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パワー・オブ・ザ・ワールド  作者: アカ ハル
異世界転生〜新たなる人生編
3/8

状況整理

ガサリ。


そう音を立てて俺の足は落ち葉に触れる。


少しカサついた感触があるが、特に困るような物でもない。


俺はそのままの歩くスピードを変えないまま、森林の中を分けながら進んでいた。


無言でこのように動いている俺の体。まるでロボットがある目標地点に進めためにただ歩いているようにも見えなくもない。


原因は俺の体を【案内(ガードナー)】に任せたからだろう。


実はあの後、【案内(ガードナー)】と整理するつもりだったのだが、その時偶然に、そこにモンスターが現れた。


針で全身を覆っていることからスパイクジャッキーと言われるその小型車並みのハリネズミは俺に突進し、避けた先にあった木に突っ込んだのだ。


そのモンスターを先ほど同様に無力化しようと【案内(ガードナー)】にそう言うと.......



《了解)しかし、針にご主人様(マスター)の手足を触れることになり怪我をします.....それでも宜しいですか?》


いや。良くねぇよ!!ってかあんなぶっとい針に足とか載せたら足貫通するだろ!!!



ということがあり、全速力で逃げた後 体を【案内(ガードナー)】にまかせて今俺は思考しているのである。


......体を動かさずに考えごとしてると目的地に着いてるって良いな。


そんな、前の自動運転自動車に乗っていなかった俺は少し感動する。


俺が聞いた質問は、下のようになった。まぁこの【案内(ガードナー)】はとても優秀なスキルのようで、俺の聞きたいことを全て回答してくれた。


1 俺は誰なのか?何故この姿なのか。

2ここはどこか。

3スキルとは何か。

4モンスターとは何か。


まず一つ目に 「俺は誰か、何故この姿なのか。」だが【案内(ガードナー)】さん曰く。



《回答)ご主人様(マスター)は一度死にました。そして転生者としてこの世界に誕生しました。》


だそうだ。


「お、おぉう。俺が死んだってことを結構グサリと言うね。」


《?)問題でも?》


あっ、いえ。無いです。ってか転生って何?


《回答)転生とはある一つの種類の生物が死んで誕生してまた死ぬ。という無限の繰り返しから抜け出た物。それを転生と呼び、その者達を転生者と呼びます。》


んん? なんか分かりづらいな.......まぁつまりはそういうことだ。 繰り返しってのは輪廻(りんね)とか言う物かな?


《肯定)人間の世界ではそう呼ばれます。》


ふむ。成る程なぁ。


《回答)ご主人様(マスター)は転生しました。しかし転生という物はもともと、人間や動物や植物が死にそれとはまた別の動物になること。例えば、人間が死に、虫に生まれ変わる。更に前世の記憶を持っている。ということがよくある転生という者でしたが、今のご主人様(マスター)は違う世界に来てしかも生まれ変わり、記憶もお持ちです。これは類を見ないものなのです。》


え?そう。じゃあ俺がこの世界に来る初めての日本人とか?


《否定)この世界にも日本人などのご主人様(マスター)同様の世界から来た者も存在します。ですが、そのほとんどが召喚(コール)という特別な方法で、強制的にこの世界へ連れてこられた者ばかりです。》


ふぅん。じゃあ俺が初めてじゃないのか。ってかさっきは流したけど。俺って転生したんだよね?


《肯定》


じゃあなんで俺って人間の姿なの?転生って違う生き物になるんじゃ?


《回答)ご主人様(マスター)の 言葉は正しいです。》


じゃあなんで?


《回答)ご主人様(マスター)のその体は正体不明なのです。》


え?


《回答)人間ではないことは理解しましたが、どうやらこの体はこの世界のどの生き物にも当てはまらない。正体不明の生物なのです。》


え?でも。体のつくりとかは同じじゃん。


《否定)この体に生殖器官は存在せず、人間にこれほどまでに近い存在は今のところ発見されておりません。》


ふぅん。ってちょっと待て!!


《?》


今、生殖器官がないって言ったか?


《肯定》


じゃあ。何か。俺の下半身のあれものはないのか?


《肯定)さらに女性の生殖器官もないのでいわゆる無性の生物ですね。》


マジか。こんなに可愛い姿なのに.......じゃあもうあいつが頑張る必要性は消えたんだなぁ。


そんな寂しい下ネタを言っている中、俺の体は進んでいる。早めに整理して【案内(ガードナー)】の負担(あるか分からないけど)を減らそうと俺は思った。


次にここはどこか。というものだが。


《回答)ここはご主人様(マスター)のいた世界とは違う世界。つまり異世界でありご主人様(マスター)の世界との常識や建築物。そして技術などが退化していたり、大きく違ったりすることが多いです。》


それに俺は納得する。でなければこんな大きな宝石やモンスターとかがそこら辺にいる理由が説明できない。


「それは分かった。けどこの世界から元の世界へは帰れるのか?」


《回答)常識から考えるには。不可能です。》


そうか。不可能ね........


そんなとても重く。心にくるダメージの大きい三文字の漢字が俺にのしかかる。


真実や現実。それはどの世界でも人々に地獄を見せる。


俺の夢だった物。じいちゃんの希望だった物。そしてじいちゃん自身を。


現実は真実と共に絶望を押し付け。この俺の全ての関係性を断ち切ってしまった。


そして今回も。


俺は重くなっていたフードに手を伸ばし宝石を自分の前に突き出す。


朱色から青紫へと変色する宝石。


つまりこの宝石はもう屑河(あいつ)には見せらんねぇのか。


そんな疲弊感が俺を渦巻く。そしてある思考へと発展する。


そう考えるとアホらしくなった。と。


俺の体は【案内(ガードナー)】に任せているが、好きな時に手足を動かしたり止まったりは可能だ。だから急にフードに手を伸ばせたし、この宝石をどこかへと放り投げることもできる。


なのに.......「不可能」...........そう分かればこの宝石は捨てればいいのに。


俺に世話を焼く5つ下の妹。頼もしかった2つ上の兄貴。そんな俺らを一人で育ててくれたじいちゃん。そしていつも俺に食ってかかるストーカーの後輩。


それを思い出すと。どうも捨てられない。なんで俺が他人を思っているんだろう。と


勝手に皆が世話してた。食ってかかった。頼りになろうとした。友達という仲間になろうとした。


そんな奴らなのに、なんで俺は。


そう思いつつ、俺は更にフードに手を伸ばし、宝石を持っていた手でもうひとつ宝石を取り出す。


黄色から緑へ。そして橙色(だいだいいろ)と変色する宝石。


朱色は妹。青紫は兄貴。黄色はじいちゃん。緑は屑河。


特に理由はないが、あいつらのイメージがまるでその宝石に反映されるかのように。幾たびも。その宝石らは変色する。


それら見て俺は少しばかり押し黙るのであった。





《回答)次の質問ですが》


そんな【案内(ガードナー)】の唐突な一言で俺は我に帰り、耳を立てる。


もう少し空気を読んで欲しいとは思うのだが、そう呟いたところで「空気。」と言われて理解されなさそうだから言わないでおこう。


《スキルとは先ほども言いましたが、技術(アーツ)の1つです。身体能力を上げるものや小さい能力のスキルもあれば。常識を覆すスキルも存在します。》


ふぅん。なんか前の世界でしたゲームの世界みたいだな。スキルか。それってどうやったら手に入る方法とかあるのか?


《肯定)(ほとん)どの理由はその状況に見合う為。ある者の執念や怨念などの感情。思考などからも習得できる可能性があります。》


とうとうゲームに似て来たな。じゃあスキルに上位互換とかは?


《肯定)存在します。ですが、それはある者の思考や感情などから生まれる「思考習得」とスキルの進化による「進化習得」という習得方法の2つがあります。殆どのスキルが「思考習得」で習得可能などですが、ある者は「進化習得」でスキルを強化される場合があります。》


ふむふむ。つまりはピンチな時は考えろってことか。


《肯定)ですが。それが必ずしもという訳ではないのでご注意を。》


了解。じゃあ次はモンスターで。


その言葉で【案内(ガードナー)】は淡々と述べる。


《了解)モンスターについてですが、モンスターとはマナの塊が集まり、意思を持ったものです。》


マナ?.......それってなんかゲームによくある魔法とかに使うMPみたいなやつか?


《否定)この世界にはご主人様(マスター)の考えていられるような魔法という概念はありません。マナというものは、この世界のどこにでも漂っている、いわゆる空気のようなものです。》


空気....じゃあここにもあるのか?


《肯定)そしてそのマナは生物の呼吸により、酸素同様に生物の体に取り込まれます。》


取り込まれる。つまりは吸収してるのか。しかも酸素同様にってことは、生物全員がマナを酸素と一緒に吸ってるのか。


《肯定)ご主人様(マスター)も今呼吸している中で、マナを吸っています。そしてマナはその生物が死ぬまで体に蓄えられます。》


蓄えられる?じゃあその生き物が死んだら?


《回答)蓄えられるという概念に解放された身体中のマナはその元生き物の体から放出され、新たに空気中に漂います。そしてマナは新たな者へと吸われ、そして解放される。という無限の輪になっています。》


へぇ。っでそのマナってどんな役割をするの?


マナはその生物に様々な影響を与えることが可能です。


影響って.....なんかすっごい範囲広いな.....


《謝罪)マナとはそれほどこの世界の物と結びついている物なので.........》


いや。謝らなくていいから。っでそのマナって例えばどういうのに使うの?


《回答)蓄えられたマナは、その物のスキルや生命力などに関わることもあります。先程回答したモンスターはマナが意思を持ち、それが集まって具現化したものです。ではそのマナが消えてしまうと?》


モンスターは体を支えきれない.............


《肯定)更にその場には意思を持つマナ。つまりご主人様(マスター)達の言葉で「魂」がその場に残る訳です。》


魂。それだけ聞くと幽霊とかしか浮かばないんだけど、そんな物もこの世界にはあるんだな。


そう思いつつ先程のモンスターを思い浮かべる。


俺を見つめる、ライオンのような容姿のモンスター。そういうば。あの時に【案内(ガードナー)】が俺の体を使ったのは分かったけど、どうやってあのモンスターを気絶させたんだ?


《回答)それにはこのローブの糸を使いました。》


ローブの糸?


俺はふと、足を止めて自分が着ているローブに目を落とす。だが、どこから見ても仕掛けがあるようには見えない。


《回答)このローブはこの世界に召喚または転生される者にのみ着用をされる特殊なローブで、その強度はご主人様(マスター)の世界の鉄筋コンクリートを切断する程です。》


こんな肌優しいローブがなんで鉄筋コンクリート切断できんの!?


そう突っ込みたいが、試しに一本の糸を千切って木の幹に鞭のようにサッと撫でる。と


キリッ。


そんな音を立てて木に傷跡ができる。


うおっまじか。


あまりのことに拍子を抜かした俺。


自分で千切るのは簡単だったのに...........


そう思いつつ俺はその切り込みの入った木を眺める。


ん?まてよ。


ピン。と閃き、俺は糸を何本か千切る。


数十本ほど糸を千切って一本一本を結んでいく。


その後に自分がそれで怪我をしないように、持つ部分を作り、その長くなった糸をその持ち手と合成させる。


合成といっても単純にその持ち手(さきほど跡をつけた木の枝だが)を糸で軽く結んだだけだ。


それでも少しぐらいは心強いのでは?


そう考えて俺はこの世界初めての工作。糸の(むち)を作った。


《?)鞭.......それに何の意味が?》


そう疑問文で質問する【案内(ガードナー)】に俺は舌を打ち人差し指を立てて左右に振る。


「まだ分からないか?【案内(ガードナー)】?」


少し小馬鹿にするように言ってみるが反応がない。


......興味がないんだろうか?


《怒).......早く教えて下さい。》


あっ やべっ 以外と気にしてた!!


俺はすぐさま説明する。


まぁ 簡単にいうならば、遠距離からモンスター達に対抗できる物が欲しかったというのが本音だ。


この世界にはスキルというのがあるらしいが、【案内(ガードナー)】の言葉を思い出した。


スキルは生物が持つ。と、つまりこの【案内(ガードナー)】のような変なスキルを持った人ではない者がいないとも限らない。


モンスターや草だって生き物だ。ならばそのように考えるのはあながち間違いではないはず。


だから俺はそう考え、先程のように【案内(ガードナー)】に迷惑をかけることなくモンスターを倒せる力が欲しかったのだ。


なので俺は木の幹でも切れるという糸を採用して見たのだが........


《理解)分かりました。ですがそれは機能するのですか?》


「あぁ。そのためにも少し実験だ。何かをマトにしてそれに当たるかとか距離とかを把握しとかなきゃいけないな」


俺はそう言いつつ、木々を掻き分けてマトを探す。


《質問)では、あそこの木々をどうでしょうか?》


「それはダメだ。何か動くやつじゃなきゃ。」


《質問)ではそこの虫は?》


「虫だと小さいだろう?何かもう少し大きいのじゃないと。」


俺は【案内(ガードナー)】が差している方向とは別の方向で探しながらそう口を開く。


《質問).........ではそこのカエルは?》


「カエルも小さいだろう。もう少し大きい.........鹿とかいないか?」


《質問)........》


何だろう。何か【案内(ガードナー)】が拗ねてそうだな......


そう不安に思いながらも俺は手を動かす。


それから数分したころだろうか、【案内(ガードナー)】が押し黙ってからそれきり、何も言葉をかけず、俺は探す手を止めた。


「特にいないなぁ。」


そう呟いた瞬間だった。


「ブォォォォォォォォォォォオオオオオオン」


そんな獣の咆哮のような重低音が俺の耳と森に大きく響いた。


「....っ!! な、何があった!?」


耳をギリギリで防いでいた俺はすぐさまその方向を見て、


「ふぇ!?」


そんなすっとんきょうな声を出して固まった。


何故?何故ってそりゃあ。



真横に木々の数十倍はあろうかという巨大な鹿がいたからだ。


俺は【案内(ガードナー)】を呼ぶ。だがしかし【案内(ガードナー)】の方が俺を呼ぶのが早かった。


《報告)ご主人様(マスター)この鹿はどうでしょう?》



..........確かに俺は鹿と言った。


大きいやつとも言ったし、大きいからマトになりやすいし、きっとこんなに大きかったら色々と動きも遅いだろう。だが難点が.........





「でかくね?」


当然の言葉だった。

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