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異世界艦隊日誌 人物・国家・艦艇資料集  作者: アシッド・レイン(酸性雨)


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第十一回 キナリア列島攻防編 (第二十五章~第二十七章)

●主な登場人物・勢力紹介●

※本ページには、『異世界艦隊日誌』第二十五章から第二十七章までの内容と結末に関するネタバレが含まれています。

※人物の所属や階級、立場は、原則として第二十七章終了時点を基準としています。

※本ページでは、この範囲で重要な役割を担った人物を中心に紹介しています。名前のあるすべての登場人物を網羅したものではありません。


●フソウ連合●

●鍋島貞道

フソウ海軍総司令長官。

フソウ連合の外交最高責任者。

強大な軍事力を持ちながら、それを単に敵を撃破するためではなく、外交上の抑止や国際制度の形成に利用しようとする人物。

ルル・イファン人民共和国から、イムサとイフタへの加盟を求められた際には、相手が説明する利点だけを聞いて判断しなかった。

ルル・イファンが海上封鎖によって追い詰められていることや、国際機構への加盟を国家承認の足掛かりにしようとしている本当の目的を明らかにさせる。

そのうえで、無条件に保護するのではなく、査察と調査を行い、国際機構の一員として責任を負える国家かどうかを確認する方針を示す。

ルル・イファンを仮加盟国として扱い、真田平八郎少将率いる外洋艦隊を派遣する。

これにより、砲撃を行うことなく、ポルメシアン商業連盟の封鎖を外交的に無力化した。

グリゴリーの霊体が協力を求めてきた際には、禁呪を使用したことへの問題を理解しながらも、帝国のイムサ加盟とジュンリョー港の一部提供が国際的な利益になると判断する。

三島晴海の反発を受けても、禁呪そのものを正当化したのではなく、国家指導者として必要な取引を行ったと説明する。

帝国側の要請を受け、ジュンリョー港沖の機雷を除去する「第三十二号機雷除去作戦」を認める。

フソウ連合だけを守る指導者から、国際機構を通じて他国の存続と世界秩序に責任を負う人物へ変化している。


●東郷夏美大尉

フソウ海軍大尉。

鍋島長官の秘書官。

鍋島の命令を処理するだけでなく、その意図を先読みし、必要な相手との面会や連絡を準備できる人物。

ルル・イファン問題、ポルメシアン商業連盟の政変、帝国使節の来訪など、相次ぐ重大案件の予定を調整する。

連盟で革命が発生した際には、ポランドとの会談や、各国大使への連絡を速やかに手配した。

鍋島にとって最も身近な補佐役であり、公務だけでなく、彼が抱える精神的な負担にも気を配っている。

指示を待つ秘書官から、国家運営を実務面で支え、鍋島の判断を具体的な行動へ変える存在へ成長している。


●新見正人中将

フソウ海軍中将。

参謀本部の中心人物として、作戦立案と国家防衛を担う。

戦場に存在する艦艇の数だけでなく、敵国の政治状況、兵站、通信、練度まで含めて判断する冷静な軍人。

鍋島長官が不在の中、ソルシャーム社会主義共和国連邦艦隊のキナリア列島侵攻へ対応する。

山本平八大将を艦隊総指揮官とし、敵を列島へ到達させる前に迎撃する方針を進める。

自分がすべてを指揮するのではなく、作戦を実行する人物へ適切な権限を与えることができる。

フソウ連合の参謀から、長官不在時にも国家防衛を主導できる軍事指導者となった。


●山本平八大将

フソウ海軍大将。

キナリア列島防衛艦隊の総指揮を執る。

敵艦隊の数に惑わされず、艦艇の性能、速力、通信能力、乗組員の練度、補給体制を含めて戦力を判断する。

連邦艦隊が性能の異なる艦艇を四つの集団に分けて進撃していることを利用し、それぞれを本隊から引き離して各個撃破する作戦を立案する。

水雷戦隊を囮として前方へ進出させ、追撃してきた敵部隊が孤立したところで反転。

戦艦部隊、航空隊、潜水艦、水上機による攻撃を組み合わせる。

敵艦を正面から力押しで沈めるだけでなく、補給艦隊を攻撃し、連邦艦隊を軍事組織として機能できない状態へ追い込んだ。

また、この戦いを若い指揮官へ実戦経験を積ませる機会として利用する。

天野、栗林、豊島らが敵を軽視した際には、新田や鬼龍院を通じて慢心を戒め、その後の成長を見守った。

作戦を成功させる指揮官であると同時に、次代のフソウ海軍を育てる教育者としての役割も担っている。


●真田平八郎少将

フソウ海軍少将。

外洋艦隊司令官。

穏やかな態度を見せながら、外交上の言葉と軍事力を組み合わせ、自国の方針を実現する強い意思を持つ。

ルル・イファンのイムサ・イフタ加盟審査に伴い、査察艦隊として同国へ派遣される。

ポルメシアン商業連盟の封鎖艦隊から停船と臨検を要求されるが、現在地はルル・イファン人民共和国の領海であると宣言する。

さらに、領海を侵犯しているのは連盟側だとして、封鎖艦隊へ退去を要求した。

連盟側が攻撃すれば、フソウ連合だけでなく、イムサとイフタの加盟国全体を敵に回す可能性がある。

真田はその政治的状況を利用し、砲撃することなく封鎖線を突破した。

艦隊戦を担当する海軍指揮官から、軍事力を背景に外交上の主張を実現する司令官へ成長している。


●新田流大尉

フソウ海軍大尉。

戦艦霧島、榛名などからなる第一戦隊を指揮する。

過去に経験した失敗から、予想外の事態と慢心の危険性を理解している。

若い水雷戦隊指揮官たちが、連邦艦隊を練度の低い寄せ集めと判断して軽視した際には、自信を持つことと敵を侮ることは違うと指摘する。

敵の艦艇や兵士も人を殺せる武器を持っている以上、油断すれば自分や部下が命を失う。

その当たり前の事実を、実戦経験の少ない若者たちへ理解させる。

キナリア列島攻防戦では第一戦隊を率い、敵部隊を包囲する主力の一つとして行動する。

自らの失敗を教訓に変え、後輩の慢心を戒められる指揮官へ成長した。


●鬼龍院正嗣大尉

フソウ海軍大尉。

航空母艦蒼龍、飛龍を中心とする第二航空戦隊を指揮する。

敵の能力を正当に評価し、勝てる相手であっても油断を許さない。

過去の戦闘を経験した者から話を聞き、その教訓を自分の作戦へ取り入れることを重視している。

キナリア列島攻防戦では、空母航空隊による偵察、迎撃、攻撃と、戦場全体の情報共有を担当する。

金丸一郎少尉率いる攻撃隊を連邦補給艦隊へ向かわせ、輸送船、給油艦、修理艦などを攻撃させる。

敵の戦闘艦を沈めるだけではなく、燃料、弾薬、食糧、修理能力を奪い、艦隊の戦闘継続を不可能にする。

航空隊指揮官として、攻撃だけでなく、偵察、情報、補給線遮断を含む航空作戦を統括する人物である。


●天野寿一中尉

フソウ海軍中尉。

水雷戦隊を率いる若手指揮官の一人。

高い能力と自信を持つ一方、実戦経験が少なく、当初は連邦艦隊を簡単に撃破できる相手と考えていた。

新田や鬼龍院から慢心を指摘されると、反発して意地を張るのではなく、自分の考えが軽率だったと認める。

キナリア列島攻防戦では、水雷戦隊を率いて囮となり、連邦艦隊の先頭部隊を本隊から引き離す。

その後、反転攻撃へ参加し、訓練だけでは得られない実戦の危険と責任を経験する。

自信のある若手から、敵の武器と部下の命を現実として考える実戦指揮官へ踏み出した。


●栗林隆三中尉

フソウ海軍中尉。

天野、豊島と同じく、水雷戦隊を率いる若い指揮官。

同期たちと競い合いながら能力を高めてきたが、連邦艦隊の練度不足を知り、敵を軽く見る発言をしていた。

上官から指摘を受けると、自分たちの慢心を認め、戦場へ臨む姿勢を改める。

実戦では囮として敵を誘導し、反転後の包囲攻撃に参加する。

訓練成績や自分の能力だけでは戦争に勝てないことを学び、部下の命を預かる指揮官として成長し始めた。


●豊島残一中尉

フソウ海軍中尉。

天野、栗林とともに、次代の海軍を担うと期待される水雷戦隊指揮官。

若さゆえの自信と勢いを持つが、敵を侮る危険性を指摘された際には、その言葉を受け入れる柔軟さがある。

キナリア列島攻防戦では、他の水雷戦隊と連携して連邦艦隊を分断し、敵の包囲と各個撃破へ参加する。

同期との競争だけを考える若手から、艦隊全体の作戦と部下の生死を背負う軍人へ変化し始めている。


●三島晴海

フソウ連合の魔術師。

マシガナ地区責任者代行。

魔術師としての倫理と規則を重視し、禁じられた術を国家の利益だけで簡単に認めることはできない。

ヤロスラーフが禁呪を用いてグリゴリーの霊体を現世へとどめていることを知り、強く反発する。

鍋島長官がグリゴリーとの交渉へ応じた際にも、魔術師として許されない行為を見逃すことになるのではないかと疑問を投げかける。

鍋島から、禁呪を正当化したのではなく、帝国のイムサ加盟とジュンリョー港の提供という国家的利益を優先した判断だと説明される。

完全に納得したわけではないが、フソウ連合を守るため、魔術的な妨害を探知する結界や警戒網の強化へ協力する。

魔術の規則を守る立場から、政治と魔術倫理が一致しない状況に向き合う人物となった。


●ソルシャーム社会主義共和国連邦●

●イヴァン・ラッドント・クラーキン

ソルシャーム社会主義共和国連邦最高指導者。

自らの権力と判断を絶対視し、長く側近たちの報告だけを信じて国家を動かしてきた。

フリストフォールシュカからフソウ連合への大規模攻撃を提案され、「ケルパニック」作戦を承認する。

しかし、キナリア列島で連邦艦隊が壊滅した後も、側近たちは敗北を隠し、連邦軍が善戦しているという虚偽の報告を続ける。

愛人ラサから、海軍主力の壊滅、プリチャフルニア派の蜂起、帝国と公国の侵攻という真実を知らされる。

当初は怒りと絶望に襲われるが、自暴自棄になって国家を捨てるのではなく、残された戦力で立て直そうと決意する。

軍人たちへ、過去の責任を一時的に追及しない代わりに、正確な情報と現実的な防衛計画を提出するよう命じる。

調査の結果、連邦の経済力、工業力、物流、兵力が、全盛期の三割程度まで低下していることを知る。

長い間、都合のよい報告だけを聞いていたイヴァンが、初めて国家の現実を直視し始めた瞬間だった。

しかし、改革によって自分の責任が追及されることを恐れたフリストフォールシュカに暗殺される。

国民を犠牲にする独裁者から、遅すぎたとはいえ国家再建へ向き合う人物へ変化したが、その機会を奪われた。


●ティムール・フェーリクソヴィチ・フリストフォールシュカ

連邦国家保安局長。

後にイヴァンを暗殺し、連邦最高指導者の地位を奪う。

権力欲と自己保身が強く、国家の存続よりも、自分の地位と失敗の隠蔽を優先する。

ルル・イファンがイムサ・イフタの仮加盟国となったことを利用し、政敵プリチャフルニアを失脚させる。

プリチャフルニアの部下や同志を粛清し、連邦内部の反対意見を抑え込む。

国内の不満を外へ向けるため、フソウ連合への攻撃を提案し、「ケルパニック」作戦を主導する。

作戦が失敗すると報告を握り潰し、真実を知る者を監視する。

イヴァンが正確な情報を求め、国家再建を始めたことで、自分の責任が明らかになると考える。

そこでイヴァンを暗殺し、その死を事故として処理する。

治安機関を率いる高官から、国家崩壊の責任を隠したまま最高権力を奪う独裁者となった。


●ロジオン・ヤーシャ・ミドルラス

元聖シルーア・フセヴォロドヴィチ帝国海軍少将。

連邦へ移った後、海軍大将・海軍司令長官へ任命される。

帝国時代に自分が正当に評価されなかったという不満を持ち、地位と名声を強く求めている。

フリストフォールシュカに登用され、百隻を超える艦隊でフソウ連合を攻撃する「ケルパニック」作戦を立案する。

艦艇数の多さだけを見て勝利を確信し、艦艇ごとの速力差、乗組員の練度不足、通信能力の弱さ、補給体制の問題を軽視した。

連邦艦隊を四つの集団に分けて進撃させた結果、フソウ連合に分断され、各個撃破される。

敗北が明らかになっても、撤退すれば自分の名誉が傷つくと考え、部下からの進言を拒否する。

長く評価されなかった軍人から連邦海軍の頂点へ上り詰めたが、その慢心によって海軍主力を失った人物である。


●プリチャフルニア・ストランドフ・リターデン

元連邦最高幹部。

かつてイヴァンとともに連邦を築き、その側近として国家を支えてきた。

体制への忠誠よりも、国家と国民を守ることを重視する現実的な人物。

国民を消耗させる総動員政策へ反対したことでイヴァンとの関係が悪化し、フリストフォールシュカの策によって失脚する。

その後、ヤロスラーフからグリゴリーの反攻計画を記した手紙を受け取る。

現在の連邦体制を守ることは、国民と国家をさらに破滅させるだけだと判断する。

かつての部下、友人、同志へ呼びかけ、連邦東部で蜂起する。

ジュンリョー港を制圧し、帝国艦隊をほとんど抵抗なく入港させた。

彼の行動は、外国への単純な寝返りではない。

連邦という国家を救うため、現在の支配体制を終わらせようとする決断だった。

連邦を内側から支える高官から、新しい秩序を作るために体制へ反旗を翻す指導者となった。


●リリカンベント中将

連邦陸軍中将。

ショウメリア公国方面の前線部隊を指揮する。

豪快な印象を持つ一方、現場の兵士を無意味に死なせることを望まない現実的な軍人。

補給が途絶え、中央からの支援も期待できない状況で、部隊を計画的に後退させる。

放棄した陣地へ罠を仕掛け、功績を焦って進撃してきた公国軍の一部へ大きな損害を与える。

しかし、その局地的な勝利を中央政府が利用し、さらなる無謀な戦闘を命じる可能性も理解していた。

イヴァンの死後、フリストフォールシュカから、敵の背後へ回り、死ぬまで戦えという命令を受ける。

それに従えば部隊が全滅するだけだと判断し、兵士を守るため帝国への降伏を決意する。

国家の命令へ従う前線指揮官から、部下の命を守るため中央政府へ背く責任者となった。


●パーヴロヴナ大尉

連邦陸軍大尉。

リリカンベント中将のもとで、前線司令部の幕僚を務める。

冷静で皮肉屋。

国家への幻想を持たず、現在の戦力と政治状況から現実的な選択肢を導き出す。

補給が途絶えた前線で、撤退経路の確保や、罠を利用した防御作戦を提案する。

連邦中央が立て直せない場合には、兵士を生き残らせるため、降伏も選択肢に入れるべきだと主張する。

一部の同僚からは悲観的、非愛国的だと反発されるが、リリカンベントからは判断力を評価される。

前線部隊が帝国へ降伏する際には、交渉担当者として選ばれる。

一幕僚から、部隊全体の生死を預かる交渉役となった人物である。


●ポルメシアン商業連盟●

●アントハトナ・ランセルバーグ

ポルメシアン商業連盟の有力老商人。

十二人会議の中心人物であり、「伝説の商人」と呼ばれるほどの経験と判断力を持つ。

ルル・イファン独立、食糧投機の失敗、植民地反乱によって、商人だけが権力を独占する現在の連盟体制に限界を感じていた。

連盟を立て直すため、大商人たちを政治の中心から排除し、新しい体制を作ろうとする。

しかし、病気と老いによる焦りから、時間をかけた改革ではなく、短期間で権力を奪う方法を選んでしまう。

ムンダストを通じて、トラッヒ・アンベンダード率いる赤シャツ団を支援する。

アントハトナは、大商人を排除した後、ポランドのような優れた人物へ国家運営を引き継がせるつもりだった。

だが、赤シャツ団は大商人だけでなく、反対者全体の逮捕と処刑を始める。

改革のための政変は、恐怖政治へ変質した。

連盟を救おうとした老商人でありながら、焦りと判断の誤りによって、流血の独裁へ道を開いた人物である。


●ムンダスト・リンクルベリー

アントハトナの代理人。

長く信頼されてきた人物であり、表面上は愛想よく忠実に振る舞う。

体調を崩したアントハトナに代わり、十二人会議へ出席する。

赤シャツ団が会議場を襲撃する時刻を知っており、その直前に会議室から退出した。

アントハトナと赤シャツ団をつなぐ役割を果たしていたとみられる。

しかし、どこまでアントハトナの意図に従い、どこから別の勢力のために動いていたのかは明確ではない。

老師側の組織との具体的な関係や、アントハトナへどの程度情報を隠していたのかは要確認となる。

忠実な代理人の姿を見せながら、政変の裏側で重要な役割を果たした人物である。


●トラッヒ・アンベンダード

武装組織「赤シャツ団」団長。

大げさで芝居がかった言動を見せる一方、反対者をためらいなく殺害する残酷さを持つ。

商人政治の打倒と国民の権利を掲げるが、実際には暴力による権力掌握を優先する。

武装した団員を率いて、十二人会議が開かれている商業組合本部へ乱入する。

大商人たちへ国家統治権の譲渡を要求し、反対した者をその場で射殺する。

同時に政府施設、商会本部、通信施設などを占拠し、反対派の逮捕と処刑を開始した。

政変後、赤シャツ団は「ポルメシアン親衛隊」と名を変え、国家の実権を握る。

権利運動を掲げる団体の指導者から、恐怖によって連盟を支配する独裁者となった。


●ポランド・リットーミン

リットーミン商会代表。

世界情勢の変化を先読みし、危険が表面化する前に人材、資金、拠点を移す能力を持つ。

ポルメシアン商業連盟の政治と経済が崩れ始めていることを察知し、商会の主要資産と人員をアルンカス王国へ移していた。

赤シャツ団による政変が発生すると、鍋島長官へ現地情報を伝える。

さらに、連盟の混乱が世界の物流へ与える影響について協議する。

アントハトナからは、将来の連盟を率い得る人物として期待されていた。

しかし、ポランド自身は連盟内部で改革を進めるより、すでに外部へ拠点を移し、国際交易を支える道を選び始めている。

連盟を立て直そうとする商人から、連盟の崩壊を見越して外部から世界経済を支える人物へ立場を変えた。


●リネット・パンドグラ少佐

ポルメシアン商業連盟海軍少佐。

以前は功績を急ぎ、感情のまま艦を動かす傾向があった。

雑草号追跡でも、相手の行動を決めつけたことで失敗している。

その後、後方勤務へ転属させられ、過去の失敗と友人の死を通じて、一人で突進するだけでは何も変えられないことを学ぶ。

赤シャツ団による政変を知っても、直ちに部下を率いて反抗することはしなかった。

まず情報収集を行い、後方勤務で築いた人脈を利用して、赤シャツ団へ不満を持つ軍人や関係者と秘密裏に接触する。

その慎重な行動によって、自分と同志を反対派狩りから守った。

無謀に敵を追う軍人から、仲間と組織を作り、行動すべき時機を待てる人物へ成長した。


●海賊国家サネホーン●

●フッテン

海賊国家サネホーン首脳部の一人。

超大型戦艦フッテンに宿る付喪神。

軍の規律と国家全体の利益を重視し、個人の感情やサネホーンの古い習慣だけで判断しない。

キュラックス少将が部下へドクトルト教の信仰を勧めているという苦情を受ける。

信仰そのものを否定するのではなく、上官という立場を利用した布教や、軍務中の勧誘をやめるよう命じた。

また、アカンスト合衆国から逃亡してきたハンバード艦隊への対応でも、亡命者を受け入れてきたサネホーンの伝統より、国家の将来を優先する。

他国の反政府艦隊を受け入れれば、合衆国やフソウ連合との関係が破綻すると判断する。

ハンバード艦隊をフンドント諸島へ誘導し、圧倒的な戦力で包囲、殲滅した。

海賊勢力の有力者から、国際社会で生き残るために、伝統や情を切り捨てられる国家指導者となっている。


●パンピラッドム・リッキント・キュラックス少将

サネホーン海軍少将。

「提督」の称号を持つ艦隊司令官。

艦隊指揮能力は高いが、ドクトルト教への信仰が強く、自分の布教が部下へ与える圧力を理解していない。

本人は善意から信仰を勧めているつもりだが、上官からの勧誘は、部下にとって命令に近いものとなっていた。

苦情を受けたフッテンから、軍務中の布教と部下への勧誘をやめるよう命じられる。

自分の信仰が不当に扱われたと感じ、司祭でもある副司令レンカーザへ不満を打ち明ける。

レンカーザから、フッテンたちは信仰を妨げる存在であり、排除すべきだと暗に吹き込まれる。

有能な提督でありながら、宗教的な不満によって、上官と国家への反感を強め始めた危険な人物である。


●ムルハンム・レンカーザ大佐

サネホーン海軍大佐。

キュラックス艦隊の副司令であり、ドクトルト教の司祭でもある。

穏やかで理解のある人物のように振る舞うが、相手の不満、信仰、被害者意識を利用して思考を誘導する。

フッテンから布教を注意されたキュラックスの懺悔を聞き、今回の処分を信仰への試練として説明する。

さらに、フッテンたちを人ではない存在、信仰を妨げる障害として認識させ、排除へ向かうようそそのかす。

キュラックスにとっては部下であると同時に、信仰へ導いてくれた恩人であり、精神的な師でもある。

サネホーン軍の副司令から、宗教的な対立を軍内部へ持ち込む工作者としての側面を見せ始めた。

老師や教国側勢力との直接的な関係は、この時点では要確認となる。


●アカンスト合衆国●

●アーサー・E・アンブレラ

アカンスト合衆国の外交官。

元フソウ連合駐在特使。

飄々とした態度と冗談を好む一方、国家の状況を冷静に観察する目を持つ。

フソウ連合から帰国し、発展と活気を増すフソウ連合に比べ、合衆国が政治的に停滞していることを実感する。

反フソウ連合派の政治家や軍人が政府転覆を計画する中、自身も暗殺者から命を狙われる。

秘密結社側の人物に保護されたことで、合衆国政治と秘密結社の関係へ、さらに深く関わることになる。

フォックス大統領や、親友ハートマン副大統領とともに、国内の反政府勢力へ向き合う。

フソウ連合との外交を担当する人物から、合衆国内部の改革と秘密結社の動きへ関わる人物へ立場を変えた。


●アルフォード・フォックス

アカンスト合衆国大統領。

普段は優柔不断に見えることもあるが、国家分裂の危機に際しては、自ら責任を引き受けて決断する。

フソウ連合との協力を妨害し、政府転覆へ動いていた政治家や軍関係者を、一斉に拘束するよう命じる。

国務長官エルドンフォントへ実力行使を任せ、反政府派の多くを拘束することに成功した。

第十三艦隊司令官ハンバード大将が逃亡すると、同艦隊を反政府武装勢力と認定し、各国へ受け入れないよう要請する。

内戦へ発展する危険を理解しながらも、国家を守るため反政府勢力の排除を決断した指導者である。


●テストラ・リッチン・ハンバード大将

元アカンスト合衆国海軍大将。

第十三艦隊司令官。

艦隊指揮能力と部下からの人望を持っていたが、自らの地位と影響力を失うことを受け入れられなかった。

反フソウ連合派の一斉拘束を逃れ、一部艦艇と政治家を連れて合衆国から離脱する。

敗者や亡命者を受け入れてきたサネホーンなら、自分たちを保護すると考えていた。

しかし、国家としての立場を得ようとするサネホーンにとって、合衆国の反政府艦隊は受け入れられない存在だった。

フンドント諸島へ誘導され、フッテン率いる艦隊によって包囲される。

投降や武装解除を受け入れることができず、艦隊とともに殲滅された。

合衆国海軍の有力司令官から、政府へ反旗を翻した逃亡者となり、自らの判断によって破滅した人物である。


●シルーア帝国●


●アデリナ・エルク・フセヴォロドヴィチ

シルーア帝国皇帝。

帝国を再建するためなら、過去の権力者が残した計画であっても、自らの判断で利用する現実性を持つ。

故グリゴリーが準備していた連邦反攻計画を受け継ぎ、ジュンリョー港沖の機雷除去を前提とした軍事行動を準備する。

ヤロスラーフとグリゴリーの霊体がフソウ連合との交渉を成功させると、帝国艦隊を連邦東部へ進出させる。

プリチャフルニア派がジュンリョー港を制圧したことで、帝国艦隊は大きな抵抗を受けずに入港する。

過去の遺産を受け取るだけの若い皇帝から、それを国家反攻へ利用し、自ら戦争を動かす指導者となった。


●グリゴリー・エフィモヴィチ・ラチスールプ公爵

元帝国宰相。

故人だが、禁呪によって、霊体として現世へとどまっている。

生前は権力と策謀によって帝国を動かし、数多くの問題を残した。

死後は自らの失敗を認めながらも、帝国を存続させるために準備した反攻計画を実行しようとする。

ヤロスラーフとともにフソウ連合を訪れ、鍋島長官へジュンリョー港沖の機雷除去を要請する。

その見返りとして、帝国のイムサ加盟と、ジュンリョー港の一部を国際機構へ提供することを提案した。

鍋島の国家運営を、自分が理想としていながら実現できなかったものに近いと評価する。

帝国を陰から操った権力者から、自分の失敗を踏まえ、死後も帝国の未来へ道を残そうとする存在へ変化した。


●ヤロスラーフ・ベントン・ランハンドーフ

グリゴリーの元執事。

主人の死後は、その遺志と計画を実行する帝国使節となる。

グリゴリーへの忠誠心が極めて強く、禁呪を使用して霊体を現世へとどめる危険まで引き受ける。

グリゴリーを伴ってフソウ連合を訪れ、ジュンリョー港の機雷除去について交渉する。

さらに、失脚したプリチャフルニアへ手紙を送り、連邦東部での蜂起と帝国への協力を求める。

帝国、フソウ連合、プリチャフルニア派を結び、連邦への反攻を実現させた。

主人に仕える執事から、帝国の外交、工作、軍事計画をつなぐ実行者となった。


●ショウメリア公国●

●ノンナ・エザヴェータ・ショウメリア

ショウメリア公国を率いる指導者。

感情よりも国家の存続を優先し、敵の弱点、国際情勢、情報戦を利用する現実的な人物。

連邦海軍主力がフソウ連合攻撃のため本国を離れた機会を利用し、連邦への攻勢を再開する。

偽情報によって連邦側の水雷艇や小型艦艇を軍港フルターキーナへ集める。

その潜伏場所を事前に把握したうえで遠距離砲撃を行い、フソウ連合から導入した駆逐艦も投入して連邦防衛部隊を撃破する。

帝国が連邦東部から動き始めたことも把握する。

共通の敵を倒した後には、アデリナの帝国と対立する可能性があることも意識している。

公国を守る指導者から、連邦領内へ反攻し、戦後の勢力関係まで考える国家指導者へ成長している。


●正体不明の組織●

●老師

教国、ポルメシアン商業連盟、アカンスト合衆国の秘密結社など、複数の国家と組織へ影響を及ぼす謎の老人。

自ら表舞台へ立つのではなく、人間の欲望、不安、信仰、老い、権力争いを利用して、組織を内側から支配する。

延命術によって、通常の人間より長く生きているとみられる。

合衆国では反フソウ連合派の工作が失敗したものの、教国では反対派を抑え、実権掌握が進んでいると判断する。

ポルメシアン商業連盟では、アントハトナの老いと改革への焦りを利用し、赤シャツ団による政変を引き起こす。

教国を通じて宗教を、商業連盟を通じて経済を押さえたと語り、次に必要なのは武力だと考える。

そのため、以前より強力な戦力を呼び出す召喚の儀式を進めている。

最終的な目標は、複数の国家、宗教、商業勢力、召喚戦力を利用し、フソウ連合を沈めることにある。

断片的な策謀を行う存在から、世界規模の計画を進める黒幕であることが明確になった。

正式な所属、神の試練の内容、召喚しようとしている戦力の正体は、この時点では要確認となる。


●ピエール・パシェッタ

老師の配下となった魔術師。

以前はフラレシア共和国の軍師アラン・スィーラ・エッセルブルドの手足として暗躍していた。

アランの死後、恐怖や不安から救われたという思いを抱き、老師へ強い恩義と忠誠を向ける。

しかし、老師が自分を一人の人間として大切にしているのではなく、計画のための駒として利用していることには気づいていない。

老師から、アカンスト合衆国の秘密結社を監視し、些細な動きも報告するよう命じられる。

共和国の軍師に仕える工作員から、老師が進める世界規模の計画へ組み込まれた駒となった人物である。


●主な国家・組織●


●フソウ海軍キナリア列島防衛艦隊

山本平八大将が総指揮を執る防衛艦隊。

戦艦部隊、四個水雷戦隊、第二航空戦隊、潜水艦、水上機部隊によって構成される。

連邦艦隊を一度に相手にするのではなく、速力差を利用して分断する。

水雷戦隊による誘導、主力艦による包囲、航空隊による補給艦攻撃を組み合わせ、連邦艦隊を各個撃破した。

同時に、若手指揮官へ実戦経験を積ませる教育の場としても機能した。


●ソルシャーム社会主義共和国連邦

イヴァンを最高指導者とする巨大国家。

形式上は広大な国土と多数の兵力を持つが、総動員、粛清、物流崩壊、虚偽報告によって、国力は全盛期の三割程度まで低下していた。

キナリア列島で海軍主力を失い、東部ではプリチャフルニア派が蜂起。

西部ではショウメリア公国軍が侵攻する。

イヴァン暗殺後、軍と地方の統制を失い、事実上の崩壊過程へ入った。


●連邦海軍「ケルパニック」作戦艦隊

百隻を超える艦艇で、フソウ連合のキナリア列島基地を攻撃するために編成された艦隊。

旧式戦艦、巡洋艦、武装商船、補給船など、性能の異なる艦艇を集めている。

速力、通信、乗組員の練度、補給に大きな問題を抱えていた。

ミドルラスの慢心と撤退拒否によって、フソウ連合に分断され、各個撃破された。

数の上では大艦隊だったが、一つの軍事組織として連携して戦う能力を欠いていた。


●ポルメシアン商業連盟

十二人会議を中心とする、大商人支配の国家。

ルル・イファン独立、植民地反乱、交易構造の変化によって、政治的・経済的危機に陥っていた。

赤シャツ団の政変によって従来の大商人政治は崩壊する。

しかし、新体制は国民の権利を拡大するものではなく、流血と粛清を基盤とする独裁へ向かっている。


●赤シャツ団

のちのポルメシアン親衛隊

トラッヒ・アンベンダードが率いる武装組織。

権利の拡大と商人政治の打倒を掲げる。

しかし実際には、殺害と恐怖によって国家権力を掌握した。

政変後は反対者の摘発と処刑を進め、ポルメシアン親衛隊へ改名する。

アントハトナの改革構想を利用して政権を奪ったが、その背後には老師側の工作も存在するとみられる。


●ルル・イファン人民共和国

ポルメシアン商業連盟から独立した新国家。

連盟の海上封鎖によって国家存続の危機に陥り、イムサとイフタへの加盟を申請する。

仮加盟国として認められ、フソウ連合外洋艦隊が入港したことで、事実上の国際的承認と封鎖への抑止力を得た。

軍事的に独立を守る段階から、国際社会の一員として責任を負う段階へ進み始めている。


●海賊国家サネホーン

海賊勢力を母体とする国家。

フソウ連合との国交樹立と国際機構への参加を目指している。

合衆国反政府艦隊を殲滅し、他国の反乱勢力を保護しない姿勢を示した。

一方、軍内部ではドクトルト教の布教と宗教的対立が進んでいる。

国際社会へ参加しようとする動きと、内部から国家を分裂させようとする動きが同時に進んでいる。


●国際海路警備機構・国際食糧及び技術支援機構

国際海路警備機構はイムサ、国際食糧及び技術支援機構はイフタと呼ばれる。

フソウ連合、アルンカス王国、ウェセックス王国、フラレシア共和国などが参加する国際組織。

ルル・イファンを仮加盟国とし、査察艦隊を派遣することで、同国へ外交上の保護を与えた。

一国の植民地問題を、複数国が関与する国際問題へ変える役割を果たす。

軍事力だけではなく、国際的な承認と制度によって、新国家を保護する仕組みとなっている。


●シルーア帝国

アデリナを皇帝とする、旧帝国の後継国家。

グリゴリーが残した秘密戦力と反攻計画を利用し、連邦東部への進撃を開始する。

フソウ連合によるジュンリョー港沖の機雷除去と、プリチャフルニア派の蜂起によって、ほとんど抵抗を受けずに港を確保した。

連邦から身を守るだけの国家から、旧領回復へ動く国家へ変わり始めている。


●ショウメリア公国

ノンナと旧帝国海軍を中心とする国家。

連邦海軍主力が失われた機会を利用し、西部から連邦領内へ攻勢をかける。

フソウ連合製兵器、偽情報、遠距離砲撃を組み合わせ、連邦軍の拠点と海上戦力を撃破する。

連邦崩壊後には、帝国との勢力争いが起こる可能性も持つ。


●老師の組織

正式名称と全容は不明。

教国、ポルメシアン商業連盟、アカンスト合衆国の秘密結社、宗教組織などへ工作員を送り込む。

人間の信仰、欲望、不満、老い、権力争いを利用し、国家と組織を内部から支配しようとしている。

教国で宗教を、商業連盟で経済を掌握し、次に召喚による武力を得ようとしている。

最終的な標的はフソウ連合である。


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