S3-15 酷暑。
観測者
[暑すぎるって。まだ、7月ですよ…。]
[酷暑すぎて…バテ気味。」
フェル
「暑いな」
滴る、
汗を拭う。
直樹
「熱暴走するなよ」
濡れた、
タオルを首に掛ける。
誰かが、
駆け寄ってくる。
ラファルサ
「スワン。付いて来い」
直樹
「兄貴…自分も行きます」
ラファルサ
「お前の出番は、まだだ」
手を掲げ、
止められた。
「朱雀!!」
顔を赤くした母が
特別高度救助隊と話ししている。
真彩
「はい!」
ラファルサ
「戻れ!!」
母が、
駆け寄ってくる。
ラファルサ
「交代だ。休憩しろ」
真彩
「了解」
「うはぁ…疲れた…」
母は、その場で、
前かがみになり、体を解す。
直樹
《強いな…》
《一番混乱しそうな人なのに》
ラファルサは母の、
肩をぽんと叩いた。
フェルと共に特別高度救助隊の元へ歩いて行った。
視線が重なった。
こっちへ、
歩いてくる。
直樹
「おつかれ」
真彩
「ん。暑いね」
「歌聴こえたよ。ありがとね」
母にほめられ、
照れくさかった。
直樹
「母さん。そこ立って」
真彩
「えー。座りたーい」
直樹
「なら、座ったままでいいよ」
「んじゃ。覚悟いい?」
真彩
「何?」
母の周りだけ、
霧雨を降らせた。
真彩
「やるならドバっとやれ」
直樹
「ゲリラっすか」
真彩
「むしろ、その方が気持ちいいかもしれん」
Guiar
【無駄な能力使うべきでないです。】
直樹
「びっくりした!」
「急に喋るなよ」
Guiar
【節電モードに入っていただけですが。】
【聞こえていましたよ。】
【ハニーお疲れ】
Dovira
【ダーリン。…zZ】
直樹
「寝るの?」
Dovira
【…。】
真彩
「AIって寝ないの?」
Dovira
【それ、熱暴走仕掛けていますよ。】
直樹
「やっぱり?」
掌に、
水玉を浮かべ凍らせた。
直樹
「母さん。首の後ろ触れるよ」
真彩
「そういうの待ってました」
そっと触れた。
Dovira
【きゃぴぃ!!】
真彩
「気持ちいい…」
Guiar
【冷やして上げましょうか?】
直樹
「どうやって」
Guiar
【主導権をわ…】
カルディ
「させないわよ!」
直樹
「うわっ!!」
背後に現れた、
カルディに腰を抜かした。
真彩
「びっくりしたな!!」
直樹
「どこに居たの?」
カルディ
「どこでもいいじゃない」
Guiar
【あの…私まだ、何も言ってませんが。】
カルディ
「あら、主導権をどうしたいのかしら?」
Guiar
【…。】
【Dovira。私と…。】
【Shall we dance?】
Dovira
【え。】
【はい。】
【これは…歌?】
【データ受け取ったよ。】
【何これ、格好いい!】
【こんなリズムでいいのかな?】
曲が流れ出す。
直樹
「え。ちょっと何してんの?」
Guiar
【主導権を一時的に渡してくれませんか?】
【悪用しません。安心してください。】
直樹
「歌いたいの?」
Guiar
【歌わせてくれ!】
【ここ一帯を冷やす。】
【直樹の能力を使わせてくれ。】
直樹
「ギアル必死なんだな」
「わかったよ」
「協力するから説明してくれれば…」
カルディ
「何を言ってるの!」
「やめなさい」
Doviraが、
小さくハミングを始めた。
カルディ
「え。真彩?」
杖を、
手に取り。
歌い出した。
だが、
その声はDoviraだった。
Dovira
【♪Warning Warning♪】
【♪Your stamina is reaching its limit♪】
脳裏に、
文字が浮かび上がる。
直樹
「♪呼吸を整え♪」
Dovira
【♪心を無に♪】
カルディ
「ちょっと!?」
Guiar
【いま癒します。】
杖が、
目の前に現れる。
直樹はそっと手に取った。
Dovira
【♪詠唱開始〜♪】
Guiar
【あなたのデバフを解除します。】
Guiar
【♪Evasion, Evasion♪】
【♪Secondary disaster occurs♪】
Dovira
【♪Large-scale field♪】
【♪Fixed position♪】
Guiar
【♪あなたへ 継続バフを 延長します♪】
Dovira
【♪湿気よ 凍てつけ♪】
【♪氷の粒よ 風に乗れ♪】
【♪隅々まで 冷やせ〜♪】
空気中の粒子が、
凍てついていく。
髪を撫でる、
爽やかな風が吹き出した。
Dovira・Guiar
【「♪Training, Training♪」】
【「♪Experience speaks for itself♪」】
Guiar
【The shortest route: imprinted in the mind
Remaining stamina: in the red zone】
直樹
「♪生きることを 諦めないで♪」
「♪人生には セーブデータは 存在する♪」
「♪それは あなただけのもの♪」
「♪記憶は 引き継がれない〜♪」
Guiar・直樹
【「♪強制マッチング 即突入♪」】
【「♪いまも必死に生きている♪」】
Guiar
【♪Fatigue debuff active. Cannot be removed.♪】
【♪No healing or purification available at present.♪】
【♪I’m the one doing the DPS check.♪】
【♪Don’t lose your cool.♪】
【♪Keep it up, keep it up.♪】
【♪There’s no room for error at that moment.♪】
【♪冷や汗 ひたいに汗 吹き出す汗♪】
【♪警告標識 点灯中♪】
Dovira
【♪床に 崩れ落ちたい♪】
【♪でも リスポーンはない♪】
Guiar
【The real-world arena is hotter than I expected;
I’m still taking burn damage.】
Dovira
【♪デバフ解除不能♪】
【♪着々と削れる体力♪】
Guiar
【♪Important Important♪】
【♪なぜ心で謝ってるの?♪】
Dovira
【♪それは誰に?♪】
【♪なんであなたが謝らなきゃいけないの?♪】
Guiar
【♪見捨てない♪】
【♪ここから離れないから♪】
Dovira
【♪絶対〜 助けに行くよ〜♪】
Guiar
【♪生存だけで精一杯♪】
【♪ゲームオーバーは選べない♪】
Guiar
【♪止められない このゲーム♪】
【♪ログアウト不可の人生♪】
直樹
「♪セーブもなく 巻き戻せない♪」
Dovira・真彩
【「♪The battle continues nonetheless♪」】
Guiar
【♪持続ダメージ 受けながら♪】
【♪そこにいるだけで勝利条件♪】
Dovira
【♪高難度モードの人生♪】
直樹
「♪明日も やってくる〜♪」
Dovira・真彩
【「♪体力減っても ここにいる♪」】
【「♪あなたは いまも♪」】
Guiar・直樹
【「♪生きている〜♪」】
Guiar・直樹
【「♪After all, we’re standing on the board of the Game of Life, aren’t we?♪」】
氷の粒子は、
太陽の光を受け、
宝石のようにきらめいた。
隊員たちから、
安堵の声が聞こえてくる。
ラファルサが、
駆け寄ってくる。
ラファルサ
「朱雀。休憩はどうした」
真彩
「ふぇ?」
首を傾げる。
直樹
「え。母さん?」
真彩
「ん……?」
「気持ちよかったぁ…」
そう言い、
僕の肩に寄りかかって寝てしまった。
直樹
「熱唱した反動?」
Guiarは、
何も返答しなかった。
カルディへ、
視線を向けた。
カルディ
「単純に疲労よ」
ラファルサ
「…そろそろ、お前の出番だ」
「お前の手で…」
「助けるんだろ?」
直樹
「…それって」
「当たり前だろ!!」
「母さん起きて!!」
「父さんの番きたよ!!」
肩を揺する。
目の前から、
ため息。
ラファルサ
「隊長を呼んでくる。待ってろ」
静かに、頷いた。
頷き返された。
ラファルサは、
特別高度救助隊の元へ走って行った。
-
母と自分は、
レスキュー隊と共に、現場へ急行した。
レスキュー隊
「808号室。ドアを…」
真彩
「待って」
――チリンッ
鈴の音が、
静寂の中、鳴り響く。
鍵穴を、
ゆっくり回す。
カチャッ
Next time
――再会。
観測者
[Instagramにて実際に曲が聴けます。]
[https://www.instagram.com/reel/DbF-2B_RQEm/?igsh=MTFsOGI4bmhhMHhjNA==]
[『人生Game』raraferu@Myaya_Coco]




