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完璧な生徒会長は、平凡な俺の「声」がないと眠れないようです。  作者: Takayu
第5章:雪解けの季節と、甘すぎる冬の誓い
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第128話:キッチンカウンターの熱と、外せない指輪

「……湊、くん……っ」


彼女の甘い声が、静かな部屋に溶けていく。

俺は彼女の細い腰を撫で上げ、そのまま薄手のニットの裾からそっと手を入れた。


「ひゃっ……!」


直接触れた彼女の肌は、驚くほど滑らかで、そして熱かった。

奏羽の身体がビクンと大きく跳ね、彼女は俺の肩に顔を押し付けて、声を抑えるように小さく喘いだ。


「……湊くん、手……少し冷たい……」

「ごめん。……嫌か?」

「ううん……ちがう。……もっと、触って……?」


彼女の懇願するような声に、俺の脳内は完全に沸騰した。

俺は彼女の肌をゆっくりと撫でながら、再び深く唇を重ねる。

奏羽の腕が俺の首に絡みつき、彼女の左手にあるペアリングが、俺の首筋に冷たく触れた。


その冷たい感触が、一瞬だけ俺の脳裏に「翠」や「凪瀬夫人」の存在をよぎらせる。


(……いや、ダメだろ。さすがにここでこれ以上は)


俺は少しだけ理性を総動員し、彼女の唇からそっと離れた。


「……奏羽、ちょっと待て」

「えっ……?」

「……翠がいつ帰ってくるかわからないし、ここはキッチンだ。……続きは、夜に俺の部屋で……な?」


俺が息を切らしながら提案すると、奏羽は不満そうに唇を尖らせたが、すぐに「……うんっ」と顔を真っ赤にして頷いた。


「……じゃあ、夜まで我慢する。……でも、その代わり」


奏羽は、俺の首元から手を離し、今度は俺の胸元……Tシャツの襟元を掴んで、クイッと自分の方へ引き寄せた。


「……キスマーク、つけていい?」


「はっ!?」

俺は思わず変な声を出した。


「だ、だめだろ! 明日、春休みの登校日だぞ!? 生徒会の仕事で零さんに会うのに、もし見つかったら殺される!」

「見えないところにつけるもん。……それに、湊くんがわたしのものだって、ちゃんと証拠残しておきたいの」


奏羽の瞳は、普段の「完璧な生徒会長」からは想像もつかないほど、独占欲に満ちた小悪魔の光を宿していた。


「……っ」

俺が反論する間もなく、奏羽は俺の鎖骨の少し下、Tシャツで隠れるギリギリの場所に唇を押し当てた。

そして、小さく、けれど確かに、肌を吸い上げるような感触が走る。


「……んっ……」


俺は思わず小さく呻き声を漏らし、彼女の肩を強く握りしめた。

数秒後、奏羽は満足そうに唇を離し、赤くなった俺の肌を見て「えへへ」と悪戯っぽく笑った。


「……これで、湊くんは完全にわたしのものだね」

「お前、本当に……」


俺が呆れてため息をつこうとした、その時だった。


ガチャリ、と玄関のドアが開く音がした。


「ただいまー! いやー、友達と話し込んじゃったわ!」


翠の声が廊下に響き渡る。

俺と奏羽はバネで弾かれたように身体を離し、俺は慌てて火をつけ直し、奏羽は不自然なほど勢いよく野菜を洗い始めた。


「……お兄ちゃん、奏羽さん、お疲れー。……って、なんか二人とも顔赤くない? それに、お兄ちゃん、なんか首元赤くない?」


リビングに現れた翠が、ジト目で俺たちを交互に睨みつける。

俺は必死にTシャツの襟を直し、冷や汗を拭いながら答えた。


「い、いや! ちょっと火のそばにいて暑かっただけだ!」

「……ふーん。まぁいいけど。お腹すいたから早くご飯にしてね」


翠は怪訝そうな顔をしながらも、それ以上は追求せずに自室へと戻っていった。


「……危なかった……」

俺が安堵の息を吐くと、隣で野菜を洗っていた奏羽が、クスッと小さく笑った。


「……湊くん、夜の約束、忘れないでね?」

「……あぁ、わかってるよ」


妹の帰還でギリギリ踏みとどまったキッチンでの攻防。

だが、俺の胸元には、彼女の独占欲の証が確かに刻まれていた。

今夜の「続き」がどんな甘い時間になるのか。俺は夕飯を作りながら、高鳴る心臓を抑えきれずにいた。

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