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幼き先の“未来”-とわ- 〜護られた子どもは、やがて誰かを護る〜  作者: しろ兎
Season4〜真夏の被災者、復興へ向けて〜
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S4-13 行かないで。

観測者

[ラファルサが大型犬なら、直樹は小型犬。]

[え。尻尾見えない?]

大地

「荷物持ってくる」


「行かないで…」

「嫌だ。一人にしないで」


大地は、

天井を、

見上げた。


大地

「わかった」

「Ratio、Doviraへ通信」


Ratio

【了解。】


真彩

[どうしたの?]


大地

『真彩。ユキを連れてこっちに来てもらえないか?』


真彩

[いいけど……。]

[どこに居るの?]


大地

『投げていい?』


真彩

[ふふっ…何を?]


大地

『とおぅ!』


Ratio

【位置情報を送信しました。】


真彩

[受け取った!]

[OK、そっち行く。]


[あいつは捕獲したままでいい?]


大地

『ああ』

『純の遊び相手ということで』


真彩

[遊び相手…。]


真彩は、

吹き出す。


真彩

[待っててね。]


大地

『ん』


Ratio

【通信終了。】


大地

「灯。一度座ろうか」


灯は、

小さく頷いた。


部屋の中へ、

入って行った。


灯は、

俯いたまま、

足元が覚束ない。


一度、

立ち止まった。


大地

「灯?」


肩を揺する。


「お父さん…」


力なく、

膝が落ちた。


瞬時に、

体を支える。


大地

「熱いな…」


Ratio

【発熱しています。】


そっと、

抱き上げた。


ベッドへ運ぶ。


――シュゥー


真彩

「大地……灯ちゃん!?」

「どうしたの!?」


大地

「わからない」


Dovira

【マヤ!灯ちゃん高温だよ!!】


ユキが、

真彩の腕から飛び降りる。


ユキ

「ミャ〜ンゥ」


灯へ、

擦り寄る。


真彩

「どうしようか…」

「医療班呼んでもいいけど…」


2人は、

その場で悩む。


真彩

「慣れない環境でストレス溜まってたんだろうね…」


大地

「直樹に振り回されたわけだしな…」


真彩

「直樹関係ある?」


軽く、

吹き出す。


真彩

「私、看病したーい」


大地

「一度医者に診てもらったほうがいい」

「Ratio」


Ratio

【了解。…手配しました。】



-



聴診器を当てる。


静かに見守る。


医師

「日本以外に渡航歴は」


大地

「ないです」


医師は、

小さく息をついた。


医師

「安心して下さい」

「極度の疲労でしょう」


安堵のため息。


医師

「何か異変があるようでしたら、ご遠慮なくご連絡下さい」


大地・真彩

「「ありがとうございます」」


医師

『チャーリー少将、少しいいですか?』


大地

『はい』


医師

『外へ』


2人は、

灯の部屋を出た。


ユキ

「ミャァン…」


真彩

「お姉ちゃん、辛いんだって…一緒に見守ろうね」


灯の、

髪を優しく撫でた。


薄く、

瞳が開いた。


「ママ…」


真彩

「なあに?」


「どこにも行かないで…」


真彩

「ここにいるよ」


そっと、

頬に指先で触れた。


重なる様に、

灯の手が触れる。


「ママ…」

「置いて行かないで…」


真彩

「置いていかない」


そっと、

額を重ねた。



-



廊下。


2人の、

男が向き合う。


医師

『彼女にチップを入れさせた方がいいのでは?』


大地

『言いたいことはわかる』

『わかるが…彼女の人生だ』

『俺らが勝手に決めるものではない』


『違うか?』


医師

『いいえ…ご尤もです』

『あの…』

『スマートウォッチを彼女に…』


大地

『それは、考えていた。端末と連動させる』

『ダックと共同開発する。もう少し待ってもらえるか?』


医師

『承知。完成しましたら、いち早くお知らせ下さい』


大地

『了解』


互いに敬礼し、

医師は去って行った。


――シュゥー


真彩と、

視線が重なる。


優しく、

微笑んでいる。


真彩

「ともり〜、パパが戻ってきたよ〜」


妙に、

久しい、

甘い優しい声。


大地

「おばあちゃんっ、孫が可愛いのかのぉ〜?」


真彩

「バカにしおって」


不敵に、

横目で見られた。


微笑み合う。


大地

「看病頼めるか?」


真彩

「勿論!任せなさい!」


「や…パパ……行っちゃやっ…」


重なる、

指先が強く握られる。


真彩

「ずっとうなされてるのよ」


大地

「Connectの開発を早める」

「スマートウォッチなら灯を傷つけずに済む」


真彩

「スマートウォッチ、素敵じゃない!」

「パパ頑張って!」


大地は、

照れくさそうに頭を掻く。


大地

「ああ。しばらく直樹を借りるぞ」


真彩

「持ってけ!持ってけ!使い倒せ!」


大地、

吹き出す。


大地

「灯の傍に居させろって言われるかと思った」


「おうよ!」

「使い倒して、絞り出してやろう」


微笑み合う。


真彩

「冗談はさておき」

「直樹と純にぃ呼んであげようよ」


大地

「そうだな」

「仕方ない。大型と小型を迎えに行ってくるかぁ」


真彩

「リード離さないようにね」


大地

「気をつける」


背中越しに、

手を振って部屋を出て行った。


「ママ……」


真彩

「どうしたの?」


顔を、

覗き込む。


「お腹減った…」


真彩

「わかった。おかゆ作るね待っててね」


立ち上がる。

服を掴まれた。


「いやだ…」


真彩

「わかった」

「直樹が来るから一緒にここで待とうか」


「うん…」


ユキは、

丸まって寝ている。


真彩

「ユキちゃん可愛いね」

「雌猫?」


「女の子だよ…」


真彩

「そうなんだね〜。人懐っこくていい子だね〜」

「ともりちゃんもね〜。可愛いね〜」


頭を撫でる。


灯の、

瞳から、

一筋の涙。


そっと、

指先で拭う。


真彩

「辛かったね」

「ここにいるよ…」



-



――シュゥー


直樹

「おかえり」


大地

「ただいま」


ラファルサと視線が合う。


じっと、

見つめてしまった。


首を、

傾げられた。


大地

《いま、あいつ鳴いたな》


Ratio

【……。】


咳払い。


大地

「灯が倒れた」

「いま、真彩が看病してる」


「俺らは…」

「ここにある、荷物運ぶぞ」


直樹

「待って!何があったの!?」


大地

「過労だよ…大病ではない」


直樹

「だとしても!」


大地

「会いたいんだろ?」


直樹

「そりゃそう!会いたい!」


大地

「なら…」


荷物を、

背負った。


大地

「運べ!」

「相棒も、なっ!」


ラファルサ

「ああ。任せろ」


各自、

荷物を担いだ。


大地

「付いて来〜い」


直樹

「エッホ♪エッホ♪」


3人は、

真彩の、

部屋を後にした。


Guiar

【…直樹、そんなキャラだったか?】


Naparnik

【やっと、俺らの出番か。】


Guiar

【Connectに会うのか…気が重い…。】


Naparnik

【お前ら、お似合いだと思うのは…。】

【灯さんと直樹カップルだからだろうか…?】


Ratio

【灯さんは、深刻ですよ。】


Guiar

【はい?】


Naparnik

【ちょっと待った。…え?】


Guiar

【大病じゃないと…。】


Ratio

【精神面です。】


大地

『Shut Up!!』


Ratio

【申し訳ございません。】


Naparnik

【え…。】


Guiar

【……。】


Next time

――エッホ犬

観測者

[さすが、16歳可愛い反応ですよね〜。]

[さて、エッホ犬は、灯ちゃんと対面した瞬間、どんな風に接するのかな?]

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