受ける場所には必要以上の兵を配置せず、本当の戦力を見えない位置へ隠した。
さらに悪天候を予測し、海岸付近の住民と守備隊を事前に避難させる。
敵艦隊を正面から打ち破るのではなく、地形、天候、情報、ケンカシア司令官の慢心を利用し、自滅へ追い込んだ。
リー・カントンハ率いる「死にぞこないの虎」が降伏した際には、敵として処罰するのではなく、連盟に使い捨てられた傭兵として迎え入れる。
報酬と契約のために戦場を渡り歩く傭兵団長から、自ら選んだ国と住民を守る軍事責任者へ変化した人物である。
●ランスロット・カーブル
傭兵団「飢えた狼達の巣」副団長。
パットラを補佐し、団員の配置、命令の伝達、現場での調整を担う。
派手な言動は少ないが、パットラの判断を理解し、傭兵団を実際に動かすうえで欠かせない人物。
パットラがポルメシアン商業連盟を見限り、ルル・イファン革命へ協力する決断を下した際にも、その意図を理解して行動をともにする。
革命後も団員たちとルル・イファンへ残り、新国家の軍事力を支える。
単なる雇われ兵の副団長から、ルル・イファン防衛の一翼を担う存在となった。
●リッランパ・ペタンドラン大尉
ルル・イファン人民共和国海軍大尉。
建国直後の小規模な海軍部隊を率いる。
敵との戦力差を冷静に理解し、軍人としての名誉や正面決戦よりも、国家防衛という作戦目的を優先する指揮官。
商業連盟第九艦隊との戦いでは、敵の大型艦と正面から撃ち合うことを避ける。
代わりに輸送船、補給船、支援艦艇を狙い、上陸部隊への物資と火力支援を妨害する。
海軍が敵艦隊を直接撃破するのではなく、パットラが指揮する陸上防衛戦を有利にするために行動した。
十分な艦艇も人員もない海軍を率いながら、限られた戦力を最も効果的な場所へ使用した人物である。
●リプ
本名、リプニツキー・ロマノヴァ・リプニツカヤ
アーチャの古くからの同志。
ソルシャーム社会主義共和国連邦のプリチャフルニアから、その意思を外の世界へ伝える役目を託された密使。
危険な任務を引き受ける強い意志と、仲間を信じる心を持っている。
エヴゲニーヤ少尉とともにルル・イファンへ帰還し、プリチャフルニアから託された秘密の手紙をアーチャへ届ける。
手紙には、国民を犠牲にし続ける現在の連邦体制から離れ、フソウ連合やアルンカス王国などの外部勢力と接触しようとする意思が記されていた。
リプは手紙を届けるだけでなく、その内容を外の世界へ伝えるため、雑草号による封鎖突破作戦に参加する。
アーチャとは、再会を心から喜び合えるほど強い信頼で結ばれている。
独立運動の同志から、連邦内部の反対勢力と国際社会を結ぶ使者へ役割を変えた。
●エヴゲニーヤ・セミョーノヴィチ・リターデン少尉
リプの護衛として行動する軍人。
規律と忠誠心を持ち、危険な任務でも自らの役割を投げ出さない。
リプとともにルル・イファンへ入り、プリチャフルニアの秘密の手紙を届ける任務を支えた。
その後も雑草号へ乗り込み、ポルメシアン商業連盟の封鎖線を突破してアルンカス王国を目指す。
リプを守る護衛役であると同時に、プリチャフルニアの意思を外部へ伝える秘密任務を共有する同志でもある。
連邦側の軍人という枠を越え、現在の体制に対抗する行動へ加わった人物である。
●傭兵団「死にぞこないの虎」●
●リー・カントンハ
傭兵団「死にぞこないの虎」団長。
ポルメシアン商業連盟に雇われ、第九艦隊の上陸部隊へ参加する。
契約を守ることを重視する一方、団員を無意味に死なせることを望まない現実的な傭兵指揮官。
連盟側から損害の多い上陸部隊の先頭へ配置され、ルル・イファン側の待ち伏せによって大きな被害を受ける。
その後、第九艦隊から事実上切り捨てられ、約六百人の団員とともに孤立する。
勝ち目のない戦いを続けて全滅するのではなく、団員を生き残らせるために降伏を決断した。
パットラとは古い知人。
降伏後は敵として責められるのではなく、連盟に使い捨てられた傭兵として迎えられる。
商人タイドラ・マックスタリアンとのつながりも持っており、ルル・イファンと外部を結ぶ新たな協力者となる可能性を持つ。
●リッヒンダ・パントンパ
傭兵団「死にぞこないの虎」副団長。
リー・カントンハを補佐し、団員たちの生存を重視する。
上陸作戦では商業連盟側の命令に従いながらも、自分たちが消耗品として扱われている現実に直面する。
部隊が包囲され、第九艦隊からの支援も失われると、リーとともに状況を判断し、降伏を受け入れる。
降伏後はパットラとの会談にも同席し、自分たちが今後どの道を選ぶのかを考えることになる。
連盟に雇われた敵軍の副団長から、ルル・イファンとの協力を検討する立場へ変化した。
●ポルメシアン商業連盟
●ラストノナラ・ケンカシア
ポルメシアン商業連盟第九艦隊司令官。
大商会ケンカシア家の三男であり、家柄と地位に強い自信を持つ。
自分の能力を過大評価し、現地住民、傭兵、部下の意見を軽視する人物。
ルル・イファン人民共和国を短期間で再占領するため、多数の艦艇と上陸兵を率いて侵攻する。
新国家の軍事力を侮り、艦砲射撃と上陸作戦だけで簡単に革命政府を倒せると考えていた。
初日の攻撃が失敗し、天候が急激に悪化しても、撤退すれば自分と家名の評価が傷つくことを恐れて攻撃を継続する。
部下からの退避進言も拒否し、その結果、第九艦隊は暴風雨によって壊滅的な被害を受けた。
軍事目的よりも、自分の名誉と面子を優先し、物量で勝る艦隊を破滅させた指揮官である。
●ポラルファ大尉
ポルメシアン商業連盟第九艦隊所属。
ケンカシア司令官を補佐する副官。
司令官よりも戦況と天候を冷静に見ることができ、艦隊へ危険が迫っていることを理解していた。
初日の上陸作戦が失敗した後、作戦の見直しや艦隊の退避を進言する。
しかし、家柄と評価に固執するケンカシアの判断を覆すことはできなかった。
合理的な意見を持ちながらも、組織上の立場によって無能な上官を止められない軍人の限界を示す人物である。
●リキターベント少佐
ポルメシアン商業連盟軍少佐。
第九艦隊に同行する上陸部隊の指揮官。
上陸作戦の危険性を理解しており、天候や地形を無視した攻撃には慎重な姿勢を見せる。
悪天候のなかで攻撃を続ければ、部隊を無意味に失う結果になると判断する。
しかし、その意見はケンカシアによって退けられた。
現場の軍事的判断が、上層部の名誉や政治的都合によって無視される状況へ直面した人物である。
●リネット・パンドグラ少佐
ポルメシアン商業連盟海軍少佐。
装甲巡洋艦リチンパド・リンハナ艦長。
若く積極的で、敵を逃がすことを嫌う行動的な軍人。
一方で、自分が予測したとおりに相手も行動すると思い込みやすい。
ルル・イファンから脱出した雑草号を追跡し、リガンハット諸島で待ち伏せを行う。
追撃そのものは雑草号を追い詰めたが、煙幕、偽装進路、突然の反転機動によって判断を狂わされ、封鎖突破を許した。
行動力はあるものの、経験豊富な密輸船乗りの柔軟な発想に敗れた人物である。
●ポランド・リットーミン
ポルメシアン商業連盟の商人。
リットーミン商会を率いる。
世界情勢と市場の変化を予測し、危険が表面化する前に資金、人材、拠点を移動させる判断力を持つ。
食糧不足が長期化すると見込んで買い占めを行った他の商人とは異なり、イフタの成立によって食糧価格が下がる可能性を見抜いていた。
危険性の高い植民地支店を整理し、フソウ連合を中心に、アルンカス王国、ウェセックス王国、フラレシア共和国、アカンスト合衆国などへ人材と資金を移す。
その結果、他の商人ほど大きな損害を受けずに済んだ。
フソウ連合の商業上の仲介者としてショウメリア公国を訪れ、艦艇、工作機械、工業設備に関する交易交渉も行う。
利益を求める商人でありながら、植民地や取引相手を使い捨てる旧来の連盟商人とは異なる考え方を持つ。
一商会の代表から、国際交易と商業連盟の将来に影響を与える人物へ成長している。
●アントハトナ・ランセルバーグ
ポルメシアン商業連盟の有力な老商人。
連盟内部の事情と、旧来の商人たちが抱える限界を理解している。
食糧投機に失敗して大きな損失を出した商人たちと、早い段階で危険を見抜いたポランドの違いを冷静に見定める。
連盟を立て直すためには、従来の利益構造に固執しない新しい指導者が必要だと考える。
その候補として、若いポランドを意識し始める。
旧来の商業連盟を守るだけでは未来がないと理解し、改革の必要性を認め始めた人物である。
●雑草号・リミットハータ海運商会●
●トール・リミットハータ
高速貨物船「雑草号」船長。
かつては密輸を行っていたが、後にリミットハータ海運商会の代表となる。
口調や態度は荒く、過去のわだかまりを簡単には忘れない。
一方で、家族と船員を何よりも大切にする。
正規海軍とは異なる、密輸、逃走、封鎖突破によって身につけた大胆な操船技術と判断力を持つ。
アリシアからの依頼を受け、雑草号でポルメシアン商業連盟の海上封鎖を突破。
ルル・イファンへ入り、リプたちを国外へ運び出す任務を担当する。
ファンカリル港では、妹の夫であり義弟に当たるアーチャと再会する。
過去の出来事への怒りをぶつけるが、国家の危機とリプの任務を前に、協力する道を選んだ。
帰路では煙幕、島々の地形、進路の偽装、反転機動を利用し、リネット艦隊の追跡をかわす。
任務成功後、雑草号の所有権を与えられ、リミットハータ海運商会を設立する。
国家から追われる密輸業者から、自分の船、商会、仲間の帰る場所を持つ人物へ変化した。
●ミランダ
雑草号乗組員。
トールの妻であり、後にリミットハータ海運商会の運営を支える。
冷静で現実的な性格を持ち、トールが感情的になった場面でも、状況と将来を考えて判断する。
雑草号の封鎖突破任務に参加し、夫と船員たちを支えた。
任務成功後、フラレシア共和国から海運商会設立の支援を提案された際には、単純な好意として受け入れない。
共和国が将来、雑草号へ非公式な任務を依頼する可能性を見抜く。
そのうえで、危険すぎる依頼を拒否できる権利を条件に加えた。
密輸船の乗組員から、商会と船員たちの自由を守る運営側の人物へ立場を変えた。
●雑草号副長
航海と操船だけでなく、交渉、情報分析、相手の思惑を読むことに優れる。
トールを補佐し、雑草号の封鎖突破と脱出作戦を支える。
ナーバンが共和国から送り込まれた監視役であることにも、早い段階で気づいていた。
しかし直ちに排除しようとはせず、船員としての行動を見極める。
小型艇と煙幕を利用した陽動作戦では、ナーバンとともに危険な役割を引き受け、追撃艦を雑草号から引き離した。
密輸船の副長から、新たな海運商会の航海、情報、交渉を支える中核人物となった。
●ナーバン・アンバーナ
雑草号へ加わった新入り船員。
正体は、フラレシア共和国から送り込まれた監視役。
共和国の命令を受け、雑草号とトールたちの行動を報告する立場にあった。
しかし、雑草号の船員たちと危険な任務をともにするうちに、監視対象以上の感情を抱くようになる。
脱出作戦では、副長とともに小型艇へ乗り、追撃艦を引きつける危険な陽動を担当した。
トールと副長には正体を見抜かれていたが、共に命を懸けた仲間として船から追い出されることはなかった。
共和国も、ナーバンが雑草号の船員と監視員を兼ねることを認める。
命令で船へ潜り込んだ監視役から、雑草号を自分の居場所と考える船員へ変化した。
●パウエル・リルシンタ
マックスタリアン商会の商業網につながる商人。
各地の交易事情と人脈に通じている。
リプ、エヴゲニーヤらとともに雑草号へ乗り、ルル・イファンと外部の商業関係を結ぶ役割を担う。
建国直後のルル・イファンにとって、武器や兵力だけでなく、物資を輸入し、外国と接触するための商業人脈は重要な国家資源だった。
商人として築いてきた知識と関係を、新国家の存続を助けるために使用する人物である。
●タイドラ・マックスタリアン
広い地域に商業上の人脈を持つ共和国の商人。
この編での直接的な登場は限られているが、リー・カントンハ、パウエル・リルシンタ、アリシア・エマーソンらを結ぶ人脈の中心として名前が挙がる。
ルル・イファンがポルメシアン商業連盟の封鎖を越えて外国と交易するためには、正規の外交経路だけでなく、タイドラのような商人の協力が必要だった。
一商人として築いてきた人間関係が、新国家と国際社会をつなぐ外交的な経路として機能し始めている。
●フラレシア共和国●
●アリシア・エマーソン
フラレシア共和国の指導者。
理想や善意だけではなく、共和国の国益と将来への影響を考えて行動する現実的な政治家。
ルル・イファンとプリチャフルニアからの要請を受けても、正規軍を派遣して公然とポルメシアン商業連盟へ介入することは避ける。
代わりに、かつて密輸を行っていたトールたちへ雑草号を与え、リプとエヴゲニーヤを救出する秘密任務を依頼する。
任務成功後は雑草号の所有権をトールたちへ譲渡し、リミットハータ海運商会の設立を支援する。
ただし、その支援には、将来、共和国が正規軍では行えない任務を商会へ依頼するための関係作りという目的も含まれている。
また、ルル・イファンの独立を、共和国自身が抱える植民地政策を見直すための重要な事例として捉える。
新国家を観察する立場から、非公式な手段でその存続を支える側へ踏み出した人物である。
●ソルシャーム社会主義共和国連邦●
●イヴァン・ラッドント・クラーキン
ソルシャーム社会主義共和国連邦最高指導者。
自らの判断を絶対視し、国家目的のためなら国民を消耗することもためらわない強権的な支配者。
ショウメリア公国との戦争が思うように進まない原因を、作戦や体制ではなく、兵士の数と現場の努力不足に求める。
兵力不足を補うため国家総動員法を発動し、十分な訓練を受けていない国民を前線へ送り込む。
さらに、退却や逃亡を防ぐため、味方兵士を射殺する督戦部隊「特戦隊」を後方へ配置した。
プリチャフルニアから、国民を大量に失えば国家の未来そのものが失われると警告されても、意見を受け入れない。
国家と国民を守る指導者ではなく、体制と戦争を維持するために国民を消費する存在へ変質している。
●プリチャフルニア・ストランドフ・リターデン
ソルシャーム社会主義共和国連邦の高官。
イヴァンへ直接意見できる側近的存在。
連邦への忠誠心を持ちながらも、国家が国民を無意味に犠牲にする政策には反対する。
国家総動員法によって訓練不足の市民が前線へ送られ、特戦隊が味方兵士を射殺する体制に強い危機感を抱く。
イヴァンへ政策の修正を求めるが、その意見は退けられた。
現在の体制を内側から立て直すことは難しいと判断し、秘密の手紙をリプへ託す。
手紙を通じて、フソウ連合、アルンカス王国など、外部勢力との接触を求める。
連邦を支える高官から、体制との決別を考え、外の世界へ助けを求める人物へ変化した。
●ショウメリア公国●
●ノンナ・エザヴェータ・ショウメリア
ショウメリア公国を率いる指導者。
軍艦を購入するだけでは国家を長期的に守れないと理解し、工業力、補給、修理能力を重視する現実的な人物。
ポランドとの交易交渉では、駆逐艦などの兵器だけでなく、ビスマルク級戦艦を修理できる工作機械や、国内工業を発展させる設備を求める。
外国から完成品を買い続けるのではなく、自国で兵器を維持し、生産を支えられる国家を作ろうとしている。
連邦が国家総動員法によって国民を大量に前線へ送り込んだことを知ると、自国民を資源のように扱うイヴァンの政策へ強い嫌悪を示す。
公国を守る軍事指導者から、戦争の先まで見据えて産業基盤を整える国家指導者へ成長している。
●ビルスキーア・タラーソヴィチ・フョードル
ショウメリア公国の軍事責任者。
ノンナを軍事面から補佐する。
敵軍の数だけでなく、兵士の練度、補給、士気、国家体制まで含めて冷静に分析する軍人。
連邦が国家総動員法を発動し、訓練不足の国民を大量に前線へ送り始めたことをノンナへ報告する。
一時的に兵士の数を増やしても、それを訓練し、装備し、補給できなければ戦力にはならないと理解している。
連邦との戦争を通じ、敵の軍事力だけでなく、国家体制そのものが抱える弱点を見抜くようになった。
●シルーア帝国●
●アデリナ・エルク・フセヴォロドヴィチ
シルーア帝国皇帝。
以前は感情的になりやすく、皇族として周囲から守られることに慣れていた。
しかし、帝国の窮状と自らの責任から逃げずに向き合い始めている。
元宰相グリゴリーの死後、その執事ヤロスラーフから、帝国再建のために残された秘密の遺産について知らされる。
ランカーナ灯台の地下には秘密港が建設され、財宝、資源、グローサー・クルフュルスト、ケーニヒ、マルクグラーフなどの艦艇が隠されていた。
かつて帝国を陰から操ったグリゴリーの遺産を利用するかどうかは、皇帝となったアデリナ自身が決めなければならない。
周囲へ不満をぶつける皇女から、過去の遺産を帝国の未来へどう生かすかを判断する皇帝へ成長しつつある。
●グリゴリー・エフィモヴィチ・ラチスールプ公爵
元帝国宰相。
すでに故人。
生前は強い権力欲と計算高さを持ち、皇帝や帝国政治を陰から動かしていた。
一方、帝国の存続をまったく考えていなかったわけではなく、秘密港、財宝、資源、艦艇を密かに準備していた。
死後、その遺産の存在がヤロスラーフによってアデリナへ伝えられる。
帝国を支配した過去の権力者であると同時に、衰退する帝国へ再起の可能性を残した人物として、新たな側面が示された。
●ヤロスラーフ・ベントン・ランハンドーフ
グリゴリー公爵に仕えていた執事。
主人への忠誠心が極めて強く、その死後もグリゴリーの意思を守ろうとする。
グリゴリーの死をアデリナへ報告し、ランカーナ灯台地下の秘密港と、そこへ隠された戦力の存在を明かす。
アデリナを、主人が残した遺産を受け継ぎ、帝国を立て直すべき皇帝として認める。
主人に仕える執事から、グリゴリーの遺志と帝国の未来をアデリナへつなぐ継承者となった。
●海賊国家サネホーン●
●リンダ・エンターブラ
海賊国家サネホーンの交渉担当者。
普段は軽快で親しみやすい態度を見せるが、国家間交渉では相手の意図と条件を冷静に分析する。
フソウ連合との初めての正式交渉へ参加し、サネホーンが国際社会から国家として認められるための条件を提示される。
条件は簡単なものではなかったが、サネホーンが海賊集団から国家へ変わるためには避けて通れない内容でもあった。
交渉内容を持ち帰り、グラーフへ報告する。
海賊国家の一員から、サネホーンの将来を左右する外交使節として役割を明確にした。
●グラーフ
本名、グラーフ・ツェッペリン
海賊国家サネホーンの中心的指導者。
海賊行為によって生き延びる現在だけではなく、将来、サネホーンが正式な国家として存続することを考えている。
リンダからフソウ連合との交渉内容を聞き、提示された条件の厳しさだけではなく、国家として認められるために必要なものかどうかを判断する。
海賊勢力の指導者から、国際社会への参加を目指す国家指導者としての姿勢を見せ始めた。
●フソウ連合●
●青島大尉
フソウ海軍大尉。
駆逐艦島風を率い、サネホーンとの正式交渉へ参加する。
相手を海賊と決めつけて侮ることなく、国家として向き合う。
一方、過去の海賊行為を忘れ、無条件に信用することもしない。
ムバナル諸島でリンダたちと接触し、フソウ連合が国交開始のために求める条件を提示する。
交渉中も万一の事態に備え、島風と乗組員の警戒態勢を維持する。
軍事的な警戒と外交上の敬意を両立させ、艦艇指揮官からフソウ連合を代表する交渉担当者としての役割を担った。
●正体不明の組織●
●老師
教国の内部、またはその周辺で、宗教的・政治的な策謀を進める謎の老人。
正式な所属や地位は、この時点では要確認となる。
自ら軍隊を率いて表舞台へ出るのではなく、食糧不足、信仰、国家間の不信、社会不安を利用して影響力を拡大する。
世界的な食糧不足を布教と勢力拡大へ利用する計画を進めていたが、イフタの設立によって妨げられる。
さらに、フソウ連合とサネホーンが国交へ向けて動き始めたことも、自らの計画にとって不都合だと考える。
両国の関係改善を妨害するため、すでに何らかの仕掛けを行っていることを示唆する。
正体と最終目的はまだ明らかではないが、複数の国家と組織を陰から動かそうとする存在である。
●主な国家・組織●
●ルル・イファン人民共和国
ポルメシアン商業連盟の植民地だったルル・イファンで、九月革命を経て成立した独立国家。
代表はアーチャ。
長年の搾取と食糧不足に苦しんでいた住民、現地兵、独立運動家、傭兵たちが協力し、植民地政府を追放した。
独立後、商業連盟第九艦隊の侵攻を受けるが、パットラの防衛計画と暴風雨によってこれを退ける。
軍事的には独立を守ったものの、行政、交易、外交、国際承認など、国家として解決すべき問題は多く残されている。
プリチャフルニアの密使を外部へ送り出したことで、植民地独立だけでなく、連邦内部の変革にも関わり始めた。
●ポルメシアン商業連盟
商業活動と植民地経営によって繁栄してきた国家的商業勢力。
イフタ設立、食糧投機の失敗、ルル・イファン革命によって、従来の交易と植民地支配が揺らぎ始めている。
ルル・イファンの独立を認めず、見せしめとして第九艦隊を派遣した。
しかし、懲罰作戦は失敗し、軍事力によって植民地を支配し続ける体制の限界が表面化した。
旧来の利益構造へ固執する商人が多い一方、ポランドやアントハトナのように改革の必要性を認識する人物も現れている。
●ポルメシアン商業連盟第九艦隊
ルル・イファンを再占領するために派遣された懲罰艦隊。
多数の艦艇と約五千六百人の上陸部隊を持ち、戦力ではルル・イファン側を大きく上回っていた。
しかし、現地情報の不足、司令官の慢心、傭兵の使い捨て、悪天候への対応失敗によって壊滅的な被害を受ける。
物量だけでは、故郷を守る住民と経験豊富な指揮官を打ち破れないことを示した。
●傭兵団「飢えた狼達の巣」
パットラ・ファンスーバルが率いる、約五十年の歴史を持つ傭兵団。
契約を守ることで信用を築いてきた。
一方、ポルメシアン商業連盟から消耗品のように扱われたことに反発する。
ルル・イファン革命を密かに支援し、革命後は新国家の軍事力を支える存在となった。
報酬のために戦う集団から、自ら選んだ国を守る軍事組織へ変わり始めている。
●傭兵団「死にぞこないの虎」
リー・カントンハが率いる傭兵団。
ポルメシアン商業連盟に雇われ、上陸部隊の先頭へ配置された。
ルル・イファン側の待ち伏せで大きな被害を受け、第九艦隊からも見捨てられる。
団員を生き残らせるため降伏し、パットラとの関係を通じて、新国家へ協力する可能性を持つ集団となった。
●リミットハータ海運商会
雑草号の任務成功後、フラレシア共和国の支援によって設立される海運商会。
代表はトール・リミットハータ。
共和国から資金と施設の支援を受ける代わりに、必要な際には非公式任務への協力を求められる。
ただし、ミランダの交渉により、危険すぎる依頼を拒否する権利も確保している。
共和国へ完全に従属する組織ではなく、協力関係を持ちながら独立性を保つ商会として出発した。
●ソルシャーム社会主義共和国連邦
イヴァン・クラーキンを最高指導者とする巨大国家。
ショウメリア公国との戦争が長期化し、国家総動員法によって国民を大量に前線へ送り込んでいる。
特戦隊による督戦、無計画な徴兵、イヴァンへの権力集中によって、国家内部の不満と離反が拡大している。
プリチャフルニアの決断は、連邦の亀裂が政府中枢にまで及んでいることを示している。
●ショウメリア公国
ノンナを中心とする国家。
連邦との戦争を続けながら、フソウ連合から兵器、工作機械、工業技術を導入し、自国の産業基盤を強化しようとしている。
単に外国製兵器へ依存するのではなく、自国で艦艇を維持、修理できる能力を求めている。
軍事力だけでなく、工業力を持つ国家へ成長することを目指している。
●シルーア帝国
アデリナを皇帝とする新しい帝国。
元宰相グリゴリーが秘密裏に残した港、財宝、資源、艦艇の存在が明らかになる。
その遺産は帝国再建の可能性を与える一方、どのように使用するかはアデリナの判断に委ねられている。
●海賊国家サネホーン
海賊勢力を母体とする国家。
グラーフを中心に、海賊集団から正式な国家へ移行する道を模索している。
フソウ連合との交渉を開始し、国際社会から国家として認められるための条件に向き合い始めた。
一方、フソウ連合との接近を妨害しようとする勢力も存在する。




