1%の世界
「……、ごめんね。ママ」
こんな親不孝な娘もいないだろう。仕事もしないでゲームに耽り、挙句の果てに……。
ああ、せめてフリーターにでもなっていたら。そうしたら、二人で旅行に行くとか、そんな親孝行が出来たかも知れないのに。
後悔ばかりが頭の中をぐるぐると廻る。とんだ走馬灯だ。
「……子っ! 保子っ!」
混濁した意識に、よく聞き覚えのある声が響いた。あれ? ていうか何で意識が――?
思いっきり上体を起こした。少し眩暈がして、また倒れそうになったが、その瞬間身体を抱きとめられた。耳元ではすすり泣く声が聞こえる。
「……、保子っ! 保子っ!」
ママだった。辺りを見回すと、自分がまっ白な布団の上で寝ていたことが分かった。どうやら病院に運ばれていたらしい。
「あれ? 私死んだんじゃ?」
「馬鹿っ!」
ぼやいた瞬間、間髪入れずに怒られた。
説教を食らったのなんていつ振りだろう。顔を真っ赤にして声を荒らげるママを、随分と久し振りに眺めることになった。
で、ママ曰く。思いつめた表情で家から飛び出した私が一向に帰ってくる様子がなく、あまりに心配になり警察に捜査を依頼したのだそうだ。警察も例の失踪事件のことがあったのですぐに動いてくれたらしく、海岸で倒れている私を病院に運んでくれたのだと。
身体の異常はなかったのですぐに退院となった。心配そうなママに連れられて帰宅する。
一通りの状況は飲み込めたのだが、どうしても腑に落ちないことがあった。
結局、私が手に入れたものって?
何かが変わった様子はない。まぁ、所詮はゲームでの話だったってことなのだろうか?
答えは出ないまま自宅の布団に入る。あんなに眠っていたのに割とすぐに寝つけた。
翌朝、嬉しいことがあった。なんとパソコンに就活の書類選考通過の通知が届いていたのだ。歓喜のあまり日課のゲームも開かずに、ママへ報告に行く。
でも食卓でママにまた怒られた。「そんなことで一喜一憂しないの。これからでしょ?」とのこと。まぁ、その通りである。
テレビからはニュースが流れていた。
「次のニュースです。ついに宇宙旅行が現実のものとなりそうです。先日……」
この前と打って変って明るい話題である。
もし仕事に就けたら、ママを宇宙旅行に招待。そんな親孝行もありなのかもしれない。
まぁ、あくまで仮定のお話なのだけれども。
ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。
今回が投稿三作目になります。
なかなか思うように書けず、日々苦戦しております。
さて、保子のお話はこれで完結なのですがーー。




