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パワー・オブ・ザ・ワールド  作者: アカ ハル
異世界転生〜新たなる人生編
7/8

ルミゲル

俺は目をこじ開ける。


そこには前に見た檻があった。


《ご主人!!大丈夫ですか!?》


ナビのそんな不安そうな声に俺は軽く返す。


『急に気を失ったから驚いたぞ。大丈夫か?』


「あぁ。大丈夫だ。心配かけて悪いな二人とも....いや。3人か。」


そう言い俺の足元で飛び跳ねているグリの頭を俺は撫でる。


「さて、」


俺は軽く息を吐くと先ほど歯が立たなかった檻に近付く。


《ご主人!!もうダメです!!これ以上行えばもう...............え?》


そんなナビの言葉が途中で驚愕へと変わった。まぁ 分からんでもない。檻の中の男も口をあんぐりと開けている。まぁ 仕方がないよね。


檻が全部木っ端微塵に粉砕されたんだから........


『.........お主。何をした?』


檻から出て男はそう指をさして俺に聞く。


「いやぁ。 まぁ スキル覚えたから......それのせいかな?』


何故か疑問文になったそれを言った俺を二人と一匹はは目を見開いたまま離さなかった。



『ふむ。《発生している力をある程度まで増加させ操ることができる》......か。【自由乃力乃王(パワーオブザキング】。なかなか良いオルグスキルなのではないか?』


男はそう言いながら薄い水色の板に書かれている俺のスキルの詳細を見て顎に手を当てて呟く。


「あぁ。おかげでいつでもすごい力が出せるんだ。なんでこんな細い腕からこんな力が出てくるのかが不思議だよ。」


俺はそう言い鏡に映った俺自身が可愛らしい少女だったことを思い出す。


『スキルの恐ろしいところはそこじゃ。誰でも使える。だから悪用されたりもする。』


そう言い男は檻から出たにもかかわらず寂しそうな顔をする。


それはきっと俺が関わることのないことなのだろう。そして触れてもならない。


俺はそのことを理解し、話題を切り替える。


「それにしても、お前はなんで檻の中にいたんだ?お前みたいな凶暴そうなやつが檻に捕まっているのは分かるがいくらなんでもこの檻はやりすぎじゃないか?」


そう。この檻の強さが不可解だった。


マナを吸い取りさらに硬くなる。そんな代物を使うだけの価値がこいつに存在するのか?


俺はあの殺気を受けてなお怪しかった。


強かったのならば何故このような檻に捕まっているのか。


檻は男に問い詰める。


『...........質問を質問で返すのは悪いと思っとるが.......』


数秒の沈黙の後、男はそう切り、俺を見据える。


『.........お主は儂をどうするつもりじゃ?』


「......どうする....って?」


『儂を解放させたくらいじゃ。何かこき使うなりなんなりするのであろう? 』


俺はその言葉に困惑する。


『お主は知らんだろうがの、この世界は弱肉強食。強い者が上に立ち下の者が蹴り払われる。お主の前の世界がどうだろうがこの理りは避けられぬ。して、儂をどうするつもりじゃ?』


「一緒にそれ壊そうぜ。」


『ふん、そんなことだろ..............今なんて?』


即答で答えた俺の返事に男はすっとんきょうな声を出して聞き返す。


「だから、その理りだかなんだか知らねぇが、それを壊そうって言ってんだよ。」


その言葉に男は動揺する。どうやら俺のような考えの者がこの世界にいなかったのだろう。まぁ。弱肉強食のような世界でもそんなバカなやついないんだろうな。


『.........理りを壊す?.........そいつは............可能.......なのか?』


男がそう言い俺に暗い眼差しを向ける。


正直この世界について俺はまだ知らないことが多い。だからはっきりとは言えない。だが、


「そのためにお前には同行してもらいたい。というか来てくれよ。俺は争いのない世界が好きなんだ。そのためにはお前みたいな人出が必要だ。」


俺はできるだけ本当と嘘の間。可能性を元にそう言う。


その言葉に男は希望を持ったのかその顔を天にあげる。そしてその天井に男は手を突き出す。


『スター・ザ・ドミテイト!!』


突然男はその手から破壊の光線のような光を放ち、その天に近い部屋からさらに天に突き抜けるレーザーを放った。


その光線は雲たちを突き抜けるとすぐさま俺たちの視界から消えた。


そしてフッと息をこぼす。


『お主は儂が誰だろうと連れて行くのか?』


「あぁ。関係ないね。ただ平和を望む奴だけだけどな。」


それを聞き男はボソリと呟く。


『......あやつに似とるのぉ。』


俺はそれの意味が分からなかったが、男はそれを無かったことにしたいかのように顔を上げると口を開く。


『質問を返してなかったの.......』


そう言い男の体に変化が起きる。


ボサボサだった茶色の髪は男の背中の方に流れ、ツンツンとした髪が綺麗に並ぶ。


真っ青だった肌の色は徐々に色を取り戻し、人と同様の肌色と染色される。


伸びた爪はそのままだったが、その瞳には光が宿り、黒い部分は紅く輝いた。


『儂の名は、三代魔王が一柱。ルミ・ロット・ゲリオル。超越技能(オルグスキル)換結乃黒乃王(オルグザスターネイト)】を持つ重力の魔王じゃ。』







激しい衝撃波と共に無音のまま崩れ落ちる透明だった城を俺と魔王は眺めていた。


「いいのか?ルミゲル。あれはお前の城だったんじゃねぇのか?」


俺は木の枝からその近くの枝につかまっている魔王にそう声をかける。


「良い。昔儂が力に溺れた恥のような者じゃ。今は重要でもなんでもない。」


そう言い全てが崩れ落ちるのを待たずに魔王は下に降りて歩き出す。


それに続き俺も後を追う。


「にしてもなんじゃルミゲルとは。」


「いいじゃねぇか。お前の名前長ぇんだよ。」


「!!っ貴様っ!!よくも儂の名前を!!」


ルミゲルがそう言い怒りを貯める、が、


「それに以外とかっこいいじゃんルミゲルって。」


俺の言葉にルミゲルは驚いたように力を落とす。


「!?.......そうかの?」


俺のお世辞が効いたのか聞き返してくるルミゲルさん。


「うん。いいと思うよ!!.......イイトオモウ。」


「ふ、ふふ、ふふふふ。そうか!!かっこいいか!!ならそう呼ぶがいい!!カッカッカッカッ!!」


俺の相槌が上手かったのか納得して大笑いするルミゲルさん。


「.........ちょろいな。」


「ん?なんか言ったか?」


「っ!!いや!?別に!?」


俺はこれからルミゲルの近くでは余計な声は漏らさないようにしようと思った。


そしてそれとともに、困ったらお世辞をすると、はしゃぐ魔王についても心に深く刻み込んだ。


そして俺たち、ナビを含めて3人と子鹿一匹は深い大森林を進む。


この四人の出会いとこの歩みが、この世界の理り以上の存在さえもひっくり返す物語に続くのだと



この世界の誰もが想像しなかった。


やがてこの世界が






無くなることにも。













「シャーーー。」


そんな水が何かに当たる音がその部屋に響く。


そのシャワーに熱はなく、人間であれば(こご)えるほどの冷気を放つ(こお)凍らない水だった。


そんな水に対してシャワーを浴びるその雪のように白い肌を持つ者は足にまで届くロングの白髪をいっとき受けた後、それを後ろに回し、背中に垂れ下げる。


そのままシャワーを止めて床につきかける髪を左右に揺らしながらその者はその部屋から出る。


タオルで体を拭き、畳まれずにぐしゃぐしゃにしていた自分の服をその少女は着始める。


ヘソが見えるように短くなっている布のシャツの上からフードのついた黒い漆黒のジャケットをボタンを止めずに羽織る。


赤黒の水玉模様にベルトをしたスカートの下にはほとんど布の無い靴下。そしてボロボロの指先が出る薄いグローブを片手につける。


真っ黒の男用のブーツを履いた少女はその小さな身長でそこにあった大きなドアを開ける。


歩くたびに嫌な音のするレンガの廊下を渡り、立ち止まったその大きなドアに少女は手をかける。


「おおっと。噂をすれば来たか。」


逆光で一瞬眉をひそめた少女にそんな声と共に九つの影がかかる。


「今日も同じ服か。せっかく服やったのによ〜。」


「別にいいでしょ服なんて♪」


「よくねぇよ!!こいつがどんだけ弱い身体なのか知ってんのかてめぇ!?」


「おいおいおーい。いくらなんでもこの人にお前がてめぇはないでしょ?」


「うるせぇわ!!お前なんかこの中じゃ遅い方から一番目じゃねぇか!!」


「なっ!!なんでそんなこと知って!!」


「またこいつとか呼んだ〜♪♪」


「そんなことより.........あいつ起きちゃ..........」


「「おめぇは黙ってろ!!」」


そんな多種多様な声の中、その少女は十個並んだ席についている紅い髪の者の隣に座る。


「は〜い。皆さん静かに〜 今からしっかりとしたこと始めるんだから〜。」


そう言い骨をカーンカーンと鳴らすその眼鏡をつけた秀才らしき者は残りの7人を席に着かせる。


「さて。と、じゃあ出席を取ろうか。」


そう言い男は机に置いておいた紙を束ねたそれを手に取り中身を確認する。


「うん。皆いるね。いつも通り第2位と第1位の二人はそれぞれやってるね〜。」


そう言い、男は、目に光の色もない先ほどの白髪の少女の無表情な顔とその隣で口を開いて爆睡している紅い色の鎖で厳重に繋がれたそいつに顔を向ける。


そのままその紙を束ねたものに全員の名前を書いて男はそれを机に置く。


「この、力が蹂躙する素晴らしき世界のために...............みんなコップは持った?」


それを合図に1位と2位以外のものは机に瞬時に置かれたコップに手を通し上に掲げる。


「それじゃあ始めよう。十大魔王による、第39回 魔王達乃為乃宴(ワルプルギス)を。」




そして新たなその最果ての地で、世界を束ねる魔王達による残酷の宴が今宵も始まった。

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