S3-12 棘。
観察者
[ようこそ、主婦転の世界へ。]
[これは、映像脚本型小説です。]
[架空の話です。]
フェル
「お前の部屋見させろ」
直樹
「嫌だ」
Guiar
[通信を受信。]
直樹
「誰から」
Guiar
[チャーリー少将からです。]
直樹
「…どうぞ」
《どうしたんだ?》
「はい。どうしたの?」
大地
[助けてくれ…。]
[マンションが傾いてる。]
直樹
「えっと…は?」
大地
[っ…!!]
[強い!余震だ!!]
[……]
[あっ]
激しく何かが崩れる音が入り混じる。
通信が途切れた。
直樹
「え!?」
「……ぇ」
「…………」
「Guiar!日本で何が起きてる!」
「あ!待ってRatioに通信」
Guiar
[了解。]
---
---
Guiar:
Answer the following
Ratio:
………
Guiar:
What happened over there?
Ratio:
……Urgent! Urgent! We are requesting assistance.
Guiar:
The connection keeps cutting out. What’s happened?
Ratio:
A major earthquake has struck the Kanto region.
I am submitting a request for deployment.
Guiar:
Understood. Please keep sending updates on your safety.
I’ll come and help you straight away.
---
---
Guiar
[関東地方で大震災。]
[状況的にマンション倒壊と予測。]
[少将は瓦礫の下に取り残された可能性が高いと推測。]
直樹
「マンションが倒壊!?父さんが下敷き!?」
フェル
「何?大地震?お前の父親が被災したってことか?」
「え…少将…が?」
「少将が!?」
「駆けつけないと!」
Guiar
[通信を受信。]
直樹
「出て」
真彩
[直樹!!無事!?]
[大地と連絡つかないの!!]
直樹
「父さんは…」
言葉が詰まる
直樹
「マンションが倒壊した。父さんはその…」
真彩
[嘘でしょ…。いや!!]
直樹
「まだ、生きてる!落ち着いて!」
真彩
[Ratioが助けてって、ずっと言ってる。]
泣き出す、母。
直樹
「合流しよう。どこに居るの?」
真彩
[ラファルサの執務室。]
直樹
「わかった。そっち行く」
通信を切った。
直樹
「これから兄貴の執務室へ行く。行くだろ相棒」
フェル
「兄貴って?…行くに決まってるだろ!」
2人は、
部屋を飛び出して行った。
通路の壁際に、
数人座って雑談していた。
直樹とフェルへ視線を向けた。
隊員
「ブラボー!」
医療班
「感動しました!」
隊員
「歌上手いな!」
数人に、
拍手された。
複雑な気分だった。
不快だった。
「少将が!!し…」
言葉に詰まる。
涙を堪えながら俯いた。
フェル
「日本で大震災が発生した」
「救助要請が出ている」
「笑ってる場合じゃない!」
思わず、
フェルへ視線を向けた。
真剣な、
対応に目を奪われた。
隊員たちは、
情報収集をし始めた。
フェル
「直樹!行くぞ!!」
フェルの、
背中が逞しい。
唾を呑み、
声を張り上げた。
直樹
「合流場所は、大佐の執務室だ!」
フェル
「了解!!」
駆け出した。
-
執務室前。
スキャナーへ手をかざす。
扉が開いた瞬間。
母の、
手が伸びてきた。
真彩
「直樹!直樹!」
強く抱き寄せられる。
母は、
目元を赤くし、
未だに泣き続けている。
真彩
「やだ!大地!大地が!」
Dovira
【マヤ…。】
直樹
「落ち着いて。落ち着こう…ね…」
その様子を眺めているフェル。
首を傾げた。
フェル
「まさか…隊長ってお前の親?」
直樹は、
答えなかった。
Guiar
[もう、限界でしょう。]
[チャーリー少将はお父様。朱雀部隊長はお母様です。]
Dovira
【あー!後で怒られるやつぅ…。】
フェル
「もう、驚かないけどな…」
「救助要請でてるんだろ」
「任務要請は上層部から出てないわけ?」
急に、
扉が開く。
カルディ
「真彩ちゃん!!」
「……」
パニック状態の真彩。
ビビイー ビビイー ビビイー
[緊急警報。緊急警報。]
[全職員へ通達します。]
[現在、外部ネットワークより緊急情報を受信。]
[日本にて、大規模震災発生。]
[チャーリー少将、所有AIより緊急救助要請あり。]
[ビル倒壊。安否不明。]
[繰り返します。]
真彩
「え…」
「…え?」
「ねぇ…ねえ!!」
直樹の体を揺らす。
直樹
「落ち着いて!!」
カルディ
「私たちが居るわ」
「助ける。いいえ」
「真彩!一緒に助けましょう!」
真彩は、
泣きじゃくりながら、頷く。
直樹
「兄貴…」
小さく囁いた。
「俺の部屋で何してる」
取り乱す真彩を見て、
そっと肩に手を触れた。
ラファルサ
「何があった」
直樹
「兄貴!!」
思わず、叫んだ。
我慢できず、涙が頬を伝った。
フェルは、
慎重に事情を話した。
Naparnik
【大地…意識ないのか?】
Guiar
[余計なこと言うな。]
Dovira
【ねぇ…やめてくれない?】
ラファルサ
「救助部隊を構成する」
「直樹。フェル。お前たちは後方援護だ」
「いいな」
直樹
「待って!何で!」
ラファルサ
「役目を忘れるな」
カルディ
「私、2人の補助に回るわ」
「Guiar。今、戻すから」
「もう二度と、暴走しないって約束してくれるかしら?」
Guiar
[…わかってます。]
カルディは頷いた。
UIを操作し、Guiarをチップへ転送した。
Guiar
【ただいま。】
直樹
「おかえり…っ」
再び、
涙が零れた。
ラファルサ
「上層部には、こちらで伝えておく」
「言い訳は、後でもできる」
「いまは、人命救助が最優先だ」
「フェル座標を送った確認しろ」
「俺は先に行ってる」
「他の部隊員には通達済みだ」
「……」
「深呼吸しろ」
「落ち着いたら、来い。待っている」
ラファルサは、
音もなく姿を消えた。
直樹
「母さん」
フェル
「俺、先に行ってる」
「相棒」
「逃げるなよ。絶対来いよ」
フェルも、
静かに転移して行った。
ふわっと、
大柄な体に包まれた。
直樹
「カルディ…」
カルディ
「大丈夫」
「おねぇさんがここにいるわ」
「深呼吸」
「3秒吸って」
「6秒吐いて…ね?」
2人は、
カルディへ、
視線を合わせた。
カルディは頷く。
「吸って……」
『1』
『2』
『3』
『吐く……』
『1』
『2』
『3』
『4』
『5』
『6』
「…そう。その調子…」
Next time
――現地。
観測者
[死にかけって言おうとしたよな…直樹。]
[………。]
[私の心が揺れてます。]




