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S3-14 忘れないで。

観測者

[暑い。]

[暑すぎる…。]

ガス臭かった。


見上げる。

暑い。


炎天下。


言葉が出てこなかった。


Guiar

【難航してますね。】


「……!!」


Guiar

【呼ばれてますよ。】

【……あの、聞いてます?】


「…おい!!」


ため息が、

聞こえてきた。


「どけ」


Naparnik

【Guiar。こいつの舌引っ込ませろ。】


Guiar

【なぜ私が…。】

【私を何だと思ってるんです?】


Naparnik

【ほう。食いしばれ喝入れてやる!!】


腹部に、

激しく衝撃。


嗚咽吐く。


「ゲホッゲホッ…」


遠かった音が動き出した。


Guiar

【良かったですね。呼吸ができて。】


確かに、

殴られるまで、

息苦しかったのは事実だった。


やはり、

ガス臭い。


前かがみの、

視線の先に、足。

目の前に立っていたのは…。


直樹

「…兄貴」


険しい表情で見つめてくる。


ラファルサ

「もう一発いるか?」


直樹

「結構です。すみませんでした」

《父さん…》

「あの父は…」


ラファルサ

「……生きてるとだけ言っておく」


視線を、

逸らされた。


直樹

「父さん…」


熱しられた、

アスファルトに雫が落ちる。


汗なのか…。

涙なのか…。


勢い良く、

胸ぐらを掴まれる。


ラファルサ

「しっかりしろ!!」

「助けるんだろ!?」

「貴様は、何しに来た!!」


呼吸が乱れる。


Guiar

【お前さ…。私が主導権握ってもいいですよ!?】


Naparnik

【Guiar。俺の予測だと、街ごと破壊しそうなんだよな。】


Dimil

【…ぷっ】


フェル

「え。今!ディミル笑った??笑ったよな!?」


嬉しそうに、

首の後ろを撫でるフェル。


Dimil

【…。】


脳内、

爆音シンバル。


フェル

「ぎゃあ!!うるせえ!!!」


1人で騒ぐ、

フェルへ視線が行く。


直樹

「ふっ…ははは…っ」

「フェル、ありがとう」


フェルは、頬を掻く。

視線を逸らした。


フェル

「俺はスワンだ」


直樹

「スワン?だっさ」


フェル

「…ラファルサ。お願いします」


直樹へ、

指を差し、頭を下げている。


直樹

《何を?》


首を傾げる。


ラファルサ

「貴様は、これからダックだ」

「変更は認めん」


直樹

「ダック?」

「…ダック…ダック!?」

「ひどい…」


フェルは、

笑いを堪えている。


Naparnik

【ネームセンス最高だぜ。相棒。】


フェル、

吹き出す。


Guiar

【ドンマイ。】


大きなため息。


ラファルサ

「目が冷めたか?」


直樹

「あ。はい!すみませんでした!!」


頭を下げた。


ラファルサ

「朱雀は、すでに出動中だ」


直樹

《母さん、切り替え早いな》


マンションを見上げる。


ラファルサ

「低層階から救助している」


直樹

「俺らも」


首を、

横に振った。


ラファルサ

「お前らは、歌え」

「それが、お前らの能力だろ」


フェル

「おい、直樹。さっき作った!」

「あの歌の出番じゃないか?」


言葉を失った。

周囲を見渡す。


ここは、

戦場じゃない。


救助者を抱えて姿を現す、母。


肩に、

誰かの手が乗った。


カルディ

「私にも、その歌詞教えて〜」


直樹

「ビックリした!」

「どこにいたの?」


フェル

「ずっとお前の後ろにいたけど」


全身が、

熱くなった。


Guiar

【私は最初から気づいてましたよ。】


直樹

《ギアル、後で覚えとけよ》


Guiar

【なぜに?】


フェル

「Dimil機嫌直して、ね?」


Guiar

【Dimil。私も歌うので頼みますよ。】


Dimil

【…ぇ。…ぅ。】


フェル

「なお…。ダック準備できてるか?」


直樹

「水分補給していい?」


フェル

「あるわけねーだろ」


直樹

「あるが」

「Water」


掌に水玉が浮き上がる。

フェルの顔面へ投げた。


ビシャ


フェル

「つべて!」

「…いや」

「…気持ちい」


「魔法?」


直樹

「魔法のようなの使えるだろうが」


杖を手に取る。


直樹

「歌の演出もできるだろう」


ラファルサ

「邪魔しない程度にしておけ」


直樹

「了解」


ラファルサ

「もう平気だな。ここは任せた」


特別高度救助隊(スーパーレスキュー)の方へ向かって走って行った。


フェル

「なぁアヒル」


直樹

「何だ白鳥」


「「……」」


フェル

「歌の最後に霧雨降らさね?」


直樹

「そうだな、鳥同士水浴びしようぜ」


「「……」」


背後で、

過呼吸な咳。


カルディ

「こっち見ないで…」


Naparnik

【さっさと始めろよ。鳥。】


Guiar

【だそうです。】


直樹

「擽りの刑だなあいつ」


フェル

「ああ。間違いない」


カルディ

「やめてっ…早く歌って…ふっ」

『笑う様な現場じゃないだろ!』

『遊んでないで、さっさと仕事ろよ!』


ドスの利いた、

おっさんの声だった。


「「ごめんなさい!!」」


フェル

「Dimil、お願い!」


リズムを刻む。


フェル

『直樹からだろ』


直樹

「あ。」

『そうだった』


Back Musicに、

意識を集中させた。


直樹・Guiar

「【♪Welling up from deep within my heart♪】」

「【♪That flame became a spark,♪】」

「【♪It will spread to you♪】」


「【♪迷いの霧は直に晴れ〜るだろう〜♪】」


「♪The droplets on the leaves♪」

「♪喉の渇きを潤す〜だろう〜♪」


フェル

「♪こっち見て〜♪」


フェル・Guiar

「【♪ほら、その小さな声〜♪】」


「♪あなたの温もりを求めてる〜♪」


「「♪大〜丈〜夫〜♪」」 

「♪I can protect those feelings♪」


「「♪大〜丈〜夫〜♪」」 

「♪As long as we don’t forget love♪」


「「♪大〜丈〜夫〜♪」」 

「♪Don’t let go of that hand♪」


「♪忘れないで♪」

「♪Good intentions can sometimes hurt others♪」





フェル・Guiar

「【♪Welling up from deep within my heart♪】」

「【♪That flame became a spark,♪】」

「【♪It will spread to you♪】」


「【♪全身から闘志を〜燃やせ〜♪】」


「「♪Let’s stop setting the battlefield alight♪」」

「「♪生きる循環を止めないで〜♪」」


「【♪こっち見て〜♪】」


「♪ほら、その小さな笑顔〜♪」


直樹

「♪あなたの笑顔を求〜めてる〜♪」


「「♪ここにい〜る〜♪」」

「♪To return to that place♪」


「「♪ここにい〜る〜♪」」

「♪To return to the side of someone dear to me♪」


「「♪ここにい〜る〜♪」」

「♪I’ll definitely protect you♪」


「♪忘れないで〜♪」

「♪That I am living this moment to the full♪」


Dimil

【録音完了。ループ再生します。】


Guiar

【…。】


2人は、

杖を、空へ掲げた。


快晴の空から、霧雨。

虹が見えたとの噂だけがSNSで拡散された。


Next time

――救助活動。

観測者

[Instagramにて曲を公開中。]

[https://www.instagram.com/reel/DbAekcjJJlC/?igsh=OXM4Z3JwbHh4MXU1]

[『忘れないで。』raraferu@Myaya_Coco]

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