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俺、悪役騎士団長に転生する。  作者: 酒本アズサ


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265/277

265.

 朝食の席で聞かされたのは、明日に峻耀(ジュンヤオ)が街歩きをするという事だった。

 どうやら着替えている時に雪瑤(シュエヤオ)に伝え、それが烈陽(リエヤン)に報告されたらしい。



「東宮が言うには、ジュスタン達の国の王太子がそうやっていると聞いたって……。警備方法とか詳しく聞いていいか?」



 さすがに一度聞いただけの説明を他の人間にするのは難しかったか。

 まだ十歳だしな。

 俺は烈陽(リエヤン)にエルネストが外出する時の第一と第二の警備体制について説明した。

 団長会議で聞いていたから、かなり詳しく説明できたと思う。



「なぁ、団長。て事はさ、今日は現場の下見するんだよな? オレ達はこの町に来るの初めてだし、行っておかないとマズくねぇ?」



 もっともらしい事を言っているシモンだが、その笑顔から街歩きしたいというのが透けて見える。

 だがまぁ、確かにせっかく他国に来ているというのに、ずっと峻耀(ジュンヤオ)の護衛をしているせいで、観光も何もしていないからな。



「そうだな。烈陽(リエヤン)、明日東宮が出る時に同行する者は決まっているのか? あとは行動範囲だな」



「それが……、東宮はジュスタンとシモン、それとジェスなら一緒に行動していいと言っているんだ。シモンの言葉遣いもその崩れたままでかまわないと」



「ボクも!?」



 食事をしていないが、俺の隣に座っていたジェスが目を輝かせた。



「なるほど、少しでも友人と一緒の気分を味わいたいのだろう。城でも一緒の護衛だと、どうしても行動を制限されると身構えてしまうだろうし。ならば服装も護衛服でなく、平民の格好で行った方がいいか?」



「う~ん、護衛の半数を市井に紛れ込ませるために服を調達してくるだろうから、そのついでに二人の分も頼んでおこう。どうせなら東宮とジェスも商家の子息のような服装の方がいいのか?」



「そうだな。その方が喜ぶと思うぞ」



 朝食後は、この町の道を覚えていない者を中心に、街中の下見へと向かう。

 峻耀(ジュンヤオ)が興味を持ちそうな店や、飲食店に話をつけて護衛を客に紛れ込ませる許可も取った。

 もちろん東宮という事は伏せて、貴族の子息()とだけ伝えてある。



 下見にはジェスは置いてきた。

 今は峻耀(ジュンヤオ)と一緒にいて、遊び相手兼、峻耀(ジュンヤオ)には秘密で護衛という役目を与えたらやる気に満ちた顔をしていたので問題ないだろう。

 それに、ジェスも明日が初めてなら、峻耀(ジュンヤオ)と一緒に初めてを楽しめるはずだ。



 共感してくれる相手がいると、楽しい事はもっと楽しく感じるからな。

 たまに喧嘩してるバカを発見したが、数日ここに近付くなと警告してやったから問題ないだろう。

 ギリギリ聞こえるような声量で最近人を斬ってないと呟いたら、全員泣きそうな顔をしていたし。



「いや~、団長、今の最高に暗黒街の重鎮っぽいぜ! 今頃この町の貧民街(スラム)のヤツらに噂が流れたりして」



 シモンがニヤニヤと笑いながら見てきた。



「馬鹿者、こんな揃いの格好をして帯剣していたら、明らかにいいところの護衛にしか見えないだろう」



「いやいや、きっとアイツら服装なんて見てねぇって! 恐怖に震えてたしな! 今夜は悪夢決定じゃねぇ?」



「お前も悪夢を見たいのなら、いつでも見させてやるぞ? 眠らなくても可能だから遠慮するな」



 そう言って俺は笑顔で愛剣の柄に手を置いた。

 いざという時に使うなら、やはり慣れた剣の方がいいという事で、俺とシモンは自分の剣を帯剣している。

 ちなみに藍之介は普段は嗜む程度で、武器はもっぱら弓を使っている。



 だが、魔法鞄に刀が入っているのを見た。

 正確には荷物の整理をしている時に(こしら)えが見えたのだ。

 趣味で刀を鍛える者はいるが、普段使いする者がいないため、仕事として刀鍛冶をするエルフはいないらしい。

 


 正直とてもほしかったが、刀と剣は扱い方が違うから変なクセがつくと困ると思って諦めた。

 だが、それこそ引退してからならありだと思う。

 将来の楽しみがひとつ増えたと思うべきか。



「悪夢はまにあってま~す……。あっ、あの店、護衛の待機所にいいんじゃねぇ!? ちょっと交渉してくる!」



 そう言ってシモンは逃げた。

 確かにシモンが向かった店は、木の窓が通りに面して広く取ってあるから、見張るのも潜むのも楽そうだ。

 しばらくしてシモンが笑顔で戻って来た。



「許可もらったぜ~! 最初は渋ってたんだけどさ、団長が言ってた通りにオレ達のせいで売り上げが落ちたら、その分は補償するって言ったら手のひら返しだったぜ」



「あわよくば余分にいただく気満々なんだろうな。その辺は普段の売り上げを確認してしっかり計算するだろうから、同行の文官に任せればいい」



「あの地図持ってる文官に言えばいいんだよな? 報告してくるぜ」



 目ぼしい店には護衛が交渉して、それを同行している文官が地図に書き込み、当日の人員を計算している。

 もしかしたら、余計な事を言ったと思われているかもしれないが、今後の峻耀(ジュンヤオ)の逃走を回避できるとなったらきっと感謝してくれるだろう。



 そして翌日、偶然か必然か、ある人物と出会う。

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