S3-13 体力。
観察者
[ようこそ、主婦転の世界へ。]
[これは、映像脚本型小説です。]
[TSIは特殊救助部隊です。]
♪神々がたとえ見捨てても
私たちは必ず見つけ出す♪
-
パラパラ……
「うっ…!」
《ここは…》
視界がかすむ。
激しく咳き込む。
鉄の味。
「く…うっ!」
家具が、
食い込む。
「……ら」
「Ratio……」
掠れた声。
Ratio
【……ここにいます。ここにいますよ。】
【声に出さないでください。聞いています。】
【大地…。よかった……。】
大地
《心配かけてすまない》
《暗いな》
《……》
《俺は…どの位置にいる》
Ratio
【ベランダ側です。】
【フレームが重みで歪んでいます。】
【窓ガラスが割れているので、気を付けてください。】
大地
《傾きは》
Ratio
【推測不能。申し訳ございません。】
大地
《……気にするな》
《すまなかった》
《………》
《一旦、考えるのをやめよう》
静寂。
弱い余震。
軋む。
天井から、
粉塵が降りそそぐ。
部屋の奥。
一瞬、光が通り過ぎた。
『聞こえるか!!』
『Ratio!返事しろ!』
脳裏に、
語りかけてくる。
Ratio
【ここです。】
大地
『ラファルサ…なのか?』
目を細める。
ラファルサ
「大地!!」
浮遊しながら近づいてくる。
大地
『要請でたのか』
ラファルサ
「私的だ」
大地
「バカなことを!!」
激しく咳き込む。
「うっ!!」
ラファルサ
「喋るな…」
「いま助ける」
大地
『私情を挟むな』
『任務に集中しろ』
『共死にしたいのか?』
ライトを向けられた。
眩しい。
目を細め、
視線は逸らさなかった。
大地
『俺だけじゃないだろ』
『他にも救助を待つ被災者がいるだろ』
『消防と連携しろ』
『俺はここで…』
『待ってる』
『行け!!』
ラファルサ
「Ratio…」
Ratio
【はい。ラファルサ大佐。】
ラファルサ
「バイタルをNaparnikへ送信し続けろ」
Ratio
【了解。待ってます。】
ラファルサ
「必ず戻ってくる!絶対助け出す!!」
大地
「ああ…」
小さな声で答えた。
彼は、
音も無く光と共に姿を消した。
大地
《信じている。相棒…》
静かに、
瞳を閉じた。
小さく息を吐いた。
-
フェルは、
言葉を失う。
フェル
「ひっ…」
《え。待って…》
《Dimilさっきの情報もう一回見せて》
UIが表示される。
フェル
《だよな!》
《1階潰れてるよな!》
《……》
《2階も半分潰れてんじゃん》
《日本って耐震強いんじゃなかったの!?》
建物の近くに、
オレンジの隊員。
特別高度救助隊。
話し合いをしている。
瞬きする。
フェル
《俺の出番あるの?》
「あ…」
話し合いの中に大佐の姿。
情報交換だろうか。
1人だけ目立っていた。
フェル
「かっ…カッコイイ」
大佐と、
視線が重なった。
ドキッ
視線を逸らした。
ラファルサ
「新人!…来い」
レスキュー隊(隊長)
「新人?どちらに…」
視線を戻した。
手まねきされてる。
フェル
「えっ!俺ぇ?」
頷かれる。
大佐へ歩み寄った。
フェル
「新人です。よろしくお願いします」
フェルは
レスキュー隊へ深々の頭を下げた。
ラファルサ
「ステレス…」
Naparnik
【バーカ。】
Dimil
【……腹立っ…】
小さく囁いた。
ステレスを解除された。
頭を下げたままの、
フェルを見たレスキュー隊。
驚きと軽い苦笑が広がった。
フェル
《笑い事じゃないような…》
頭を上げ
大佐へ視線を向けた。
フェル
「大佐…少将の様子は」
ラファルサ
「………」
『コードネームで呼べ』
フェル
「え…」
大佐が笑顔。
異様な光景に背筋が凍りついた。
フェル
『申し訳ございませんでした!!』
即座に頭を下げた。
無言の、
その仕草にレスキュー隊長が一歩引いた。
レスキュー隊員
「隊長!本部から連絡です」
会釈し、
駆けて行った。
ラファルサ
『フェル。お前のコードネーム』
フェル
『俺のコードネーム…』
唾を飲む。
ラファルサ
『白鳥でいいだろ』
フェル
『ぃ…嫌だ!!』
無言。
見つめ合う。
大佐は、
腕を組んだ。
フェル
『スワンなら…』
ラファルサ
「スワン。いい名だ」
「……」
「あいつが来るのを待つ」
「俺らは…」
「今は出番ではない」
「体力温存しておけ」
肩を、
軽く叩かれた。
忙しなく働く、
特別高度救助隊の
後ろ姿を、見守るTSIだった。
Next time
――合流。
観察者
[SFの皮を被ってるだけなんです。]
[特殊AIを駆使した救助部隊と思っていただいて構いません。]




