契約
間が空き過ぎました。申し訳ございません。
13話目、お楽しみ下さい。
襲ってきたワイバーンを捕らえて動きを封じて、さてどうしようか?と考えていたらふと思いついた事を言ってみた。
『お前、自分と契約しないか?』
『…契約だと?』
『ああ、そうだ』
「待て乙夜、魔獣と契約だと?いくらお前でもそんなことできるのか?」
今まで黙っていたジミルが後ろから喋ってきた。
「ええ、相手の意見さえあれば出来そうですよ」
自分にはスキル『魔法創造』と『世界の理』の2つがある。この2つがあれば同意の上で精神や肉体に干渉する魔法も創れるだろう。
「でもよ、お前さっきから魔法連発してるじゃねぇか。まだ魔力余ってんのかよ?」
「ム……」
そうだった。そういえばさっきから魔法を連続で使用している。MP残量があるか心配だ。
「そうですね…ちょっと休憩してからステータスを見てみましょうか」
「そうしたほうがいいな」
まあMP使用量は5だから10分休めばいいのだが。
『…俺はその間どうすれば良いんだ?』
おっとこいつもいたんだった。
『すまんが少しの間そのままでいてくれ』
今はする事がないから待ってもらうしかない。
流石にずっと重力かけっぱなしはかわいそうなので止めておく。
「『解除』」
ギルド長から渡された紙を読んでいたらワイバーンが話しかけてきた。
『なあ、お前の言っている契約は相手の同意がなければならないのだろう?』
『その通りだが?』
そう、自分がこれからしようとしている契約は無理矢理相手を従えるような契約ではなく同意の上に基き普段は気ままに過ごしてもらい呼んだ時に召喚するような契約である。
『じゃあまずは俺の意見を聞けよ』
………そうでした。
『すんません、マジすんません』
相手の同意がないとダメな契約なのに相手の意見を聞かないで勝手に話を進めていってホントにすいませんでした。
『ホントだぜ、全く勝手に話進めやがってよ…』
すんません、許して下さい。
もうしません、自分が悪かったです。
そうだよ、全部自分が悪いんだ。
相手抜かして勝手に話進めるとか迷惑極まりない。
『おーい、聞いてるか?』
許して下さい。もうしませんーーー。
「戻って来い!」
ゴンッッ!
「ったあ!?」
何だ、何がおきた!?
ワイバーンの鎖が解けたか結界が解けたか!?
「さっきから見てればいきなり暗くなりやがって、見てみろ!ワイバーンまで目が不思議そうじゃねぇか!」
なんだジミルさんじゃないですか。
「あれ、なんの話してましたっけ?」
「ワイバーンと何か話してたんじゃないのか?」
おお!そうだった。
『で、ワイバーンよ、契約する気はないか?』
『ない!』
またバッサリと切り捨てたな!
『なんで契約などしなければならないのだ!』
『空の移動手段の為だ!』
『はあ!?』
ワイバーンは言ってみりゃ小型の龍だぞ!?龍に乗って空を飛ぶとか夢だったやつもいるだろ?
『目的は解ったが契約して俺になんかメリットはあるのか?』
『ある!』
『へえ、言ってみろよ』
『自分と最初に契約した魔獣というステータスだ!』
『いや意味わかんねえし…』
『ならばこのステータスを見ろ!』
そう言って自分はギルドカードを見せつける。
フッフッフッ…
見て驚け!畏れよ!そして跪け!
「『開示』!」
ギルド長より渡された紙に書いてあったがギルドカードは所有者に渡されたと同時にステータスを測り記録、『開示』の鍵でステータスが空中に投影される。MPが消費されないので使い勝手がよい。しかも表示する情報は選ぶことが出来るらしい。これも自分にとってはありがたい。ちなみに文字が何で読めたかというと、この世界の言葉は日本語でだからである。
『Lv低いなぁ、魔力はまあ高いか。使用属性は火・水・風・土・光・闇…え?』
どうだ驚いたか?
『ちょっと待て、スキルが異世界の知識?世界の理、魔法創造?え?どゆこと?』
戸惑ってる戸惑ってる。
『説明が欲しいか?』
『あ、お願いします』
おおう、言葉が丁寧になってるよ。
『説明と言っても簡単だ。自分は異世界からやってきて全属性を操れる次元の魔導師であり魔法を創る事ができる。それだけだ』
本当に簡潔に乙夜が説明をすませた数瞬後ワイバーンが土下座した。
『これまでの数々のご無礼申し訳ございません。次元の魔導師様におきましてはご立腹の事と思います。私はどんな罰でも受ける所存でございますが、どうかご容赦を持って罰を決めて頂けませんでしょうか?』
おおう、いきなりめっちゃへりくだっとるよ。
ていうかジミルもだったけど何でそんなに下に出るの?
「まだわかってないのかよ…」
だって元の世界ではただの平民だったからね。そんなに畏れられる意味がわからないんだわ。
「だから言っただろ、全ての属性を今までに扱えたのは創世神と勇者だけだって」
歴史の中で2人しかいなくてそれが神と勇者なんだから畏れるのも当たり前だ、とジミルは言っている。
『とりあえず顔を上げてくれないかな?』
『失礼します』
『まあ罰とかは与えるつもり無いから安心して頂戴』
『ありがとうございます』
『もう一度聞くけどさ、契約しない?』
自分が史上3人目の次元の魔導師だとわかったんだ。おそらく断る事はないだろう。
『私のような1ワイバーンに勿体なきお言葉、私でよければ喜んで契約させていただきます』
よし、交渉成立!
「じゃあさっそく契約しますか」
「どんな契約魔法にするのかきめたのか?」
「ええ、契約方法は刻印にしようかと思っているんです」
「刻印っていうと何らかの紋章や図形を刻みつけるやつだよな」
「ええ、インクは魔力を使って刻みつける台は肉体を使って刻印しようかと」
「それでどうやって召喚するんだ?」
「それは自分の魔力がある場所と自分の場所を時空魔法で繋げて呼び出すんですよ。召喚というよりも転移と言ったほうが正しいかもしれませんね」
「刻むのは何にするんだ?」
「そうですね、簡単なほうが楽ですから…αにしましょうか」
「そうか」
じゃあ始めましょうかと言って刻印を始める。
「汝の肉体は我が身体、汝の魔力は我が魔力、汝の生命は我が生命、汝と我の同意によりこの契約はなされる。我は汝が主となる者なり。我はここに命ずる!汝、我と契約せよ!『契約』!
呪文詠唱が始まるとワイバーンに向けた手から魔力が抜けていき翼に文字が書かれてゆく。そして詠唱が終わると翼にはαの文字が書かれていた。
「これで契約完了」
契約は無事に終了した。後はワイバーンに常はどうしてもらうかだが、これについてはワイバーンの方から提案があった。
『契約主、出来れば常はお側に居させてほしいのですがダメでしょうか?』
『何故だ?』
『いくら契約主といえど人間です。お休みになられている時までお手を煩わすこともないでしょう。その間だけでも御守りしたいのです』
なるほどね。確かに冒険者ともなれば野宿もあるだろう寝る時まで防御魔法を掛けながらというのは直ぐに寝ることも出来ないから困る。そういう点では良い番犬…もとい番竜となるだろう。
『お前の言いたいことは理解できた、が今は無理だぞ?』
『何故ですか!?』
自分がワイバーンにそう言うと悲壮な声?で訴えてきた。
『だって小さくなるとか人型になるとか出来るならいいけどできないだろ?それに今はこの人の家に世話になっているから自分の独断じゃ決めれないしな。まず村にワイバーンが向かってきたらパニックになると思うんだよ』
そう、あの小さな村に5m級のワイバーンが向かってきたりしたらきっとパニックになるはずだ。そう考えていたらジミルが口を出してきた。
「何を喋っていたのかは分からないが大方この後のことでも考えてたんじゃないか?そいつを村に連れて来るなら特に問題はないはずだが」
「何を言ってるんですか?ワイバーンが来たりしたら普通ビックリしますよね?」
「ワイバーンじゃなけりゃ良いじゃないか」
「?」
「だーかーらー、お前が魔法かけて人型にしちまえばいい話じゃないか」
「あ…」
そうか自分にはそれが出来るじゃないか、なんで気付かなかったんだろうか。
「そうですね、なんで気付かなかったんでしょう?」
「だろう?」
それに気付けば即行動、人型に変える魔法を構築してゆく。でも待てよ…。
「ジミルさん」
「なんだ?」
「もともとは奥さんと2人で暮らしてましたよね、そこに自分が入ってきて食事も頂いていましたが自分はそれに対して代価を払ってませんよね?そこにもう一人入ってくるとしたら流石にダメだと思うんですけど…」
「そうだな…」
ホントは食事を頂いているのだから代価を払うのが通常だがそれを自分は払ってない、居候のような存在だ。そこにもう一人居候が増えるとなれば食費もバカにならない。
「俺は肉をガッツリ食べてみたい。俺のような家では肉は週に1回シチューで食べるようなものだからな。肉の塊にかぶりついてみたい」
「じゃあ決まりですね。自分達は食事を頂く代わりに肉を提供すると、途中で魔物や魔獣を見かけたら出来るだけ無傷で仕留めて持ってくるんで村のギルドで換金してもらいましょう」
「決定だな」
これからする事はワイバーンの人化、肉の調達だな。
まずはワイバーンの人化からだ。
「対象を対象が願う姿に変えたまえ『変化』」
魔法をかけたらワイバーンの身体が光の塊のようになり、その塊が徐々に小さくなって形を変えてゆく。そして光が弾け飛んだら、そこには人型になったワイバーンがいた。
確かに魔法は成功した。それはいいんだ、喜ばしい事じゃないか。でもね…
(なんで女の子なんだよ…!?)
そう、なんとワイバーンは女の子だったのです。
「なあ乙夜…どうやら俺は幻覚を見てるらしい。回復魔法をかけてくれないか?」
「ジミルさん、大丈夫ですよ。自分にも見えてますから」
なんだこれは?これじゃあテンプレ道驀進中じゃないか。
「契約主どうもありがとうございます」
「いや、礼には及ばない。自分の為にやった事だからな」
「それでもです。これからは契約主の為に粉骨砕身頑張っていきますので、これからよろしくお願いします」
(これからどうすっかなぁ…)
真事実に頭を悩ませてこれからのことを考える乙夜であった。
読んで下さりありがとうございます。




