第64話:【サイバーパンク世界の地上げ】ポストアポカリプスの荒野は『不法投棄区域』です。ヒャッハーな改造人間たちを「資源ゴミ分別担当」として再雇用しました
「ヒャッハー! この酸性雨の降る腐った世界じゃ、水とスクラップ、そして『力(暴力)』こそがすべてだ! 弱者は俺たち『デス・メタル・ギャング』にすべてを差し出しな!」
養殖宇宙・第4ブロック。
核の炎と環境汚染で滅びかけた、赤い空とネオンの残骸が照らす【終末SF世界】。
巨大なサイボーグ化手術を施されたギャングの首領が、火炎放射器を搭載した改造バギーの上で高笑いしていた。彼らは廃墟の街を支配し、生き残った人々から物資を巻き上げる「世紀末の覇者」である。
「……なるほど。これが『世紀末のディストピア』ですか。なんだか空気がザラザラして、私のスライム肌に悪そうですね」
瓦礫の山の上に空間ゲートが開き、そこからプルプルと震えながら黄金のスライム(私)が現れた。
背後には、完璧なリクルートスーツに身を包んだ我が社の精鋭たちが、冷ややかな視線で荒野を見下ろしている。
「あぁん? なんだテメェら、その舐めた格好は! 綺麗なスーツなんて、この荒野じゃいいマトだぜ! 殺れぇ!!」
首領の号令と共に、モヒカンのサイボーグたちが一斉にレーザーガトリングやミサイルをぶっ放してきた。
しかし――。
「うるさいわね。そのレーザー、発射のラグが0.2秒もあるわよ。旧世代のポンコツね」
ゼータが欠伸をしながら魔剣を一閃。
飛んできた何千発ものミサイルやレーザー光線は、空中で『完璧な1ミリサイズのサイコロ状』に分子スライスされ、パラパラと無害な塵となって降り注いだ。
「な、なんだと……!? 俺たちの最新鋭ミリタリー兵器が、ただの剣で……!?」
ギャングたちが驚愕に目を見開く中、今度は我が社の「環境衛生責任者」がブチ切れた。
「おい、この星の管理者は誰だ!! 大気中の有害物質濃度が基準値の10万倍を超えているぞ! しかもその辺にスクラップを放置しおって……ここは『不法投棄区域』か!!」
元・神(清掃員)が、額に青筋を立てながら『高圧聖水スチームモップ・リミッター解除』を構えた。
「こんな不衛生な職場(世界)でCEOに仕事をさせる気か! 徹底的に除染してやる!!」
カァァァァァァァァァァッ!!!!!
元・神がモップをひと撫でした瞬間、星を覆っていた赤い酸性雨の雲が一瞬にして浄化され、青空が広がった。
さらに、廃墟の街にこびりついていたサビ、ヘドロ、放射能汚染までもが完全に拭き取られ、ポストアポカリプスの荒野は、チリ一つない『ピカピカで無菌の真っ白なオフィスフロア(屋外)』へと物理的にリフォームされてしまった。
「あ、青空……? 街が、新築の病院みたいに真っ白に……! 俺たちの世紀末のアイデンティティ(汚れ)がぁぁ!」
首領が膝から崩れ落ちた。
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【第4ブロック:終末SF世界・環境美化&資源回収プロセス】
1. 不法投棄の取り締まり(担当:新人アーク):
レベル9999の勇者アークが、クリップボード片手にギャングたちを包囲。
「貴様らの改造パーツは不法投棄されたジャンク品だ。廃棄物処理法違反で全武装を差し押さえる!」と、聖剣ではなく『差し押さえシール』をサイボーグたちの体にマッハの速度で貼り付けていく。
2. 資源ゴミの超高速分別(担当:バレル):
バレルが重力魔法を展開。
「鉄」「レアメタル」「プラスチック」といった分子構造ごとに重力波を調整し、廃墟のスクラップの山を一瞬にして美しく分別された『キューブ状の資源ブロック』へと圧縮・変換する。
3. 再雇用プログラムの提示(担当:アルド):
武装を解除され、怯えるギャングたちに対し、アルドが「テラリウム第4リサイクルセンター・仕分けスタッフ」の雇用契約書を笑顔で手渡す。
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「やあ、世紀末の覇者の皆様。素晴らしい生命力とハングリー精神だ!」
アルドが、完全に戦意を喪失したギャングの首領の肩をポンと叩いた。
「水と食料のために殺し合う時代は、もう終わりだ。我が社で働けば、報酬(DP)でいつでも新品のサイバー・インプラント(当社カタログから給与天引きで購入可能)が手に入るぞ! 君たちのその機械化されたタフな体は、『24時間無休の資源ゴミ分別作業』にうってつけだ!」
「き、給料天引き……? 24時間無休……?」
首領のサイボーグ脳が、その圧倒的なブラック労働の条件を計算し、ショートしかける。
「おい、返事が遅いぞ。それとも俺の『コンプライアンス・スラッシュ(物理)』を食らいたいのか?」
新人社畜(勇者)アークが、バキバキにキマった目で聖剣の柄に手をかける。レベル9999の威圧感は、世紀末のギャングすら赤子のように震え上がらせた。
「ひぃぃぃ! は、働きます! 分別しますぅぅ! 燃えるゴミも燃えないゴミも、死ぬ気で仕分けさせていただきますぅぅ!!」
こうして、かつて荒野を恐怖で支配していたデス・メタル・ギャングたちは、お揃いのテラリウム指定作業着を着せられ、バレルが圧縮した資源ブロックを大人しくコンテナに積み込む『優秀なリサイクル業者』へと更生させられたのであった。
チャリン! チャリン! チャリン!
チャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリチャリン!!!!!!!!
サイボーグたちが徹夜でジャンク品を分別し、それが魔法少女の配信機材やダンジョンの罠のパーツとして全マルチバースへ出荷されていく。資源の完全なる循環が確立されたことで、利益率がさらに跳ね上がり、DPカウンターが心地よい悲鳴を上げた。
「……ふふっ、素晴らしい。ゴミ(スクラップ)すらも我が社にとっては宝の山。無駄のない経営とは、まさにこのことですね」
ピカピカに清掃された廃墟(現・テラリウム第4リサイクルセンター)の真ん中で、私は特製プールに浸かりながらプルプルと笑った。
「船長! 資源と技術の確保、完了しました! AIオメガの次の提案ですが……養殖宇宙・第5ブロックの【乙女ゲーム(恋愛ファンタジー)世界】がターゲットです! 『愛や恋心といった感情リソース』をマネタイズ(換金)しましょうとのことです!」
アルドが、ピンク色のハートが舞う狂気の事業計画書を持ってきた。
「おや、今度は『恋愛』ですか。人間の持つ最も非合理で、最もエネルギーを消費する感情ですね。……皆様、甘ったるいロマンスを、最高にブラックな『課金システム(搾取)』へとリブランディングしに行きましょうか!」
元・神のスライム率いるテラリウム・ホールディングス。
サイバーパンクの荒野をリサイクル工場に変えたその狂気は、次なる標的である「乙女たちの純愛」すらも冷徹なビジネスモデルへと組み込むべく、次元の扉を叩くのであった。




