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『VRMMOの極悪テラリウム運営 ~可愛いスライムですが、効率化のためにトップ配信者たちを肥料にしていく~』  作者: リリリリス
第2章:神の遊戯編

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第59話:【Pay to Winの真理】スタミナ切れの無課金勇者の前に『廃課金勇者(VIPランク10)』が降臨。物理法則すら金で解決します

「はぁっ、はぁっ……! よし、これでスライムを5000匹狩り終え――」


基本プレイ無料の宇宙(第3惑星)。

無課金勇者のアレンは、三日三晩寝ずにチュートリアルエリアのスライムを狩り続け、ついに『冒険者スターターパス』を買うための5000DPを貯める寸前まで来ていた。

ボロボロの木の剣を振り上げ、最後の一匹に止めを刺そうとした、その瞬間。


ピコーン!


アレンの体が、空中でピタッと静止した。

目の前に、無情なホログラム・ウィンドウが展開される。


『警告。本日の【スタミナ(AP)】が尽きました。これ以上の物理的行動は制限されます。APの自然回復まで【8時間45分】お待ちいただくか、500DPを消費して【テラリウム特製エナジードリンク】をご購入ください』


「な、なんだと!? あと1匹、あと1匹剣を振り下ろすだけで……体が、動かないぃぃぃ!!」


スタミナ切れ(システム制御)により、石像のように固まったアレン。その目の前で、狩られるはずだった最弱スライムが「あーあ」という顔をして逃げていく。

これが、我が社が新宇宙に仕掛けた罠の一つ、『APアクションポイント制』である。


そこへ。


ズドォォォォン!!


突如、天から極彩色の光の柱が降り注いだ。

眩い光の中から現れたのは、全身から「無駄にキラキラ光るオーラ(月額1万DPの装飾品)」を放ち、背中に「意味もなく羽ばたく黄金の翼(ガチャ排出率0.001%)」を生やした、いけすかない顔の貴族の少年だった。


「ふん。相変わらず無課金の貧民フリーユーザーは泥臭いな。スタミナ管理もできないとは、冒険者の恥だ」


「な、なんだお前は……! その装備、チュートリアルで手に入るものじゃないぞ!」


「チュートリアル? ああ、あんな面倒なものは【スキップチケット(1枚1000DP)】で飛ばしたに決まっているだろう。俺はVIPランク10の『廃課金勇者』、リチャード様だ!」


---


【新宇宙:ペイ・トゥ・ウィン(Pay to Win)搾取プラン】


1.VIPシステムの導入(担当:アルド):

累積課金(DP消費)額に応じて「VIPランク」が上がるシステムを宇宙の真理として実装。

VIPランクが上がると「取得経験値3倍」「移動速度2倍」「神(CEO)からの直接の啓示スパムメール」などの特権が得られる。



2. ガチャによるインフレ誘導(担当:AIオメガ&確率の神):

AIオメガがリチャードの脳波をリアルタイム解析し、「あと少しで出そう」という射幸心を極限まで煽る確率操作を実行。

最強の剣(データ上のただの数値)を引かせるためだけに、親の遺産(莫大なDP)をすべて注ぎ込ませる。



3. 『無課金』のコンテンツ化(担当:CEO):

無課金勇者アレンをあえて排除せず、廃課金勇者リチャードが「俺TUEEE(俺つえー)」と優越感に浸るための『背景(賑やかし)』として利用する。




---


「船長! 来ました! 第3惑星の太客クジラです! あのリチャードとかいう勇者、開始5分で【初心者応援・SSR確定ガチャ】を天井まで回し、すでに国家予算レベルのDPを我が社に落としています!」


メタバース本社・星雲ラウンジ。

アルドが、営業成績のグラフが垂直に天を突くのを見て、狂喜乱舞していた。


「素晴らしい。やはり『金(DP)で時間を買う』という概念は、どの宇宙でも富裕層に刺さりますね」


私はスライムの体でプルプルと頷く。


『ふん、馬鹿な奴だ。あの黄金の翼もSSRの聖剣も、私の重力魔法とゼータの剣気を数行のコード(ハリボテ)に変換して出力しているだけだぞ。原価はほぼゼロだ』


バレルが、モニターを見ながら呆れたように鼻で笑う。


「あら、いいじゃない。人間は『他者より優位に立っている』という優越感にこそ一番お金を払うのよ。アレン君みたいな無課金が苦労しているのを見れば見るほど、リチャード君の脳汁(DP)はドバドバ出るわ」


ゼータが、自慢の魔剣の手入れをしながら楽しそうに笑った。


モニターの中では、スタミナ切れで動けないアレンの横を、リチャードが優雅に歩き出していた。

彼は『課金のペイウォール』の前に立つと、懐からブラックカード(VIP専用パス)を取り出す。


『ピーン! VIPランク10のリチャード様、ご通行ありがとうございます。本日は【有料エリア・モンスター非アクティブ化オプション】が適用されています。安全な旅を!』


「な、なんだと!? 有料エリアのモンスターが、あいつを避けて道を空けていくぞ……! これが、冒険なのか!? お前はただ散歩しているだけじゃないか!」


アレンが血の涙を流しながら絶叫する。


「黙れ無課金。金で平和を買って何が悪い。俺はこれから『オート進行機能』をオンにして、寝ている間に魔王城まで到達する予定だ。せいぜいそこでスライムの泥水でもすすっているんだな!」


リチャードは高笑いしながら、空飛ぶ絨毯(移動用課金マウント)に乗って飛び去っていった。


「うおおおおおっ! 絶対に許さない! 俺は無課金の意地を見せてやる! 運営(神)も、あの廃課金も、絶対に俺の実力(努力)でぶっ倒してやるぅぅぅ!!」


アレンは怒りのあまり、限界を超えて『動画広告』を連続視聴し、微量のスタミナ回復薬を必死に集め始めた。


チャリン! チャリン! チャリン!

チャリチャリチャリチャリン!!!


廃課金勇者が落とす莫大なDPと、それに反発した無課金勇者が怒りに任せて回す動画広告の利益(DP)。

その両方が、美しいハーモニーとなって私の口座へと流れ込んでくる。


「……ふふっ、完璧なエコシステムです」


私は極上のワイン(課金アイテム)を揺らしながら、底知れぬ笑みを浮かべた。

無課金ユーザーは、廃課金ユーザーに優越感を与えるための「コンテンツ」。

廃課金ユーザーは、無課金ユーザーに反骨心を抱かせるための「壁」。

彼らが互いにいがみ合い、競い合えば合うほど、ゲームマスターである我が『テラリウム・ホールディングス』だけがノーリスクで太っていく。


「さあ、AIオメガ。アレン君が苦労して次の街に着いた絶妙なタイミングで、リチャード君に『さらに強力な新ガチャ(期間限定)』の通知を送りなさい。彼らの競争(搾取)を、さらに一段階引き上げるのです」


『承認。集金プロトコル、フェーズ2へ移行します』


「基本プレイ無料」という名の、宇宙で最も甘く、最も残酷な毒。

元・神のスライム率いるテラリウム・ホールディングスは、自ら創り出した箱庭の中で、今日も生命体たちの「射幸心」と「嫉妬」を完璧にコントロールし、宇宙の質量そのものを利益(DP)へと変換し続けるのである。

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